韓国青瓦台(大統領府)は12日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領とバイデン米次期大統領の電話会談で、バイデン氏が韓米同盟を「インド太平洋地域の安全保障と繁栄の中心軸」と表現したことを巡り、中国へのけん制を強調するものとの見方が出ていることについて、これを否定した。
青瓦台の康珉碩(カン・ミンソク)報道官は同日午前に行われた文大統領とバイデン氏による電話会談の内容に関する見解を報道陣に伝える中で、バイデン氏の韓米同盟に関する言及で出た「インド・太平洋」は地理的なことを指すものであり、中国をけん制するトランプ現政権の「インド太平洋戦略」とは関係がないと説明した。
康氏はまた、「中心軸」という表現は韓米同盟の重要性を示すために長く用いられてきた言葉だとした上で、「それ以外の意味を与えることは適切でない」と指摘した。
(引用ここまで)
今日、バイデン次期大統領は日本の菅総理、韓国のムン・ジェイン大統領、オーストラリアのスコット・モリソン首相とそれぞれ電話会談を行っています。
それぞれの会談内容はこんな感じだったとのこと。
I'm slightly intrigued by Biden's use of the term "Indo-Pacific" in the readout with Korea, which carries some Trump-era baggage related to its counter-China policy.
— John Hudson (@John_Hudson) November 12, 2020
ワシントンポスト紙のジョン・ハドソン氏のTweetでは日韓豪の電話首脳会談すべてで「インド・太平洋」の言葉が入っており、かつ氏は「韓国との会談でこの言葉が入っているのはちょっと面白いね。トランプ時代から対中政策で米韓間で問題があった部分なのに」との感想を述べてます。
個人的にちょっと気になるのは「安全で繁栄したインド太平洋」という用語になっている部分。トランプ時代の「自由で開かれたインド太平洋」という言葉を使いたくなかったのか。
それとも用語を入れ替えることで概念にまで影響を及ぼそうとしているのか。
日本側での発表はこんな感じ。
菅総理大臣とバイデン次期米国大統領との電話会談(外務省)
日本側からは尖閣諸島への日米安保条約第5条の適用について言及していますが、バイデン側からの発表では「日米安保条約第5条を適用」までになってますね。まあ、そりゃそうだ。別に矛盾がある話ではありません。
さて、韓国の外交部も同様にリリースを出しているのですが。
この「インド太平洋地域における安保と繁栄の中心軸」という表現における「インド太平洋」は地域の話であって「インド太平洋戦略」とは関係がないんですって(笑)。
日本、韓国、オーストラリアに並んで同じ「安全で繁栄したインド太平洋」という表現を使っていて、日本からは「自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて」と表現がある。
これで「バイデン新政権は『インド太平洋戦略』の意味ではこの言葉を使っていない」っていうのは無理筋だわ。
なんとかして日本、それも安倍前総理の提唱したインド太平洋戦略を葬りたいというのが本音なのでしょうけども。
さすがになぁ。
そもそもインド太平洋戦略が採用されはじめたのはオバマ政権で、いわゆるアジアリバランス政策との相性から採用されたという面がある。
そしてバイデンはその時の副大統領だったわけで。
オバマ政権の頃の話を忘れすぎでしょ。
おすすめ書籍。「はじめての地政学」って感じの本です。