【社説】「米国なしの韓国」とは何か、運動圏の権力者たちは振り返ってみたことはあるのか(朝鮮日報)
米国がWTO選挙で流れに逆らっている背景には、中国をけん制する意図がある。WTOが中国を特恵対象国である開発途上国に指定することに反対し、WTOの上訴機関の機能も停止させた。トランプ米大統領は「WTOは中国寄りで、米国は損害を被っている」とWTO脱退にまで言及している。米国の韓国支持は中国けん制という国益のためだ。中国もこれに押し流されないようにすることだろう。 WTO事務局長選挙は米中代理戦になる可能性もある。
こうした状況では、文在寅(ムン・ジェイン)政権の外交を振り返らざるを得ない。文在寅政権は「THAAD(終末高高度防衛ミサイル)三不」で安保主権でまで譲歩して中国の機嫌を取ってきた。文大統領は「中国は大きな山、韓国は小さな国」と韓国をさげすみ、「韓国と中国は運命共同体」とまで言った。政権の運動圏(市民運動・学生運動関係者ら)の実力者たちは、何かと米国と対立してきた。ところが、中国は実際に何かあると、容赦なく韓国に背を向けてきた。昨年の国連監査委員会委員選挙では、崔在亨(チェ・ジェヒョン)韓国監査院院長が中国人候補に敗れて落選した。中国はこれまでもそうだったし、これからもそうしていくことだろう。
文在寅政権は友好国だった日本を敵対国にした。日本は今回、韓国人候補落選運動を展開したという。今後もあらゆる問題で韓国に反対することだろう。文在寅政権が21世紀に竹槍歌(日本軍に反乱を起こした東学軍を題材にした歌)を歌い、土着倭寇(わこう)だと攻撃した結果はどうだっただろうか。日本企業の財産を差し押さえておきながら、売ることもできずにいる。選挙の時に利用した以外、国益として得たものは一つもない。文大統領は約90カ国に対して、電話首脳会談や親書で「兪明希支持」を訴えたが、韓国に票を投じたのは60カ国余りだった。覇権国である米国の支持がなければWTO選挙は既に終わっている。米国も自国の利益のために韓国人候補を支持しているわけだが、「米国なしの韓国」とは何か気づかなければ ない。国際社会の厳しい現実は、1980年代の運動圏レベルの幼稚な発想では決して対処できない。
(引用ここまで)
普通ならWTO事務局長選挙では投票で劣勢になった側の候補は負けを認めて辞退することが恒例となっているそうです。
今回はナイジェリアのオコンジョイウェアラ候補が100票以上と全体の2/3近い得票数となっているので、なおのこと辞退するのが普通と見られているとのこと。
ところがアメリカが「ユ・ミョンヒ候補者を支持する」と記者会見で表明するなど強硬な態度に出ていることから選挙戦は継続されています。
大統領府からは「大逆転を目指して最後まで戦う」とのコメントが出ています。
つまり、アメリカの支持があるのでまだユ・ミョンヒ候補はWTO事務局長選挙から降りずにいるわけですが。
これはなにも「アメリカが韓国を支持している」というわけではない。
反中国という立場から「敵の敵は味方」というだけで、オコンジョイウェアラ候補を支持していないというだけのこと。
「韓国の国格を高めるため」にWTO事務局長戦に出馬して、大統領自ら90カ国以上に対して親書やら電話首脳会談で支持を求めていたはずなのに得票数はたかだか60カ国ちょっと。
それでもアメリカの支持があるので「最後まで選挙戦を戦う」といえているわけです。
で、これを韓国政府の外交戦略に当てはめてみると。
アメリカとの軍事同盟を締結していることで、大国になったつもりでいられているだけという韓国の立場が見えてきます。
中国とアメリカとの間で「等距離外交」「あいまい性外交」とやらを繰り広げて、政府高官からは毎日のように──
「対立の中でも我が国の選択肢は狭められない」
「国益がなければ同盟には意味がない」
「これまでの70年と同じように次の70年もアメリカを選ぶとは限らない」
「まず終戦宣言が必要だ」
とまあ、言いたい放題。
「アメリカと軍事同盟を結んでいる」という時点で利益を享受しているはずなのですけどね。中国から様々なアプローチがされているのも「アメリカの同盟国中、もっとも弱い環」と見られているからであって、韓国に魅力があるというわけではない。
ムン・ジェイン政権の「自主派」はその辺りの話を根本的に勘違いしています。