米大統領選で民主党のバイデン候補が勝利し、米朝関係の不確実性が高まる見通しとなった。だが、北朝鮮問題で韓国の存在感が一層注目されるとの見方も出ている。
トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)は親書を交換するなど良好な関係を築いたが、バイデン政権が発足すれば北朝鮮側との意思疎通が容易ではなく、米朝双方が韓国の仲介を必要とするとみられる。米朝関係のリスクは高まるが、南北関係では関係改善に向けたチャンスになる可能性もある。
バイデン政権は新しい外交・安全保障を担う陣容を整えて対北朝鮮戦略を立てるため、北朝鮮と交渉に乗り出すまでに時間がかかるとみられる。この時期は北朝鮮の挑発の可能性が高まる時期でもある。北朝鮮は2001年、クリントン政権からブッシュ政権に移行した際を除いては米政権の交代時にミサイル発射や核実験を強行してきた。
韓国は米国と連携し、北朝鮮に挑発行為を行わないよう求め、朝鮮半島情勢が悪化しないよう管理する必要がある。
(引用ここまで)
韓国が南北関係で再度「仲介役」に返り咲けるはずだ……とする話が韓国国内では出てるそうですわ。
トランプ政権下のアメリカと北朝鮮は反発しあったけども、バイデン政権なら……という期待をしているのでしょう。
さて、トランプ大統領は明白に「変革者」としての自分を意識して行動していた節が伺えます。
ことあるごとにオバマ前大統領を引き合いに出していたことがその傍証といえるでしょう。
オバマケアの廃止、TPPからの離脱、米韓FTA・NAFTAへの批判などの政策、そしてノーベル平和賞を強力に意識していたのはオバマ前大統領への対抗心があったから、といえます。
言ってみれば「オバマの逆張り」をしていたわけで。
どこに対してどう動くかというのは、比較的分かりやすくもあったのですね。
一方で今回の大統領選挙で当選したバイデン前副大統領には、否定されたオバマ路線にアメリカを引き戻す役割があるといえるでしょう。
内政では上記のようなTPPや国民皆保険といった方針が取られるでしょう。
外交を考えてみましょうか。
日米韓関係でいえば慰安婦合意が結ばれたのは、オバマ政権の暗躍があればこそ。
オバマ政権時代後半では日米関係が前進し、米韓関係は希薄になりつつありました。
これはオバマ政権がようやく中国の脅威に気がついたからで、アジアリバランスの主役となるのは日本以外にないと判断せざるを得なかったからでしょうね。
オバマ大統領(当時)の広島訪問、安倍総理(当時)の真珠湾訪問もその一端と考えれば分かりやすい構図になるのではないでしょうか。
バイデン政権はこのあたりの路線を引き継ぐことになるのではないかと思われます。
韓国では「バイデンは親日だ」とする風評が拡がっているそうです。
[ファクトチェック]バイデンは「親日」の傾向がある人物か?(聯合ニュース・朝鮮語)
結論としては「特別に親日傾向のある人物ではない」というものなのですが。
韓国でこういった「バイデンは親日人士だ」という話がまことしやかに語られている、ということ自体が韓国人が不安を抱いている、ということの反映でしょう。
アメリカ・中国を両天秤にかけているムン・ジェイン政権の外交戦略を、少なからず不安に感じている……ということでしょうね。
日米が蜜月だったのは安倍・トランプ政権だったからこそという部分は少なからずありますが、時代の要請であることも確かなのです。
アメリカ側がいまになってインド太平洋戦略を捨て去るとも思えませんし。
ま、とりあえずはバイデンがどんな世界戦略を描くのか、それを見てからですね。