楽韓Web BOOK Review 02
これだけは知っておきたい日本と韓国・朝鮮の歴史
書名 これだけは知っておきたい日本と韓国・朝鮮の歴史
著者 中塚明
出版社 高文研
ISBNコード 4874982840
価格 1300円
・これだけは知っておきたい……の?
 難しい漢字にはルビが振られ、大きな活字で読みやすい。どうやら扶桑社の新しい歴史教科書へのカウンターパートとしてつくられた、中学生くらいを対象としている書籍の模様。
 しかし、その内容は思考停止して、韓国の中学生・高校生用教科書を引き写しているだけのひどい本としか言いようがない。
 いくつか具体例を挙げてみましょう。本書の『3・1独立運動』に関する記述がいい例になるでしょう。

・本書と韓国歴史教科書における3・1独立運動の扱いの共通性
 Googleあたりで『3・1独立運動 朝鮮』と検索してみてください。
 韓国や北鮮であれほど称えている独立運動にも関わらず、そのリーダーの話がほとんどのところで出てきません。
 多くの場合、朝鮮のジャンヌ・ダルク(笑)こと柳寛順の話が出てくるのみ。
 独立宣言書に名前を記したメンバーの名前を知ることすら難しいという状態です。
 なぜなら、3・1独立運動のリーダーであった李光洙や崔南善はその後、内鮮一体運動を推して戦後に『親日派』として糾弾されるからです。
 この場合の『親日派』とは朝鮮語でチンイルパと読み、韓国・北鮮において『売国奴』を意味しています。
 本書に関してもリーダーであった李光洙や崔南善の話は出てきません。韓国の歴史教科書と同じく、柳寛順の話が出てくるのみ。
 創氏改名に際してその初日に香山光郎と改名したほどのチンイルパである李光洙の話は朝鮮半島の国定歴史にとって都合が悪いのでしょう。
 他にも「3・1独立運動がアジアに波及した」というような、韓国の歴史教科書に載っている嘘も、本書にはそのまま書かれています。国連(アメリカ)に独立させてもらった韓国人とは異なり、自分たちの手で独立を勝ち取ったアジアの人々を貶めているわけですね。

・関東大震災の犠牲者数に見るリテラシーの欠如
 もうひとつ、例を挙げましょう。
 関東大震災の朝鮮人虐殺云々に関して本書は、案の定「朝鮮人虐殺云々」という話題を出してきます。
 わたしも無辜の朝鮮人を殺害した事件がなかったとは言いません。
 しかし、本書では「不十分な調査でも犠牲者は6600人以上」といった記述をしています。たしかに、この調査は不十分なものです。調査方法が。
 この数字は当時、朝鮮半島にも日本にもおらず、上海にいた朝鮮人がプロパガンダ紙に掲載したものです。根拠は不明。震災全体の犠牲者を記したとも言われますが、どちらにせよ間違っています。
 6600人といえば、当時関東地方にいた朝鮮人の約半数に当たります。このような大量の朝鮮人虐殺があったのならば半島からの人口流入は止まりそうなものですが、現実にはこの年も、翌年も増加しています。
 リテラシーの欠片もないことがよくわかります。

・すべての日本人は朝鮮を蔑視している! しているんだったら!
 著者は反す刀(数打ちですが)で司馬遼太郎先生の記述にも牙を剥きます(虫歯かつ歯槽膿漏ですが)。
 司馬先生がその著書で『李氏朝鮮には貨幣制度がなかった』と書いていることを批判し、実際には貨幣制度が成立していたと言い張っています。そこから、「司馬先生ほどの知識人ですら朝鮮を蔑視していた。ましてや一般大衆にいたってはどれほど朝鮮を蔑視していることか」という論を張ります。
 メチャクチャだ。
 まぁ、たしかに貨幣はありましたよ。貨幣は。
 しかし、イザベラ・バードの「朝鮮紀行」やシャルル・ダレの「朝鮮事情」を見るかぎり、著者がいうところのの貨幣制度は明らかに破綻している。そもそも貨幣が存在するだけでは、貨幣制度があるとはいえません。
 シャルル・ダレの『朝鮮事情』から貨幣制度の記述を引用しましょう。

 商業の発達に大きな障害になっているものの一つに、不完全な貨幣制度がある。金貨や銀貨は存在しない。これらの金属を塊にして売ることは、多くの細かい規則によって禁止されている。(中略)
 相当量の支払いをするためには、一群の担ぎ人夫が必要となる。というのは百両或いは百通銭(約200フラン)は、一人分の荷物になるからである。北部地方ではこの貨幣すら流通していない(中略)
 最近では次々に貨幣が鋳造され、それがだんだんと悪質になっている。昔の銭は銅製で、僅かに不純物が混じっていたのに対し、新しい貨幣は殆ど鉛になって急速に質が落ちている。しかしそこで利益を得るのは政府ではない。政府は必要なだけの銅を鋳造業者に供給するが、業者は銅を鉛に代えて、戸曹判書(大蔵大臣)或いは特別に検証の役にあたる官吏と利得を分けあうのである。

 この状況をもって、貨幣制度が成立しているといえるのでしょうか。
 この場合の貨幣制度の有無とは実際のそれを問題としているのではなく、その運用、ひいては貨幣制度の裏づけたるまともな政府の存在を意味していることは明らかでしょう。
 そもそも、ソウルと平壌のほかではほとんど貨幣は使えなかったようです。
 このような外国人による描写がいくらでもあるにも関わらず、著者は吼え続けます。
 『日本人は英語でなら12345・・・という数字を読めるのに、朝鮮語では読めない。なぜなら朝鮮を蔑視しているから』
 『アメリカの都市ならいくつでも挙げられるのに、韓国の都市はいいところ2つ。なぜなら朝鮮を蔑視しているから』
 もう、いちいち突っ込むのが疲れるほど全編がこの調子。
 韓国の国定歴史教科書を読んでいたほうが、まだ得るものがありますね。
 なお、本書の著者は朝鮮新報(朝鮮総連の発行する新聞)にインタビューを受けています。
 なるほど『朝鮮総連』の『朝鮮新報』、ね。
 よく理解できる話です。

【楽韓Web TOP】 【BOOK REVIEW】