「5-6坪のホテル客室が賃貸住宅難対策? 鶏小屋に住めというのか」(朝鮮日報)
韓国政府は19日、不動産関係閣僚会議を開き、公共賃貸住宅拡大を骨子とする賃貸住宅対策を発表する。政府は最近全国的に拡大した賃貸住宅難に無策だと批判を受けてきた。このため、対策は公共機関に短期間に確保できる住宅を最大限かき集め、賃貸市場に供給することが主眼とされる。ホテルや雑居ビル、工場などを改造し、賃貸住宅として供給する案も検討されている。これについて、野党は「ホテルの客室を改造するといったいい加減な弥縫(びほう)策を打ち出そうとしている」と反発している。不動産専門家の間でも「既に実施中の政策の二番煎じで、供給戸数を増やすことにばかりにきゅうきゅうとしている」との批判が聞かれる。
韓国政府が示す今回の賃貸住宅対策の核心は「買い取り賃貸」と「保証金物件賃貸」だ。韓国土地住宅公社(LH)やソウル住宅都市公社(SH)など公企業が既存の住宅を買い取るなどして確保し、賃貸住宅として提供する方式だ。住宅物件を新築して供給する建設賃貸よりも早く供給できるメリットがある。しかし、マンションよりも多世帯、多世代住宅が多く、賃貸需要者のニーズには合わない。立地条件も悪いことが多く、「良質の賃貸住宅」とはかけ離れているとの声がある。
都心の空きオフィスや雑居ビル、工場、ホテルなどを改造し、賃貸住宅として供給することも検討される。民主党の李洛淵(イ・ナギョン)代表は17日、ジャーナリスト団体「寛勲クラブ」の討論会で、「ホテルの客室を住居用に変更し、賃貸する案が(政府発表に)含まれると聞いている」と述べた。ただ、ホテルは客室ごとに仕切られており、すぐに住宅として活用できるようにも思えるが、キッチンがない上、ワンルームが多く、一人暮らしでなければ生活が困難だ。2人以上の世帯も暮らせる住宅として供給するためには、大規模な工事が必要となるが、それには時間も費用もかかる。
(中略)
野党は政府・与党のホテル改造計画について、「鶏小屋に住めというのか」と強く批判している。
(中略)
インターネット上でも否定的な反応が相次いだ。ある不動産関連掲示板には「ホテルの客室を改造し、目に見える賃貸住宅の数だけ増やそうとしているようだ」「ホテルを改造するという話まで出たことは、結局『何の対策もない』と認めたものだ」「現政権は全国民を狭い部屋に押し込むことを賃貸住宅対策として打ち出している」といったコメントがあった。「賃貸住宅難がさらにひどくなれば、モーテルや簡易宿泊所まで賃貸物件として供給するのだろう」という皮肉も見られた。
(引用ここまで)
不動産価格上昇に伴い、首都圏では1年以上に渡ってチョンセ(前払い家賃制度。
Wikipedia)が上昇を続けていることから、韓国政府は対策法案をまとめることになりました。
それが賃貸借3法と呼ばれるもので、7月に国会で成立して即日施行されました。対策を取られる前に施行する、という不意打ちを狙ったわけですね。
この賃貸借3法の主眼はふたつ。
・2年間の賃貸の後、借りている側が契約延長を申し出ることができる(4年間、同じ家賃で住み続けられる)。
・貸している側はどのような場合でも賃料を5%しか上げることができない。
どれほど物価が上昇していようとも、どれほど周辺地価が上昇していようとも。
上げることができる賃料は4年に一度の5%だけ。
政府高官、公務員は2件以上の不動産を持ってはいけないという
実質的な不動産所有制限に続き、今度は「借主保護」「テナント保護」を言い訳に不動産所有者を締め上げようとしているわけです。
韓国では不動産所有は罪、ということです。
もちろん、貸している側も当然のように賃貸借3法が成立する前に大幅な値上げをしていたりするわけですが。
「即日施行するのでは」という読みが最初からあったのです。
これまではチョンセのみだったところが、審議の最中に一般的な月家賃のウォルセになったり、チョンセ+ウォルセの併用になったりしているそうです。
家主側が「本人が居住することになった」という言い訳で借主を追い出したりする、なんてことも続出しているとのこと。
で、それによって「前払い家賃(契約終了後には返還)で楽に住める」チョンセ形態で貸し出される不動産が極小になり、チョンセ難民が続出している。
というわけで、今回はその対策として1室15平米ほどのホテルを買い上げて「賃貸住宅」として貸し出そうとしている、というわけです。
普通に考えたら台所もなにもない15平米のホテルに暮らすなんてことができるかどうか分かりそうなもんですが。
まあ、60代以上の官製雇用、それも月30万ウォンていどのものだけを増やして「雇用市場は安定している」って自画自賛する韓国政府にとっては「賃貸物件は増えている」という数字だけが必要なのですよ。
どう考えても泥縄でなんの意味もないのだけども。
まあ、数字さえ揃っていればいい、という考えかたは実にソ連風味ですね。密植栽培は正義。