相互RSS募集中です

カテゴリ:日韓関係の記事一覧

韓国メディア「日本政府への賠償命令が出た……が、実際どうやって賠償を求めるのか?」と困惑気味

<慰安婦被害者賠償判決>日本政府の資産で賠償は…「大使館不可侵、差し押さえ、売却できず」(中央日報)
ただ、実際に賠償金を受けるのは容易でない。まず裁判自体を認めない日本が賠償する可能性が低い。この場合、日本企業強制徴用賠償判決のように被害者が日本政府の国内資産を差し押さえた後に売却して賠償金に変える方法を見いださなければいけない。 (中略)

問題は韓国国内に差し押さえ可能な日本政府の資産があるかという点だ。訴訟を遂行したキム・カンウォン弁護士も判決直後、「強制執行が可能な財産があるかは別に検討すべき事項であるため、即答は難しい」と述べた。外交部もこの部分は正確に把握できないという。

まず在韓日本大使館の建物と敷地、大使館の車両などは強制執行が不可能だ。ウィーン条約第22条第3号は「公館、公館内にある用具類その他の財産及び使節団の輸送手段は、捜索、徴発、差押え又は強制執行を免除される」と規定している。

日本文化院も外務省所属の政府機関であり、各国派遣大使館(または総領事館)の一部としてウィーン条約の特権が保証されるという。 (中略)

法曹界は今回の訴訟が日本政府の不法行為と賠償責任を明確にしたという「象徴的な意味」が大きいとみている。今回の判決は他国を訴訟の当事者として裁判はできないという主権免除原則に例外を認めた国内最初の事例であるからだ。 (中略)

崔鳳泰弁護士は「国内裁判所が強制執行に入る場合、日本政府との外交的摩擦が避けられない」とし「今回の判決をきっかけに日本政府を交渉テーブルに引き込むことが重要だ」と強調した。
(引用ここまで)


 韓国メディアからも「日本政府に賠償命令が出ているが、なにができるのか」という話がいくつか出ています。
 で、けっきょくは「なにもできないのでは」という結論になりつつあります。
 大使館、公館の類いには手が出せないし、日本文化院(公報文化院)も日本大使館所属の施設として保護対象。
 というか、そもそも日本政府の財産に手を出すようなことになったら、大使館撤収まであり得ますわ。
 強制執行の手続き中に大半の元慰安婦も亡くなるでしょうしね。

 で、「メッセージを強く見せる側面が強い」とか「日本政府をテーブルに引きこむことが重要」とか言い出している。
 そんなん言われても訴訟にすらミリほども対応しなかった日本が乗ってくるわけもないのにねぇ。
 日本政府の財産に被害が出れば同額相当の対応をすることになるでしょうし。
 実際の被害が出ればエスカレーションは止まらないでしょう。
 そこまでは韓国政府も(少なくとも現在は)求めていないと感じます。対米関係を含めても。

 やっぱり韓国政府にとっては「コレジャナイ」判決だったように感じますね。司法判断があまりにも大きく日韓関係にそのものに踏み込みすぎている。
 慰安婦合意で日本政府から供出されている金額の残りでなんとかするのか。
 ですが、元慰安婦らは「金じゃない、求めているのは日本政府の謝罪だ」って重ねていってますしねぇ。
 さて、どうするつもりなのやら。

韓国政府「なんて判決が出てしまったんだ」と頭を抱えている模様……一縷の望みは「慰安婦合意」の復活?

韓国政府「判決尊重、韓日の協力続くよう努力」 元慰安婦勝訴受け(聯合ニュース)
旧日本軍の慰安婦被害者12人が日本政府を相手取り損害賠償を求めた訴訟で、韓国・ソウル中央地裁が8日に原告勝訴の判決を下したことについて、韓国外交部は同日、「政府は裁判所の判断を尊重し、慰安婦被害者の名誉と尊厳を回復するためにできる限りの努力を尽くす」とする報道官論評を出した。

 また外交部は「政府は2015年12月の慰安婦問題を巡る韓日政府の合意が両国政府の公式合意である点を確認する」とした上で、「同判決が外交関係に及ぼす影響を綿密に検討し、韓日両国の建設的かつ未来指向的な協力が続くよう努力を傾ける」とした。 
(引用ここまで・太字引用者)


 8日の午前、そこそこ早くに元慰安婦ら原告が勝訴したという一報が入ってきまして。
 韓国政府は延々と反応を見せなかったのですね。
 ようやく外交部が夕方になってから「政府は裁判所の判断を尊重し、慰安婦被害者の名誉と尊厳を回復するためにできる限りの努力を尽くす」という木で鼻をくくったかのようなリリースを出したのみ。
 大統領府はなんの反応も見せていません。
 まあ、そのまま週末に入ってしまったのでこれ幸いとばかりに沈黙を保っているという感じ。

 ただ、全体的なトーンとして韓国政府も判決について戸惑っているというイメージ。
 ここ2ヶ月ほど、韓国政府は対日関係を改善したいという意向を明らかにしないまでも、いくつかのメッセージを送ってきていました。
 「知日派」とされているカン・チャンイル前議員が新たな駐日韓国大使として指名されたことなど、ですね。
 これはアメリカがバイデン政権に移行することで、これまでのトランプ政権下で半ば以上放置されてきた日韓関係にメスを入れるようになるという予測があったからでしょう。
 少なくとも「韓国政府は日韓関係を改善しようとする試みはしている」という話にしたい、という部分があった。
 で、「韓国政府は改善に前向きなのに、日本がそれを拒絶している」という絵を描きたかったわけです。

 ところが裁判所が「慰安婦らの扱いは違法だった」くらいのことを言い出して、執行してしまったら最後、日韓関係が不可逆的に壊れてしまうほどの判決を出してしまった。
 ムン・ジェインらのやってきたことが反映されている判決であるからこそ、頭を抱えている感がありますね。
 韓国政府にはもはや打つ手がないレベル。

 そこで希望を見いだしたのが、慰安婦合意ではないか……という感じ。
 財団を解散させるなど実質的な破棄をしてきましたが、実際にはペンディングされている状態。なにもしてはいないものの、破棄をしきっていない。
 2015年の年末に形成された合意にはアメリカも大きく噛んでいました。オバマ政権下で当時のバイデン副大統領もその一員として関わっていたわけです。
 バイデン氏は副大統領として「アメリカの逆側に賭けるのはよくない」とパク・クネ大統領(当時)に語りかけたように、中国に傾倒する韓国に対して傾向をし続けてきた人物でもあります。

 というわけで韓国政府は慰安婦合意に一縷の望みをかけはじめた……という感触なのですが。
 そもそも、「この合意は被害者が望んだものではない」として(実質)破棄を主導したのはムン・ジェイン大統領本人なのですがね。
 国際的な公約としての「慰安婦合意」に従うことはアメリカからも好ましく見られるでしょうが。
 じゃあ、その「堕落」をムン・ジェイン支持派はどのように受け止めるか、という話でもあると思うのだけどなぁ。

 ムン・ジェイン政権は理想と現実を一切すりあわせることなく、理想だけを追求する方向性でここまで運営されてきました。
 それを放棄するのか、放棄できるのか。
 そして放棄した時に「頭が壊れても文在寅支持」としてきた強硬的なムン・ジェイン支持派がどのように動くのか。
 そのあたりが注目点ですかね。

韓国メディア「慰安婦裁判は『日本政府に最後通牒』が出された」……いや、最後通牒が出されたのは韓国政府だよね?

カテゴリ:日韓関係 コメント:(113)
「日本政府に最後通牒判決」…冷え込む韓日関係(中央日報)
しかし今回の訴訟の被告が日本の企業や個人など民間でなく日本政府という点は、韓日関係に及ぼす影響がそれだけ大きいという意味でもある。朴チョル熙(パク・チョルヒ)ソウル大国際大学院教授は「司法府の判決は外交の領域とは違い、交渉や対話の余地がない」とし「相手国の政府を対象に事実上の最後通牒をする判決が下された状況で、わが政府が外交的に何かをする余地が減るしかない」と述べた。 (中略)

こうした雰囲気のためか、外交部は判決から6時間半ほど過ぎてから公式的な立場を出した。「政府は裁判所の判断を尊重する」としながらも「韓日政府間の慰安婦合意が両国政府の公式合意という点を想起する」という立場からは、容易に次の手を打てない政府の深い悩みが感じられる。

さらに20日に米国でバイデン政権が発足するという点も状況をさらに複雑にする。裁判所はこの日、被害者の損害賠償請求権は消滅していないと判断し、「これは2015年の日本軍慰安婦被害者問題関連合意の適用対象にも含まれない」と明らかにした。2015年当時の韓日慰安婦合意の隠れた当事者は米国だった。特に当時の合意はオバマ前大統領が直接関与した事案だった。当時副大統領だったバイデン氏と国務副長官だったトニー・ブリンケン氏(次期国務長官に指名)は状況をよく知っているということだ。

李元徳(イ・ウォンドク)国民大教授は「米国は韓日慰安婦合意を評価するという立場だったが、今回の判決で『韓国がまた問題を持ち出した』と考えるかもしれない」とし「日本もこうした状況を活用して逆攻勢をかけるはず」と憂慮した。
(引用ここまで)


 散文気味に今回の慰安婦裁判について書いてみようかなと。

 わざわざ裁判所が「この判決は慰安婦合意に関係ない」と傍点を振ってきた、ということは裁判所側もそこが弱点であるという認識をしているのでしょうね。
 昨日書いたように、この判決によって韓国政府が取れる手段は極端に少ない。
 記事では「日本政府に最後通牒」とありますが、実質的には韓国政府に対して「動きを見せろ」という最後通牒が司法から出された、ということなのです。

 主権免除が適用されない、という判断もおそらく国際的に見て通用しない。
 ドイツとイタリアの間で行われたICJへの提訴でも、「戦時の出来事であっても主権免除は適用される」とされています。
 ただ、日本と韓国の関係性はちょっと違っていて。
 当時、同じ国であった立場であり、戦後に分割されたというパラメータがあって、そこがどう動くか不明。
 とはいえ、そもそもの判決が理不尽であることに変わりはなし。

 「三権分立」を建前に沈黙を続けている韓国政府ですが、そもそも論で言えばムン・ジェインこそがこの判決を招いているわけですよ。
 パク・クネ政権下では延々と封印されてきた徴用工裁判を再開し、かつ慰安婦合意を(実質的に)破棄してきた。
 そこにはなんら外交的な熟慮もなく、ただただ「パク・クネ政権下で行われた積弊」という怨念だけで行われてきたのです。
 もうちょっと「この動きが外交的にどう作用するか」ということを考えることができれば、せめて「積極的には動かない」という選択肢もあったでしょうにね。  その結果が日韓関係の破綻なのです。

 特に慰安婦合意に関して当時の担当者に意見を聞く、とかもしなかったでしょう。
 なにしろ、主導した当時の大統領府秘書官まで飛ばされている……どころか、裁判にかけられて収監されてます。
 それ以外の官僚もばんばん左遷されて、外交部からは日本通もアメリカ通もいなくなっているとの話。
 当時の担当者から実際の事情を聞けば、アメリカがどれほど関わっていたか等を理解していたでしょうが。
 逆にいえば慰安婦合意についてアメリカを充分に巻きこんだ日本側がまともな外交をした、ということでもあります。

 まあ、ムン・ジェイン政権が「1919年建国主義」をとる以上、米韓軍事同盟も日韓基本条約も認められず、こうした方向性とならざるを得ないのですけどね。
 そういう意味においては自分たちの原則に従っているとはいえます。
 それにしても理想と現実のすりあわせが一切できてないんだよなぁ……。
 あのノ・ムヒョンですら支持者の反発を承知の上で米韓FTAを結び、イランへの派兵をしたほどだったのですが。
 中国政府は現在、全方位に喧嘩を売る戦狼外交を繰り広げていますが、韓国も似たり寄ったり。
 その結果、「あの大統領はちょっとおかしいのでは」と欧州某国首脳から言われてしまうという。

 逆にいえば日本は韓国のペースに巻きこまれずに、原則論を繰り返すだけでいいと思われます。
 GSOMIA破棄その取り消しにまつわるぐだぐださを見ても、それは理解できるんじゃないでしょうかね。

慰安婦訴訟で日本政府に賠償判決……実は韓国ができることってないのでは?

カテゴリ:日韓関係 コメント:(165)
日本「国際法『主権免除原則』に反する…慰安婦賠償判決、断じて受け入れられない」(中央日報)
日本政府が韓国裁判所の「旧日本軍慰安婦被害者賠償判決」を受け入れられないとして強く反発した。

加藤勝信官房長官は8日の定例記者会見で「こうした判決が下されてきたことは極めて遺憾」としながら「断じて受け入れることはできない」と明らかにした。
(引用ここまで)


 日本政府は「受け入れられない」という声明を出し、加藤官房長官から韓国大使を呼び出して抗議をしたことを明らかにしています。



 さて、これからの韓国側の動きをちょっと想定してみましょう。
 日本政府は「主権免除で裁判は成立していない」と主張しており、控訴しない。つまり、地裁判決のままで確定。
 というわけで、韓国国内では日本政府に賠償責任が生じるわけですが。
 さて、韓国政府はなにができるか。
 ……どうもなにもできないのではないか、という感触。

 日本政府が賠償に対応するわけがない。
 かといって、韓国政府がICJに出てくるわけもない。
 強制執行でなにを差し押さえるのか、という話になるのでしょうが。

 大使館、公館についてはハーグ条約に基づいて手出しできません。
 まあ、主権免除もハーグ条約に基づいているのでなにをいまさらという話でもありますが。
 そもそも現状の日本大使館はビルの中で間借りして運営されている状況。
   大使館跡地は日本政府の所有する土地となっていますが、これに手をつけることはさすがの韓国政府もできないでしょう。
 大使館、公館以外の日本政府所有の財産もなにかはあるでしょうけど、日本政府はほとんど公社を持っていないのでなかなか難しそう。

 ちなみに今回の韓国のやりようは国際秩序が崩壊する可能性を秘めているのですね。
 韓国のやりようが認められてしまうと「被害がある」と主張できたらどれだけ遡ってもいいし、無制限にむしっていいことになる。
 徴用工判決によって「併合時はすべてが違法」という状況になったいま、韓国では同じような判決がこれからも出るのは間違いないところ。
 ちなみに今月中にもう一件、同じような元慰安婦らによる訴訟が判決言渡を迎える予定。
 ま、さらに関係悪化するのがよいです。それが自然な状況となるくらいでいいでしょう。

主権免除を認めない韓国の慰安婦訴訟判決 → 即座にYahooのトップニュースへ……時代は変わったなぁ

慰安婦訴訟で日本政府に賠償命令 韓国地裁、外交関係一層悪化へ(共同通信)
 韓国のソウル中央地裁は8日、故人を含む旧日本軍の元従軍慰安婦の女性12人が日本政府に損害賠償を求めた訴訟で、請求通り1人当たり1億ウォン(約950万円)の支払いを命じる判決を言い渡した。日本企業が賠償を命じられた元徴用工訴訟に続き、1965年の日韓請求権協定で韓国人の個人請求権問題は解決済みだとの日本側主張を覆す韓国の司法判断が出た。

 日本政府は反発を強めており、外交関係は一層悪化しそうだ。政府は8日、韓国の南官杓駐日大使を東京都内の外務省に呼び抗議した。外務省幹部は「国際法的にも常識的にも、あり得ない判決だ」と話した。
(引用ここまで)


 今回の判決を日本のメディアがどのように報道するかを注視しようかな、と思っていたのですが。
 そうするまでもなく、この記事がYahoo! JAPANでニュースのトップ項目に。

スクリーンショット 2021-01-08 11.43.24.png

 さらに判決が出た時点での速報が日経アプリ、Yahoo!ニュースアプリからもきてました。
 テレビをまるっきり見ないので分からないのですが、ニュースでもそれなりにトップ項目として扱われているようですね。
 緊急事態宣言関連ニュースの次くらいにはきているそうです。

 日本側の扱いとしても「あり得ない」「国際的に認められない」といった反応のものが多数。
 まあ、韓国ですから当然こうなるとは思ってはいましたが。
 そうした認識が日本に拡がっているというのはよいことです。
 20年近く楽韓Webをやってきた甲斐があるというものですね。

 内閣府の実行している外交に関する世論調査でもすっかり嫌われ役が定着していますし、嫌われ具合としては場合によっては中国を越えることすらある。
 そういえば令和2年版が公開されていませんが、このあたりもコロナ禍で大変なのでしょうかね。

日本政府を相手取った慰安婦訴訟、原告が勝訴。裁判所は「日本政府は1人に1億ウォンの賠償をせよ」と判決

慰安婦被害者損害賠償訴訟、1審勝訴…韓国裁判所「日本政府、1億ウォンずつ賠償せよ」(中央日報)
ソウル中央地裁民事合議34部(裁判長キム・ジョンゴン)は8日午前9時55分、故ペ・チュンヒさんら慰安婦被害者12人が日本政府を相手取って起こしていた損害賠償請求訴訟で、原告に1億ウォン(約949万円)を支払うよう命じる判決を下した。
(引用ここまで)


 おおかたの予想通り、「日本政府が敗訴」した形となりました。
 日本政府は公式には完全に黙殺することになるので、原告側は韓国に存在する日本政府の財産を取り押さえて現金化することになるでしょう。

 さて、その際に韓国政府はどのように動くのか。
 ギリシャ政府のように法執行を差し止めるのか。
 ICJに持ち込み、提訴するのか。
 はたまた嬉々として日本政府の財産を没収するのか。

 それでなくても下がっている支持率の中、ムン・ジェイン大統領はまともな手立てを取ることができるのかが問われているところですが……。さて。

1月8日、日韓関係は最悪の事態を迎えるのか……主権免除を認めるかを争う裁判の判決が

カテゴリ:日韓関係 コメント:(101)
慰安婦被害者が5年間待った宣告…明日、日本政府を相手取り起こした損賠訴訟の結論へ(中央日報)
旧日本軍「慰安婦」被害者が日本政府を相手取って起こした損害賠償訴訟の結論が8日、下される。韓国裁判所が被害者が直接提起した損害賠償訴訟に判断を下すのは今回が初めてだ。裁判の結果が今後の韓日関係にも影響を及ぼすという観測が出ている中、判決に対する関心が集まっている。 (中略)

8日宣告は2013年8月慰安婦被害者12人が日本政府を相手取って「1人当たり1億ウォン(約950万円)ずつ12億ウォンを賠償せよ」という民事調整申込書を出して始まった。だが、日本政府は「ハーグ送達条約第13条」を挙げて調整を拒否した。ハーグ送達条約は「自国の主権・安保を侵害するものと判断される場合」、送達を拒否することができるように調整する国際業務条約だ。これを受け、ペさんらは2015年10月事件を正式裁判にかけてほしいと求めた。裁判所はこれを受け入れて翌年1月ソウル中央地裁民事合議部に事件を配当した。

正式裁判は始まったが、日本政府が参加を拒否して4年間公判が開かれることができなかった。これによって裁判所は昨年1月「公示送達」の手続きを通じて裁判を開いた。公示送達は当事者の住所などが分からない、または送達が不可能な場合、書類を保管しながら裁判所の掲示板に掲示する送達方法だ。該当手続きによりペさんらは計4回の裁判にかけて昨年10月開かれた最終弁論を最後に8日最終宣告だけを残している。

裁判の最大争点は裁判所が「主権免除論」の例外を認めるかどうかだ。主権免除論とは、「一国の裁判所が他の国を訴訟当事者として裁くことはできない」という国際慣習法だ。日本政府はその間主権免除論を前面に出して訴訟参加を拒否しながら無対応の立場を守ってきた。

裁判所が日本側の論理を受け入れれば事件は却下されるが、例外を認める可能性もあるという分析もある。チェ・ポンテ弁護士(法務法人「サムイル」)は「ギリシャ・イタリアでもドイツ・ナチスによる被害者が提起した訴訟で主権免除論を排斥した」として「人権侵害にあった被害者が被害を補償されるための最後の手段として裁判に出ただけに主権免除原則を適用しないだろう」と見通した。

裁判所が原告である慰安婦被害者の軍配を上げるといっても日本政府が控訴する可能性は大きくないものとみられる。漢陽(ハニャン)大学日本学科のキム・ジヨン教授は「日本政府は裁判そのものを認めていないため、今回の1審が最終審になる可能性が大きい」と説明した。

今回の訴訟が韓日関係に影響力を及ぼすだろうという声も上がる。聖公会(ソンゴンフェ)大学日本学科のヤン・ギホ教授は「2018年10月大法院(最高裁)の強制動員被害補償判決以降、日本では関係回復に向けた韓国政府の提案を受け入れていない」として「象徴性が強い慰安婦被害者に対する賠償判決まで出る場合、日本側が外交的に韓国に圧力をかける可能性もある」と分析した。韓国政府は司法府判断に行政府が介入してはならないという立場だ。外交部関係者は「司法府の業務に政府が立場を出すのは適切でない」と明らかにした。
(引用ここまで)


 さて、ついに慰安合意(実質)破棄、徴用工判決放置の次の日韓関係悪化3点セットのトリをつとめる慰安婦裁判の判決が明日となりました。
 まず最初の問題は韓国の地裁が日本の主権免除を認めるか否か、裁判を棄却するか否かですが。
 おそらくは認められないというのが韓国国内の、そして日本からの見方。

 徴用工裁判での「日韓併合時期における日本政府の所業はすべてが違法」という観点からもしてもまず間違いなく日本政府の賠償を認める判決が出ることでしょう。
 そして記事中にもありますが、日本政府は裁判の存在自体を認めないので控訴することなく判決が確定します。
 で、その後どうなるかということですが。

 記事中に「ギリシャ、イタリアではドイツの主権免除を認めなかった事例がある」とありますが、実はどちらも賠償請求は行われていません。
 ギリシャのケースではギリシャ政府がドイツに請求を行わずに握りつぶしました。
 イタリアのケースでは国際司法裁判所(ICJ)に持ちこまれ、主権免除が認められて賠償が認められませんでした。
 というわけで、これまで主権免除が認められないという事例はないのですね。
 なぜか韓国ではその後の経緯が描かれずに「主権免除が認められなかった事例がある」とばかり取り上げられているのですけども。

 ただし、韓国の場合はどうなるかというのは分からないのですね。
 というのも、日本がICJに提訴したとしても韓国が同意しない場合、裁判が成立しません。
 となると、韓国政府が日本政府の所有する財産を没収し、賠償にあてることになるのですが。
 そんなことをした日には、もう戦争寸前の状態となるわけです。
 さすがに今回はICJへの提訴に同意するんじゃないかと思うのですが。

 ただ、ムン・ジェイン政権だからなぁ……。
 日本側はムン・ジェイン(および、ムン・ジェイン政権)の無能さ、ポンコツ具合を低く見積もりすぎていた感がありますね。それは楽韓Webも同様ですが。
 まさかGSOMIAの破棄をするとは思わなかったし、まさか徴用工判決をここまで放置するとも思わなかった。
 ムン・ジェイン、および韓国が「勘違いした三権分立」を標榜し続ける以上、日本への賠償を求めざるを得ないかなぁ。

「バイデン政権は日韓関係の仲裁に入り、被害者第一主義でケアすべきだ」との願望を込めた記事がニューズウィークに掲載されるものの……

日韓関係の修復に意欲を見せるバイデン その仲介に必要な4つの心得(ニューズウィーク)
北東アジアでの同盟の立て直しは、バイデン次期米大統領にとって困難な課題になりそうだ。なにしろ、根深い歴史問題をめぐって日韓関係が悪化している。

バイデンは、同盟国である日韓の関係修復に貢献する気満々のようだ。だが従前の賠償条約・協定が抱える根本的な欠陥、すなわち被害者ではなく国益を優先する道は回避しなければならない。 (中略)

最後に、被害者中心の解決策は強い日米韓同盟の構築に向けた長期的投資だと、バイデンは日韓双方に強調しなければならない。両国の指導者を納得させるには個人外交が不可欠だ。

従来の仲介は長期的視野に欠け、被害者を置き去りにした結果が日米韓の取り組みにもたらすダメージを過小評価していた。同じ過ちを繰り返していては和解の試みに成功はない。
(引用ここまで)


 ディプロマット誌に掲載されたオピニオンがニューズウィーク日本版に掲載されています。
 著者のスアン・ズン・ファン氏なる人物は聞き覚えがありません。名前からするとベトナム人っぽい語感ですが。
 Twitterアカウントもあったので見てみたのですが、いまひとつプロフィールがはっきりしない人物ですね。

 記事の内容はざっくり「バイデン政権が日韓間の仲裁を引き受けたとしても、被害者中心主義でケアしていかないと韓国に通用しないだろう」というもの。
 要は韓国の言っていることを丸呑みしてそのまま書いているだけ。
 ムン・ジェイン政権によるロビー活動の一環かもしれませんね。

 ま、それはともかく。
 こういった形で「被害者第一主義でないと韓国が受け入れないだろう」と書いている、ということは条約・法治を前面に押し出していかれると韓国が困るということでもあるのです。
 日本政府はこのあたりをしっかりと認識して日韓基本条約、そしてそのベースとなっているサンフランシスコ平和条約にまで言及していくといった態度が必要になる……というところまで書いてて、ちょっと面白いニュースが飛びこんできました。

「米国務副長官に韓半島専門家シャーマン氏指名」(中央日報)

 ウェンディ・シャーマン氏が国務副長官に指名された、というもの。

 少なくない楽韓Webの読者が覚えていると思われますが、このシャーマン氏は2015年の国務次官時代に「指導者にとって、かつての敵を悪し様に言うことで国民の歓心を買うことは容易だが、こうした挑発は機能停止を招くだけで進歩がない」という発言をした人物。
 当時のパク・クネ政権に対して「歴史認識ガーと叫ぶのをやめろ」と言い出した人物、というわけです。この9ヶ月後、慰安婦合意が発表されたことを見ても合意形成に向けてなんらかの役割があったのではないかと思われます。
 クリントン時代から東アジアに関わってきた専門家といっていい人ですね。

 当時、韓国メディアは保革問わずにこのシャーマン発言に対して大発火状態となり、アメリカ側は「別に主語を韓国ってしたわけでもないのに、なんでそんなに騒いでんの」みたいな追撃をしていましたっけ。
 この人事からもバイデン政権が東アジアに対してどのように携わろうとしているのか、シルエットがうっすらと見えてきていますね。
 韓国メディアは「人権を重視するバイデン政権は韓国側につくだろう」「韓国の言い分を理解してくれるはずだ」と主張し続けているのですが。
 バイデン氏は副大統領時代に慰安婦合意に携わった人物でもあります。
 韓国の性悪さというものを8年間に渡って実感してきたということでもあるわけで。
 韓国メディアの思惑にははまってくれるとも思えないのですけどね?