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カテゴリ:北朝鮮関連の記事一覧

明白に巻き戻る米朝関係、アメリカが「ならず者国家」と「CVID」という敵対用語を復活させる意味とは?

米国務副長官が北朝鮮外務次官を批判した翌日…米国「北はならず者国家」「CVID」言及(中央日報)
7-9日に訪韓したビーガン米国務副長官兼対朝鮮政策特別代表の最後に公開された声は米朝対話再開要求だった。しかし北朝鮮の「事前拒否」にビーガン副長官も古い交渉方式はしないと一線を画しただけに、11月の米大統領選挙前の実務交渉再開は不透明だ。 (中略)

ワシントンでも米国の強硬な立場が示された。米国防総省は7日(現地時間)に行われた日本・豪州との3カ国国防トップ画像会談の結果を発表し、「北朝鮮は国連安全保障理事会の決議で禁止した大量破壊兵器(WMD)およびあらゆる種類の弾道ミサイルプログラムを完全かつ検証可能で、不可逆的な解体(CVID)をするための明確な措置を取るべきだ」と明らかにした。

CVIDという概念が米政府の公式声明に登場したのはおよそ2年ぶり。CVIDはジョージ・W・ブッシュ政権当時に初めて出てきた概念だが、北朝鮮はこれを対米白旗投降と見なして強い拒否感を表してきた。ところが北朝鮮の挑発抑止の責任を担う米国防総省の公式立場でCVIDが復活したのだ。

エスパー国防長官はこの日、国家国防戦略(NDS)目標を説明するため軍に送った映像メッセージで、北朝鮮をイランと共に「ならず者国家(rogue states)」と表現した。
(引用ここまで)


 北朝鮮に対して「ならず者国家」呼びが復活し、CVID ── 完全かつ検証可能で不可逆な解体 ──がアメリカから再度使われるようになった。
 象徴的ですね。

 トランプ大統領がイラン・北朝鮮を「ならず者国家」と指名したのは2017年9月の国連総会の場でのこと。
 9月3日に北朝鮮が過去最大規模の地下核実験を行い、それに対してトランプ大統領が国連総会で「北朝鮮はならず者国家だ」と切り捨てたのでしたね。
 マクマスター元大統領特別補佐官は「いつ開戦してもおかしくなかった」と当時を振り返っていましたし、河野前統幕長も「アメリカの軍事オプションはあり得た」と証言しています。
 この国連総会の後、10月にはニミッツ、レーガン、ルーズベルトの正規空母3隻を中心とした打撃群が第7管区に集結しました。
 あの時に巻き戻りつつある、というわけです。

 で、その一方で北朝鮮があれだけ「米朝交渉ではCVIDという言葉を使うな」としていたので、その代わりとしてアメリカはFFDVという言葉を使い始めました。
 これがシンガポールでの米朝会談前後からのことです。
 まあ、ヨーロッパでは関係なくCVIDを使い続けていたのですけどね。
 これはアメリカがシンガポール会談を否定しはじめた、と受け取ることが可能です。
 事態が変遷しつつある、ということだなー。

 なお、もちろんのことですが韓国は蚊帳の外です。
 ちなみにビーガン国務副長官は訪韓後の一連の会談で「拡大G7についても話し合いがあった」とメディアからは語られていますが具体的な話はなにも出てきていません。
 「ゲスト招待」で決まりかな、これは。

韓国人「キム・ジョンウンに朝鮮戦争で強制労働させられた件の損害賠償を請求するぞ!」→勝訴で非常に面白いことに……

カテゴリ:北朝鮮関連 コメント:(103)
「金正恩敗訴」で韓国の損害賠償攻勢が始まる?(ニューズウィーク)
韓国のソウル中央地方裁判所は7月7日、朝鮮戦争時代に捕虜となった元韓国軍兵士に強制労働をさせたとして、金正恩に対する賠償責任を認める判決を初めて下した。原告団は元韓国軍兵士の2人で、裁判所は北朝鮮に1人当たり2100万ウォン(約190万円)の支払いを命じた。

朝鮮半島情勢に詳しい龍谷大学の李相哲教授は、この判決を「歴史的」だと言う。「金正恩政権に対する裁判の管轄権が韓国国内にあることが示されたことに加え、金正恩に対して初めて民事責任を問うたことになる」

今回の判決を皮切りに、韓国で北朝鮮に損害賠償を求める訴訟が増えると李はみる。その候補は、2010年に46人が犠牲になった韓国海軍哨戒艦「天安」の撃沈事件だ。韓国の軍民合同調査団は撃沈の原因を「北朝鮮の魚雷によるもの」と結論付けた。そのほかにも、韓国軍元捕虜が約8万人、拉致被害者は約10万人いると韓国メディアは報じており、彼らが裁判に訴えることになれば膨大な数の訴訟が起こされる可能性がある。 (中略)

もっとも、北朝鮮が今回の判決を認めて賠償金を支払う可能性はほぼない。そのため、韓国政府が北朝鮮に支払うことになっている、金正恩の動静や北朝鮮の情勢などを伝える映像の使用料や著作権料などを凍結・差し押さえることで、賠償金の支払いに充てる可能性が高いとみられている。

一方で、南北融和政策を進める文在寅政権への影響はどうなるのか。李は「かなりの打撃になる」と指摘する。「ただ、まだ一審の判決のため予断は許さない。最高裁判長は文が任命し、文と思想が近い人物だ。一審の判決がひっくり返される可能性はある」
(引用ここまで)


 この「北朝鮮に対して、韓国人から民事訴訟が起こされる」という事態、かなり面白い。
 今回は朝鮮戦争で捕虜になった元韓国人兵士に対する強制労働への損害賠償請求。
 これが通ったのであれば、北朝鮮によって行われてきた被害に対して賠償を請求できるはず。
 ぱっと思いつくだけ書いてみても、天安撃沈事件、延坪島砲撃事件、第1延坪海戦、第2延坪海戦、江陵浸透事件等々。
 こうした北朝鮮を相手にした戦闘で犠牲になった人々から損害賠償請求が次々と起こされる可能性が出てきた、というわけです。
 となると大韓航空機爆破事件、ラングーン事件等も訴訟可能か。

 そして、ムン・ジェイン政権は日本に対して「行政、立法は司法に対して介入することはできない」とかいう三権分立を誤解した解釈を披露しています。
 なので、判決さえ出てしまえば、差し押さえを止められない。
 例えば開城工業団地の操業や金剛山観光事業を再開したとして、韓国から北朝鮮にはお金が行かない。
 ね、なかなか面白いでしょ?

 まあ、そういった判決を阻止するために司法へ介入してくるかもしれませんが。
 それはそれでいずれ暴露があるでしょうから、面白いことになるでしょうけど。
 これは大法院判決が楽しみですわ。ムン・ジェイン政権の間に大法院(最高裁)判決が出るかどうかは微妙なところですけどね。

北朝鮮「ムン・ジェインはまだ仲裁者の立場に未練が強烈なのか」「耳が遠いのか、気ままにしゃべるだけなのか」と強烈に「米朝首脳会談を主導」発言に反発

ビーガン氏あす訪韓するのに、北朝鮮外務次官「米国と対座する必要ない」(中央日報)
ビーガン副長官訪韓の日、北朝鮮外務省「われわれは米国人と対座する考えがない」(中央日報)
北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)第1外務次官が4日、「朝米対話を自分らの政治的危機を処理するための道具としか見なさない米国とは対座する必要がない」と話した。米国務省のビーガン副長官兼北朝鮮政策特別代表の7~9日の訪韓を控え米朝対話の意思がないとテーブルを蹴飛ばしたのだ。

米国の独立記念日に出された談話で崔次官は「われわれと枠組みを新しくつくる勇断を下す意志もない米国がどんな小細工を持ってわれわれに接近するかということは、あえて会わなくても明白である」とし、「米国が、いまも協商などを持ってわれわれを揺り動かすことができると思うなら誤算である」と話した。その上で「朝米対話を自分らの政治的危機を処理するための道具としか見なさない米国とは対座する必要がない」とした。
(引用ここまで)

 今日、スティーブン・ビーガン国務副長官(北朝鮮担当特別代表)が訪韓します。
 2泊3日で韓国政府と協議後、日本に向かうとのこと。
 もちろん、議題は北朝鮮の核問題。

 さて、ムン・ジェイン大統領は「11月のアメリカ大統領選挙前に米朝首脳会談を行いたいので、そのように両国に働きかける」と宣言しました。
 要はトランプ大統領に「大統領選挙前に『北朝鮮と和解する』という歴史的なレガシーを残せば選挙戦を有利に戦えませんかねぇ?」という実に下卑た働きかけなのですが。
 もっとも、その直後にすでにアメリカ当局者から「なに言ってんの」くらいの扱いを受けていますが。
 まあ、それでもそのあたりの話も出るのでしょう。
 なにしろ「外交王ムン・ジェイン」のお言葉ですから。あまりの外交手腕にホワイトハウス内部にファンクラブが結成されているとの話ですしね。

 ですが、ビーガン副長官のカウンターパートにあたる北朝鮮のチェ・ソンヒ第1外務次官から4日に「我々はアメリカと対座するつもりはない」との発言がありまして。
 さらに今日も同様に北朝鮮外務省のウォン・ジョングンアメリカ担当局長から「チェ次官の言うように我々はアメリカと対話するつもりはない」と重ねて談話発表。
 この物言いがすごくてですね──。
クォン局長はまた、韓国政府の「仲裁者役」の再推進もまた非難し、仲裁拒否の意思を明確にした。彼は「(崔第1次官の)談話では、時もわきまえずまたもや、朝米首脳会談の仲裁意思を明らかにした差し出がましい人についても言及した。にもかかわらず、耳が遠いのかそれとも気のままにしゃべるのに慣れているのか、今も南側の近所からは朝米首脳会談を仲裁するための自分らの努力には変わりがないという途方もない声が引き続き出ている」と指摘した。

続けて「自分のことも処理できずに他人のことを心配しているのだから、実に見ものだというべきであろう。そのように、しきりにひょいと時もわきまえず寝言のようなことを言っているのだから、北南関係だけがよりいっそう悪くなるだけだ」と批判した。

その上で「実に、見るのも気の毒だが、『仲裁者』になろうとする未練がそんなにも強烈で、最後まで努力してみるのが本当に願いなら、やってみろということである。その努力の結果を見ることになるか、それとも元も子もなく嘲笑だけを買うようになるかは時間が経つにつれて分かることになるであろう」と付け加えた。
(引用ここまで)

 ザ・北朝鮮って感じですかね。
 というか、まあ正論。「自分の頭の上のハエを追えよ」って話。
 「もうおまえは仲裁者として破滅したのだから、大人しくしておけ」って談話。
 これだけ言われてまだ目があるって思えているのだろうなぁ……。

 その一方で韓国大統領府はこれらの談話に完全に沈黙中。

青瓦台「崔善姫談話」に沈黙・困惑…宋永吉議員「北の反発は対北制裁のせい」(朝鮮日報)

 そして統一部長官候補は「ワーキンググループと我々がやることは区分しよう」と提案。

韓国統一長官候補「韓米ワーキンググループと我々がすることを区分」…南北協力を独自で?(中央日報)

 このワーキンググループに対しては昨日も北朝鮮側から「完全解体しろ」と談話が出ています。
北朝鮮メディア、ビーガン副長官の訪韓前日に「韓米作業部会の完全解体を」(ハンギョレ)

 国連安保理による経済制裁を韓国が独自に破って援助を行うのか。
 そもそもこの米韓ワーキンググループはそういった韓国の暴走を防ぐために立ち上げられたものなのですが。
 ムン・ジェインの任期は残り1年10ヶ月。ちょっと焦りはじめてきたかな、というところ。
 2019年2月末までムン・ジェインは順風満帆だったのですけどね。
 ま、実際にはボルトン氏の回顧録を読んでも順風満帆のように見えていただけだったのですが。
 この半年くらいで大きく情勢が変化するのかもしれないなぁ……という感触です。


北朝鮮が韓国に強硬に出る理由……それは2年前のムン・ジェインの南北首脳会談での助言が原因だった

カテゴリ:北朝鮮関連 コメント:(70)
北朝鮮が恨む文氏の助言 2年前の会談に緊張の伏線(日経新聞)
北朝鮮と韓国の緊張関係が続いている。北朝鮮は南北共同連絡事務所の爆破に続き文在寅(ムン・ジェイン)政権を口汚く罵るなど、憤りを隠さない。原因をたどると、2年前の南北首脳会談で文氏が金正恩(キム・ジョンウン)委員長に伝えた助言に行き着く。 (中略)

共同宣言に「寧辺核施設の永久的な廃棄」と明記した。同行した文氏の外交ブレーン、文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官は「寧辺廃棄は文氏が強く主張した」と証言する。トランプ氏を米朝再会談に引き込もうと、文氏が金正恩氏に助言した秘策だった。

北朝鮮情勢に詳しい関係者によると、ハノイ会談の直前、朝鮮労働党統一戦線部は金正恩氏に、米国が寧辺廃棄との取引に応じると報告した。韓国当局からの情報を通じ、楽観的な見方に傾いた可能性がある。一方、日本政府は米国が北朝鮮との会談に厳しい姿勢で臨むことを把握していた。
(引用ここまで)


 日経のコラムにこれまで楽韓Webでも書いてきた「仲裁者のつもりで米韓首脳会談を主導し、破滅に至らせたムン・ジェイン」の話が出ているのでピックアップ。
 有料記事ですが、IDを無料登録すれば月に10本だったか見れるはず。
 まあ、そんなわけで引用は最低限にしておきます。

 ハノイでオールマイティとして使えると思っていた寧辺の核施設廃棄を進言したのはムン・ジェイン。
 そして、キム・ジョンウンはそれを信じてこのカードだけを持ってハノイに向かったものの、米国はそれ以外の核施設もすでに把握しており、最初から寧辺だけでは交渉に応じるつもりはなかった。
 ムン・ジェインがアメリカの動きを読み間違っており、寧辺の破棄だけでアメリカを動かせると信じこんでいた。
 北朝鮮はそれに乗っかったものの、実際の会談時にはアメリカから「で、それ以外の核施設はどうするつもりなんだ?」と問われてキム・ジョンウン本人がしどろもどろになった、というレポートもありましたね。

 当時、ムン・ジェインは翌日の3・1節で「新しい南北時代の到来」を華々しく語るつもりでした。
 なにしろ、「(会談の)翌日には朝鮮半島の新たなレジームを発表する」と事前にムン・ジェインが発言していたほどでしたから。
 事前に大きく「制裁解除後」の南北関係を語っていたのですよ。
 決裂の10分前にも大統領府報道官が「今日から南北関係は盛んになるのだ」と語っていたほどですからね。
 その時、交渉のテーブルは空っぽになっていたのですが。
 韓国メディアもそれに乗っかって、楽観論しか出ていませんでした。

 ですが、日本はアメリカから事前に交渉決裂が充分にあり得ることを知らされていました。
 というか、実務者による事前交渉がうまくいかず、会談前から「形式的なものになりそうだ」という話はアメリカ政府からのものを中心にずいぶんと出ていたのです。
 楽韓Webでも「韓国が異常に前のめりなんだけど……」というような話をしていました。

 シンガポール、ハノイの会談を演出したのは韓国、ムン・ジェインであることに間違いはないでしょう。
 逆にいえば、それらの会談を主導・演出したのがムン・ジェインであるからこそ、米朝会談は破綻に至ったわけです。
 その後、去年10月に行われたスウェーデンでの実務者交渉も決裂しましたが、両者の思惑が一致していた唯一の点は「もう韓国は関わるな」というものでしたから。
 まあ、韓国は二度と米朝関係に入りこむことはできないのでしょう。
 少なくともムン・ジェインは。

ムン・ジェイン「アメリカの大統領選挙前に米朝首脳会談を行えるよう努力する」→アメリカ「まあ、難しいでしょ」

カテゴリ:北朝鮮関連 コメント:(68)
文大統領「米国大統領選挙の前に米朝対話に全力を尽くしたい」(中央日報)
文大統領の米朝会談カードに米官界「可能性低い」(朝鮮日報)
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「米国が大統領選挙の前に米朝間の対話努力がもう一度推進される必要があると考える」と述べたと青瓦台(チョンワデ、大統領府)高官が1日、明らかにした。前日、欧州連合(EU)のシャルル・ミシェル首脳会議常任議長、ウルズラ・フォンデアライエン執行委員長とテレビ会議方式で行われた首脳会談でだ。

文大統領は「(米朝対話の推進に)EUが大きい役割を果たすことができると考える。韓国も米国大統領選挙の前に米朝間に再び向かい合って座って対話を交わすことができるように全力を尽くす計画」と話した。また「その間かろうじて成し遂げられた南北関係の進展と成果を再び後退させるわけにはいかないというのが私の確固たる意志だ。私は忍耐心を持って韓国・北朝鮮・米国間の対話モメンタムの維持のために努力するだろう」と話したという。これについて、青瓦台高官は「米朝首脳会談に関連して米国や北朝鮮と水面下で調整したことがあるか」という記者の質問に「開城(ケソン)南北共同連絡事務所の爆破以降青瓦台とホワイトハウスが緊密に疎通している」として「文大統領のこのような考えは米国側に伝えられたし、米国側も共感して努力していると承知している」とした。

だが、スティーブン・ビーガン米国務省副長官は先月29日(現地時間)「米朝間の対話は確かに可能で、私たちはそのようにする準備ができている」としつつも「米朝両首脳間会談は今から大統領選挙までは難しいだろう」と話した。彼は差し迫ってきた時間と新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)をその理由に挙げた。
(引用ここまで)

 ホワイトハウスと国務省は今月1日(現地時間)、文大統領の提案に関する本紙の質問に何も回答しなかった。韓半島(朝鮮半島)事情に詳しいトランプ政権関係者は「8月は(大統領候補公式選出のための)共和党全国大会がある。11月の大統領選挙を目前にしているトランプ大統領が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン=朝鮮労働党委員長)に会う可能性はほとんどないだろう」と語った。そして、「北朝鮮が米国の独立記念日(7月4日)にどのような『プレゼント(挑発行動)』をしようとしているのか注視している」とも言った。首脳会談に対する期待ではなく、北朝鮮の挑発行動の方を懸念しているということだ。
(引用ここまで)


 ムン・ジェイン大統領がEUの首脳と電話首脳会談を行いまして。
 さすがに前回のように「まずは北朝鮮への制裁を解除すべきだ」とか「彼らの非核化の意思は本気なのだ」というような主張はしなかったようですが。
 「これまで成し遂げられた南北関係の進展と成果を再び後退させるわけには行かないというのが私の確固たる意思だ」……ですって。
 どう見たって1年半以上なにもできていなくて、かつこないだの南北共同連絡事務所の爆破で後退しただろうに。ムン・ジェインの脳内での現状把握はいったいどうなっているのやら。
 んでもって、さらにアメリカの大統領選よりも前に米朝首脳会談を行いたいとか発言したとのことですが。
 まあ、後半の記事にあるように無理。

 というか、ムン・ジェインが働きかけてなにができるのかって話。
 ジョン・ボルトン氏の回顧録でも分かったように、ムン・ジェインはアメリカ・北朝鮮の両方に事実とは異なる甘言を垂れ流してとにかく首脳会談をやらせてしまった。
 米朝関係は「south korea's creation」(≒韓国の創造物)であり、それがハノイで完膚なきまでに壊れてしまった以上、元には戻りようがない。
 一応、板門店でトランプ-キム・ジョンウンの面談はあったものの、それ以上はなにもなし。
 去年10月にはストックホルムで実務者会談がありましたが、やはり決裂。
 まあ、水面下ではなんらかの交渉があったとしてもおかしくはありませんが、そこにムン・ジェインが関わることのできる余地はないでしょうね。

「どうせ消滅する米韓同盟なら在韓米軍撤退と北朝鮮の非核化を交換すればいい」とアメリカが考えるようになるかも……

朝鮮半島は「2017年」に戻った 米朝の駆け引きの行きつく先は「米韓同盟消滅」(デイリー新潮)
――朝鮮半島で今、起きていることは「南北」ではなく「米朝」の争いなのですね。

鈴置:その通りです。ボルトン(John Bolton)前米大統領補佐官が回顧録『The Room Where It Happened』で明かしたように、半島を巡る外交ゲームは基本的には米国と北朝鮮の闘いなのです。韓国も主要プレーヤーであるかのごとくに見えますが、文在寅(ムン・ジェイン)政権がそう装っているに過ぎません。

 ことに日本では、「文在寅は安倍よりも外交が上手い」「安倍のせいで日本は蚊帳の外だ」といった、韓国政府の宣伝を鵜呑みにした言説がテレビやネットで出回って「韓国主役説」が広がりました。本当は韓国は「蚊帳の外」、せいぜい、「脇役」なのです。

 今回も韓国が、北向けのビラを禁止するといくら約束しても北朝鮮は姿勢を硬化させるばかりでした。というのに米軍が脅したら即、すごすごと引き下がった。これが何よりの証拠です。北朝鮮が怖いのは米国であって韓国ではないのです。
(引用ここまで)


 久々に鈴置高史さんの連載コラムをピックアップ。
 北朝鮮、アメリカがらみになるといきなり筆舌が鋭くなる感じがしますね。本職はここってところでしょうか。
 2017年の「米朝戦争も」という事態から一転して南北融和が語られるようになり、2018年には「日本が孤立している」と韓国人は(一部の日本人も)大はしゃぎでしたが。
 ハノイでの決裂で南北関係は一切合切停止。
 先日も2017年以前に巻き戻ったと話をしましたね。

 実際には韓国への不信が深まったことを考慮に入れると、2017年よりも事態は悪化しているというのが本当ですかね。
 この「韓国への不信が深まった」というのは北朝鮮・アメリカ双方から。
 というか、両国から韓国への不信が深まったからこそハノイでは決裂したというべきか。
 ムン・ジェインはアメリカに対しては「北朝鮮は本気で非核化するつもりがある」と言い続け、北朝鮮には「アメリカにちょっとだけ『非核化する』と言ってくれたら十分な見返りがある」と言ってきた。
 アメリカさえ説得できてしまえば北朝鮮に実質的に核を持たせたままで制裁を緩和させることができる、というのが目論見だったのでしょう。

 実際には国際社会全体が北朝鮮の非核化を疑っていたのはムン・ジェインのヨーロッパ訪問での扱いと、北朝鮮が短距離弾道弾を撃つ度に英独仏あたりが非難声明を出していたことでも理解できるはず。
 それでもまぁ、ムン・ジェインの視野にはアメリカと北朝鮮しか入っていなかったのでしょうけどね。
 結果、韓国人は「外交王のムン・ジェインが南北融和に失敗したのは日本のせいだ」くらいの「結論」にたどり着いているようですが。
 2017年に巻き戻ったくらいであればまだマシで、北朝鮮・韓国共に置かれた立場はそれよりも悪くなっている……という感触になりつつあります。
 あと在韓米軍撤退について、ここはちょっとチェックポイントだと思います。
――米国の専門家は撤収に反対しませんか?

鈴置:反対する人は出るでしょうね。ただ、米国の安保専門家、ことに朝鮮半島に詳しい人が米韓同盟の将来にどんどん悲観的になっているのも事実です。韓国人の中国への異様な従属心や恐怖感を知るほどに「同盟は長くは持たない」と思い至るのです。

 その中から「どうせ消滅する同盟なのだから、存在するうちに北の非核化と交換すればよい」と考える人が出ても不思議ではありません。

 朝鮮半島を巡る動きは急で、表面を追うと目が回ります。しかし、じっくり眺めると「米韓同盟消滅」に向け地殻変動が始まっているのが分かります。日本はそれから目をそらしてはならないのです。
(引用ここまで・太字引用者)

 どうせ消滅する米韓同盟を北朝鮮の餌にする、というのはあり得るなぁ。ムン・ジェイン政権以降も左派政権が続くことは間違いない。
 そして韓国の左派政権は「自主国防」をお題目として掲げている以上、米韓軍事同盟は早晩消滅せざるを得ない。であれば、使えるうちに使っておけ……と考えるというのはアメリカ側の選択肢として考慮すべきところ。
 今回の「半島を読む」はけっこう必読ではないかと思われます。

ボルトン回顧録:韓国人「ボルトンと日本政府が組んで南北統一を阻んだ! 日本のせいだったんだ!!」と妄想を捗らせる

ボルトン回顧録で韓国民の怒りが日本に向かう理由(JBPress)
回顧録の中身として、米朝首脳会談をめぐる日本の否定的な態度や、米朝間の終戦宣言を安倍晋三首相が引き止めたという内容があると報じられたことで、韓国の与党やメディアは連日、ボルトン氏はもちろん、日本に対する激しい糾弾が続いているのだ。

「ネオコン・ボルトンの手管や日本の妨害によって、70年間の分断を終え、韓半島統一への歴史的転換となる千載一遇の機会が消えたという、実に嘆かわしい真実が残念だ」

「米国のネオコンと日本の主張は一致する。ネオコンや日本と手を組む(韓国内の)土着分断勢力が、韓半島の平和と繁栄を妨害する『三大分断勢力』であることが明らかになった」

 朝鮮戦争70周年を翌日に控えた24日、韓国与党の共に民主党の最高委員会議で、金泰年(キム・テニョン)院内代表はボルトン氏と日本をこのように非難した。

 さらに国会の外交統一委員長を務める宋永吉(ソン・ヨンギル)議員も21日、自身のフェイスブックで、こう怒りを爆発させた。

「日本は、韓半島の平和よりは政治的・軍事的対立と緊張が、韓国と北朝鮮の統一よりは分断が自分たちの利益と合致し、それのために初志一貫行動していることを、ボルトン元国家安全保障担当補佐官が書いた回顧録で改めて確認した」

「第2次世界大戦の敗戦国である日本が、韓国戦争(朝鮮戦争)で国家再建の基礎を築いたことからも、韓半島の平和が日本の利益と衝突することがわかる」

「ハノイでの北朝鮮と米国の会談の決裂を聞いて欣喜雀躍した日本、やはり韓半島の平和が不満なボルトンらの米国強硬派の画策が、ハノイ会談を破局に導いた」

 日本批判の声はまだある。韓国外交通商部(外交部)付属の国策研究機関である「国立外交院」の金俊亨(キム・ジュンヒョン)院長は23日、あるラジオに出演し、「ボルトンもボルトンだが、(回顧録で)日本の実態がそのまま露呈された」と語った。

 彼は「これだけではない。私は過去2年間ずっと話を聞いてきた。文在寅大統領が欧州を訪問したらすぐに日本がついてきては『親北朝鮮左派の話に気をつけよ』と言いまわるなど、(韓国に)付きまといながら仲違いしたほどだった」と、日本が文大統領の朝鮮半島平和外交に対して執拗な妨害活動をしてきたと指摘した。 (中略)

 多くの韓国人、特に文在寅政権支持勢力は、朝鮮半島の平和に最も邪魔になる存在が日本と考えている。南北が統一を果たし、経済力や国際的地位の面で日本を超えることを日本が恐れ、南北の和解を妨害しているというのが彼らの主張だ。

 今回のボルトンの回顧録の内容は、彼らに「自分たちの見解が決して間違っていない」という確信を与えただろう。韓国の保守系マスコミからは、ボルトンの回顧録によって米韓同盟が揺さぶられることを憂慮する見解が多いが、悪化の一途をたどっている日韓関係も、ボルトンの回顧録に少なからぬ影響を受けるものと見られる。
(引用ここまで)


 韓国人には「日本は南北統一を阻止しようとしている。南北統一朝鮮の国力を恐れているからだ」という認識がありまして。どのくらい前からか、というのはまた要検証ですが。
 少なくともソウルオリンピックの頃、すでにこんな話を耳にしていたと思います。

 なんでだ、と言われましても。
 韓国人はそう堅く信じているのですよ。「優秀な我々を分断させることで日本が上に居続けようとするためだ」……というような話を信じているのです。



 例のマンガでもこんな描写がありますね。
 逆にいうと、南北統一さえしてしまえば世界の一流国家になれるのだ、という妄想を抱いているのです。
 で、その彼らの妄想をボルトンの回顧録が裏付けている、ということで「北朝鮮との交渉がうまくいっていないのは日本のせいだ」と大騒ぎになっているわけですね。

 っていうか、北朝鮮の非核化が最大の目的であって、南北の交渉なんて二の次三の次。
 非核化交渉のおまけでしかない。
 これは日本だけでなくアメリカも同様。だからこそハノイは決裂したわけですよ。
 そしてひとつ前のエントリで書いたように、国際社会も「非核化が先決」という認識で共通している。
 独裁国家に大量破壊兵器を持たせたらろくなことにならないというのはシリアでもイラクでも証明されている。
 いわんや北朝鮮をや。

 実際にムン・ジェイン大統領が訪問したヨーロッパでも、ASEANでも同様に非核化が先決であると言われている。
 その後、そんなムン・ジェインのヨーロッパでの扱いに憤激した韓国の国会議員がドイツの外交官に詰め寄ったら「北朝鮮を信じるとかバカじゃねえの」くらいの扱いを受けてましたっけね。
 外交メンターのムン・ジョンイン曰く「ヨーロッパでのあの扱いは日本のロビー活動のせいだ」とのことですが。

 まあ、このようにして韓国では「日本は南北統一を阻止しようとしているのだ」という妄想が今日も捗っているのです。
 やれやれ。

韓国与党議員「我が国が北朝鮮に支援できないのは国連安保理による制裁のためだ。解除を要請するぞ!」……どうやって?

国連に対北制裁の一部緩和要請へ 韓国国会外交委員長(聯合ニュース)
 韓国国会の外交統一委員会委員長を務める与党「共に民主党」の宋永吉(ソン・ヨンギル)議員は25日、国連安全保障理事会に対北朝鮮制裁の緩和を要請する考えを示した。ラジオ番組に出演し、明らかにした。

 宋氏は、外交統一委員長として安保理北朝鮮制裁委員会の専門家パネル委員に会い、人道的支援などにおける対北朝鮮制裁の一部緩和を強く要請する考えがあると述べた。

 北朝鮮を巡る問題を調整する韓米の作業部会(ワーキンググループ)については「どのように活用するかによってもろ刃の剣になる」との見解を示した。対北朝鮮政策が米国の同意なしには何もできない形になってはならないが、南北交流事業で米国の制裁免除をワンストップで解決できるという長所もあると説明した。
(引用ここまで)

 先日、訪米して「アメリカが制裁解除しないなら、韓国は独自支援を検討する」と述べたとされるイ・ドフン朝鮮半島平和交渉本部長は帰国した際に、黙して語らず。
 成果があればペラペラと語っていたでしょうから、なにもなかったということでしょう。

「南北関係打開策を協議」平和交渉本部長、黙して語らず…立場の違い確認しただけか(ハンギョレ)

 北朝鮮への制裁緩和に向かおうとしない国際社会が悪いのだ、という方向性に韓国側が向かいそうですね。
 というか以前からその方向性だったのですけども。
 ムン・ジェインが必死になってヨーロッパで(当初の予定にはなかったにも関わらず)制裁緩和を語っていたのは「北朝鮮も話せばわかる相手なのだ」「だから1段階の非核化に対して、1段階の制裁緩和が必要になる」という話だったのです。

 で、そうやって自信満々で大統領自ら働きかけたところ、フランスイギリス、ドイツ、イタリア、EU首脳と会談を行ったすべての国に「いや、非核化が先だから」とか「CVIDって言葉、知っている?」って煽り気味に断られまして。
 挙句の果てに「あいつちょっとおかしいわ」と某国首脳から指差されるというね。

 「国連安保理に制裁解除を働きかける」といいますが、中露以外のどの国が賛同するのでしょうね?
 韓国以外に制裁緩和を望んでいるのは直接貿易を行っている中国・ロシアくらいなもの。
 ボルトンの回顧録への解釈でも「日本が朝鮮半島の平和を邪魔していた!」みたいな話が韓国側、特に共に民主党の国会議員から出てきているのですが(次のエントリで掲載予定)。
 日本にかぎらず多くの国々が「非核化がまず優先である」という認識に変化がない中、どうやるつもりなのやら。