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カテゴリ:北朝鮮関連の記事一覧

決裂したスウェーデンでの米朝実務者協議で一致点がひとつだけあった……アメリカ・北朝鮮「韓国はこの協議に関わるな!」

米朝実務協議決裂、米国の説明を聞くため担当者を急派(朝鮮日報)
 韓国外交部(省に相当、以下同じ)は7日「外交部の李度勲(イ・ドフン)朝鮮半島平和交渉本部長が今日の午後、米国務省のビーガン北朝鮮担当特別代表と会談するため米国に向かった」と発表した。李本部長は10日までワシントンに滞在し、ビーガン氏から今回スウェーデンで行われた実務協議が決裂した経緯などについて説明を受ける予定だ。

 李本部長の米国行きは、実務協議決裂が報じられた翌日に急きょ決まった。ある外交筋は「韓国政府は今回の実務協議が決まってから決裂するまで何の役割も果たせず、米朝双方からまともな情報提供も行われていなかった」と明らかにした。実際に外交部のある幹部は今月1日午後、北朝鮮メディアが交渉再開を報じた際、これを予想できず周囲に当惑した表情を隠せなかったという。

 かつて韓国外交部で朝鮮半島平和交渉本部長を務めたキム・ホンギュン氏は「ビーガン代表は今回の実務協議で北朝鮮に『クリエーティブな提案』を行ったとされているが、その内容は事前に韓国政府には伝えられなかったようだ」「おそらく内容がリークされるのを懸念したのだろう」とコメントした。 (中略)

 今回の状況は今年1月に同じスウェーデンで行われた実務協議とも大きな違いがある。当時、韓国政府は李本部長を現地の会場にまで派遣し、その状況を詳しく把握していた。ところが今回は李本部長をはじめとする幹部クラスは誰も派遣しなかった。これは韓国政府が交渉に関与することを北朝鮮が嫌ったためだという。
(引用ここまで・太字引用者)


 ……いやぁ、これはちょっと面白い。
 先日、アメリカ側から「外交部が現地にスタッフを派遣することにも不快感を示した」という話がありました。
 韓国が米朝の二国間交渉について出しゃばることを警戒したのでしょうね。

 アメリカは韓国が仲介することによって事実が歪められることを嫌ったのでしょう。
 去年、特使として北朝鮮に派遣された韓国側高官(キム・ジョンウンの言葉を必死に全員でメモしていた)が帰国してから、特使外交を繰り広げました。
 で、3月にチョン・ウィヨン安保室長がアメリカに派遣され、どうも「北朝鮮は完全な非核化に同意した」とアメリカ側に述べたのではないかという疑惑が取り沙汰されています。

 アメリカはこのチョン・ウィヨン安保室長の言葉を真に受けて米朝首脳会談をやってしまったのではないかという部分があるのです。
 米朝の意思疎通に齟齬が生じた結果、ハノイでの決裂となったわけです。
 そして、北朝鮮側は韓国に対して「仲介者面するな」「もう韓国とは対座しない」とまで言うようになった。
 北朝鮮としてはなんとしてでも(国連安保理決議で派遣労働者が強制帰国させられる年内に)制裁解除、少なくとも制裁緩和を目指したかったのに、韓国の口車に乗せられたことで交渉決裂となってしまった。
 で、今回のスウェーデンでの実務者協議でも、韓国は出てくるなとばかりの扱いになった。

 アメリカには「北朝鮮は完全な非核化の意思がある」と言い、北朝鮮には「段階的な非核化で制裁を緩和できる」と言い、両者の信用を失った……ということなのでしょう。
 本当に柳川一件(Wikipedia)で暴露されたような事態なのではないか、と推測できます。
 運転手が馘になったというだけ、ですらない感じですね。
 両者からの信頼を完全に失っている。
 おいしいとこ取りを狙う連中はこうなる、といういい例かな。

米朝実務者会談も決裂……北朝鮮が瀬戸際外交を演じながらも「期限は年内だ!」と年内にこだわる理由とは?

北朝鮮、米に一段の譲歩迫る 段階的非核化に固執(日経新聞)
北朝鮮「米国が敵対視政策撤回するまで交渉応じない」(聯合ニュース)
約7カ月ぶりとなる米朝の実質的な非核化交渉は、再び物別れに終わった。北朝鮮は米国の姿勢を「手ぶらで来た」と非難し、年末までの一方的な期限を切り再考を迫った。対話が破局する瀬戸際を演じる一方、中長距離の弾道ミサイル発射を再開する可能性をちらつかせながら、融和的姿勢を示す米国に一段の譲歩を迫る交渉戦術とみられる。

ストックホルム郊外の施設で5日に初めて顔を合わせた米国のビーガン北朝鮮担当特別代表と、北朝鮮の金明吉(キム・ミョンギル)首席代表。8時間半にわたる協議の直後、金氏は大使館前で米国を非難し責任を押しつける声明を読み上げた。 (中略)

北朝鮮が固執するのは「段階的非核化」のプロセスだ。非核化措置の見返りに米国が安全の保障や制裁解除のカードを1枚ずつ切る手法だが、最終的には在韓米軍撤退や制裁完全解除を条件に持ち出すとの見方がある。
(引用ここまで)

北朝鮮は6日、外務省報道官談話を発表し、米国が生存権と発展の権利を阻害する敵対視政策を撤回するための実際的な措置を取るまで、非核化を巡る交渉に応じないとの立場を表明した。朝鮮中央通信が報じた。

 談話は「米国がわが国家の安全を脅かし、わが人民の生存権と発展の権利を阻害する対朝鮮(北朝鮮)敵対視政策を完全かつ後戻りできないよう撤回するための実際的な措置を取るまでは、今回のような不快な交渉を行う意欲がない」と強調した。

 「われわれが問題解決の方法を米国に明白に提示しただけに、今後の朝米対話の運命は米国の態度にかかっている」とした上で、その期限が年末までだと釘を刺した。
(引用ここまで)


 北朝鮮が瀬戸際外交を繰り広げています。
 ということはなにも変わっていないということでもありますね。
 アメリカは完全な非核化を求め、北朝鮮は段階的非核化に対して制裁解除を狙う。ボルトン前補佐官の更迭後もアメリカの基本方針が変わっていないことに、とりあえず安堵すべきでしょう。

 ここまで北朝鮮側が高圧的に「期限は年内だ」って言い放つということは、それだけあちらも苦しいという自白でもありますね。
 なぜ「年内」としているのかというと、大きな理由があるのです。
 国連安保理が制裁決議拡大のひとつとして挙げた派遣労働者の送還期限が12月までなのですね。
 2017年12月22日に国連安保理決議2397で「国連加盟国内で働いている北朝鮮人、及び彼らを監視する安全監督員の24ヶ月以内の送還、追放」を命じています。

国際連合安全保障理事会決議第2397号 和訳(外務省・PDF)

 出稼ぎ労働者の賃金を北朝鮮政府が巻き上げてきたことから制裁対象になったわけです。
 この制裁決議が実行されているために、北朝鮮経済はかなり締め上げられているのが実際です。
 去年、それまで引きこもり国家であった北朝鮮が、南北首脳会談なり米朝首脳会談なりをしなければならなくなったのはこの制裁がかなり堪えたから。

 労働者に関しては中国は期限を半年繰り上げて帰国させたという話も出てますが、実態は不明。今年になってからロシアに北朝鮮の出稼ぎ労働者が増えたという話もありますね。
 どちらにせよ、年内までに北朝鮮に残されている貴重な外貨獲得源が潰されるわけです。
 安保理決議に反して北朝鮮労働者を働かせていたらセカンダリーサンクションの対象となります。

 ひとえに「北朝鮮の貴族」である取り巻きにおいしい思いをさせることができるかどうかが、キム・ジョンウン政権の命運を握っているともいえます。
 その期限まで2ヶ月と2週間。
 最後まで瀬戸際外交を続けられるかどうか、ちょっと注目です。

アメリカの東アジア専門家「韓国は北朝鮮の非核化について事実を提供すべきだ」……つまり、これまで嘘をついてきた、ということですね

「韓国は米国に本当のことを教えろ」北朝鮮非核化で米専門家が厳しい指摘(デイリーNKジャパン・ニューズウィーク)
ハノイ「ノーディール「再燃懸念」…「韓国、バラ色メガネは危険」(中央日報)
ダニエル・ラッセル元米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は9月28日、米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)のインタビューで、北朝鮮の非核化を巡る米朝対話における韓国の役割について、強い不満を表明した。

同氏は、韓国政府は具体的にどのような役割を果たすべきか、とする記者の質問に対し、次のように答えている。

「韓国政府は、北朝鮮が何をしているのか、動機は何なのか、事実そのままの評価を提供してトランプ政権を助けなければなりません。北朝鮮の行動と脅威、戦略について率直に評価しなければならないということです」

これはつまり、韓国の文在寅政権がこれまで、現実から乖離した見方で北朝鮮を評価し、米国が必要とする事実に基づいた情報を提供してこなかったという意味だ。
(引用ここまで)

元米国務次官補(東アジア・太平洋担当)のダニエル・ラッセル氏も先月28日(現地時間)、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)のインタビューで「韓国政府がバラ色の眼鏡をかけて北朝鮮を見ることは非常に危険だ」とし「北朝鮮に理解の深い韓国情報当局と軍当局が北朝鮮の行動と威嚇、戦略に対して率直に評価して米政府に知らせるべきだ」と指摘した。

ワシントンでは韓国の一方的な楽観論を警戒する声が繰り返し出ていた。関連事情に明るい民間消息筋は「昨年、一時終戦宣言と制裁緩和を韓国政府が積極的に公言しながら『北朝鮮の非核化意志が確認されていないのに先走っている』という見方がワシントンに強く広がったものと承知している」と話した。韓国に対するワシントンの懸念と不満は、昨年3月8日に訪米した鄭義溶(チョン・ウィヨン)青瓦台安保室長が「北朝鮮が完全な非核化に同意した」と説明した時から始まったという主張もある。
(引用ここまで)


 スウェーデンで米朝交渉がはじまったとのニュースが入ってきているのですが、ちょっと前の米韓関係を象徴する話を整理しておこうかなと。
 ダニエル・ラッセル元国務次官補がVoice of Americaのインタビューで、「韓国はアメリカに対して実際のことを教えろ」と強い口調で求めています。
 日本人を妻に持つ知日派で、再選後のオバマ政権で国務次官補を務めた人物です。
 オバマ政権の後半で日本への再接近があったのはこの人がいたからではないかな、とも思っています。
 ま、それはともかく。

 去年の米朝首脳会談が唐突に行われた背景にはトランプ大統領が、これまでの大統領以上、特にオバマ以上のレガシーを求めているということがあると思われます。
 トランプ大統領が幾度となくノーベル平和賞について言及するのも「オバマ以上の実績を」という部分が少なからず影響しています。
 そういった意向に対して韓国が「北朝鮮との終戦宣言を出してしまえば、歴史になれますよ」というようなアプローチを行ったのは間違いないでしょうね。
 「あなたが北朝鮮と首脳会談すれば非核化なんてすぐ! 向こうも今すぐに非核化したいって言ってますし」とかアメリカに派遣された特使が言ったのではないか、という説があるのですね。

 北朝鮮に対しては「開城工業団地や金剛山観光事業の再開くらいはすぐできます」くらいのことを言っていたのでしょう。
 ちょうど朝鮮通信使を招聘しようと、江戸幕府と李氏朝鮮の間で動いていた対馬藩のように。
 で、その結果がなんだかんだでなんの結果も出なかったシンガポール会談であり、ハノイ会談の決裂であったというわけです。

 その後、北朝鮮は「アメリカと交渉するのであれば直接する」「韓国と再び対座するつもりもない」と宣言。
 アメリカ側も板門店での会談で「韓国は(ムン・ジェインは)必要ない。控え室で待ってろ」というようになった。
 嘘をつく仲介者なんて最悪の存在ですからね。
 実際、スウェーデンでの会談にも韓国側には通達をしていない模様で、外交部がスウェーデンにスタッフを派遣することすら不快感を示しているとのこと。

米朝、寧辺の核廃棄と一時的制裁猶予を打診か(朝鮮日報)
米国も今回の実務協議の会場を正式には発表しておらず、韓国外交部(省に相当)が現地にスタッフを派遣することにも不快感を示しているという。
(引用ここまで)

 完全に二国間だけでの交渉となった、ということになりますか。
 運転手は馘になった、っていうオチでしたね。

韓国の政府系シンクタンクが「ムン・ジェインの対北朝鮮政策はなにもかも間違っている」と提言……え、このシンクタンク大丈夫?

南北「平和経済」発言にミサイル応酬 なぜ?…「北、独裁可能なラインで発展望む」(中央日報)
文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「南北平和経済」に言及した光復節(解放記念日、8月15日)の翌日、北朝鮮は東海(トンヘ、日本名・日本海)にミサイル2発を発射した。北朝鮮の対南機構である祖国平和統一委員会(祖平統)は報道官の談話を出し、「ゆでた牛の頭も笑う」という表現で平和経済への言及を激しく非難した。北朝鮮は韓国と協力して経済が成長することを望まないのだろうか。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権の経済戦略を分析した報告書が発表され、注目されている。

統一研究院のパク・ヒョンジュン研究委員は30日、「首領独裁下の北朝鮮の経済構造と経済改革、金正恩政権の国家戦略」と題した報告書を発表した。この報告書は韓国開発研究院(KDI)の「北朝鮮経済レビュー」8月号に掲載された。パク氏はまず「金正恩国務委員長が核を放棄して経済復興に向かう可能性が高い」という一部の見方は誤りだと指摘した。「経済を発展させて人民の生活が向上するほど独裁が安定的に維持される」という前提は、北の首領独裁基盤の経済体制を理解していないために出てくる主張ということだ。

報告書によると、北朝鮮は2012年に発足した金正恩政権でも首領独裁システムで運営される経済体制が維持されているという。首領独裁式経済とは、政治権力が経済制度と政策、資源配分を一方的に決める体制をいう。独裁体制は経済を発展させるよりも停滞した状態を好む。なぜなら経済が成長して人民の生活水準が高まれば、政治的な自由を要求することになり、独裁の存続を脅かすからだ。ただ、韓国・日本など周辺国との安保競争のため、人民が政権に挑戦できる潜在力を抑えるレベルでの経済成長を望むということだ。この論理によると、南北が力を合わせて日本の経済的優位を越えるまで経済が成長することを望む中長期「南北平和経済」構想に北朝鮮政権は同意しないと解釈できる。
(引用ここまで)


 あ、すごい。
 これ言えるところがあるんだ。いまの韓国で。
 しかも、統一研究院といったら統一部に属している政府系シンクタンク。
 そこが完全にムン・ジェインの提唱している「平和経済」「2045年に統一」、「南北揃えば日本に打ち勝つ」という政策を否定しているわけですからね。
 ちょっと衝撃的ですらあります。
 この政権でこれ言っちゃって大丈夫? 処されない?

 ただ、この「北朝鮮は経済成長を求めていない」という話、それほど珍しい意見というわけでもありません。
 あるていど北朝鮮を知っているのであれば、理解できる話ではあるのですよ。
 なによりも独裁を維持するために、特権階級に必要な分の富を渡すことができるだけの外貨があれば充分。むしろ独裁維持のためには経済成長は邪魔ですらある。
 楽韓Webでもそんな感じのことを書いています。

 というかですね。
 そもそも北朝鮮は韓国に対してふたつのことしか求めていないのですよ。
 開城工業団地の操業、そして金剛山観光事業の再開。
 南北鉄道の接続とかも許可していますが、開城工業団地に付随しているだけ。
 それ以外の「統一」だの「オリンピックの共催」だの「ワールドカップの南北中日での四カ国共催」とかは求めたことがないのです。
 これ、トランプ大統領も、それからジム・ロジャーズも勘違いしているのですけどね。
 北朝鮮は……というか、キム・ジョンウンは経済成長することを求めていない。
 トランプ大統領やジム・ロジャーズは企業家、資本家であって価値観が異なるから理解できないのでしょうが。

 いいとこ開城工業団地みたいな閉鎖系の経済特区を増やすていどでしょ。
 それ以上のことを求めていないってことを理解していないから、空振りしてミサイル打たれるのですよね。
 けっきょく、北朝鮮を開国するのであれば体制そのものを潰すしかないのですよ。逆説的な話ですが。

板門店米朝会談:韓国政府「南北首脳がまず会って、トランプ大統領を紹介するという形で」→アメリカ「必要なのは米朝会談だけ。ムン・ジェインは控え室で待ってろ」

「文大統領、金正恩氏に先に会ってトランプ氏を紹介の計画…米国が反対」(中央日報)
先月29日午後8時ごろ。青瓦台(チョンワデ、大統領府)で文在寅(ムン・ジェイン)大統領とドナルド・トランプ米大統領の晩餐が行われた。

そのごろ青瓦台国政状況室で「米朝会談が実現した」という便りが伝えられたという。その日午前7時51分、トランプ大統領がツイッターに「金正恩(キム・ジョンウン)委員長に会う」と綴ってからわずか12時間過ぎた時点だった。

国政状況室が忙しくなった。尹建永(ユン・ゴンヨン)室長は夜を明かして状況を見て30日午前8時板門店(パンムンジョム)に走って行った。すでに米朝実務交渉が行われていた。青瓦台高官は1日「尹室長は最終的に(会談形式などが)確定しなかった状態で米朝側と意見を交換するなど水面下で重要な役割を果たした」と伝えた。その一方で具体的な役割に対しては公開しなかった。

また他の青瓦台関係者の話は少し違った。この関係者は「すでに晩餐が行われた時、米朝二国間対話が確定され、その後文大統領の役割を議論した」として「北側から来る金委員長を誰が迎えるか、会談場の動線はどうするかなどが未定だった」と伝えた。

当初青瓦台は文大統領が金委員長と先に会ってトランプ大統領に紹介する絵を描いていたという。しかし、米国が反対した。青瓦台関係者は「トランプ大統領には『北朝鮮の地を踏んだ最初の米国大統領』というタイトルが必要だが、これを計算できなかったようだ」と伝えた。結局、文大統領が「私の役割は重要ではない。米朝首脳が会うことがさらに重要だ」ということを指示して状況が終了したという。

それではこの過程で青瓦台の役割は何だったのだろうか。ヒントはトランプ大統領の発言にある。トランプ大統領は29日までは「警護の問題が解決されなければならない」と話した。急に決まった会談の核心は警護だ。さらに、境界地であるDMZ(非武装地帯)会談だ。青瓦台核心関係者は「昨年5月文大統領は非公開で板門店の北朝鮮側地域で金委員長に会った」として「当時も警護の問題が提起されたが、一日で解決しこの経験が参考になったと理解している」と伝えた。

警護の問題に合意した米朝は30日午前、具体的な動線などを協議した。協議は韓国側の公式窓口である青瓦台状況室長が到着する前から進められた。最初から「南・北・米」でない「米・朝」首脳会談に決定されて行われたことを意味する。ある実務関係者は「当時米朝は二国間会談を前提にしていたため、韓国メディアは考慮しなかった」と伝えた。実際に会談当時、韓国メディアの生中継カメラは米朝メディアに押し出されて揺れた映像を送出せざるを得なかった。

文大統領は米朝会談が行われる53分間空室で待っていた。これについて青瓦台関係者は「文大統領は『ノーベル賞はトランプ大統領と金委員長が受け、私たちは平和だけ持ってくれば良い』と話した」として「米朝接触はトランプ氏の訪韓が実現した時から計算に含まれた可能性がある」と話した。
(引用ここまで)


 3行でまとめるとこんな感じ。
  • 韓国大統領府は板門店の米朝首脳会談で「ムン・ジェインがトランプ大統領にキム・ジョンウン委員長を紹介する」するつもりだったがアメリカ側に拒否された。
  • 大統領府の主な役割は板門店での米朝首脳の警護の導線を受け持つことだった。
  • ムン・ジェインは53分間の会談中、控え室で待っていた
 なんだ、主役級か準主役級を要求したけども、最初からアメリカは「米朝の首脳だけが会う」と拒絶されたので脇役に廻らざるを得なかったというだけじゃないですか。
 大統領府や与党からは「ムン・ジェインは非核化のためにあえて脇役に廻ったのだ」みたいにその精神を賞賛されていましたね。
 最初からそう言っていたのならともかく、アメリカから拒絶されてその役に廻ったっていうんじゃ、だいぶ事情が違う気がしますわ。

 あと控え室で待っている時の「トランプ大統領とキム委員長がノーベル平和賞を受けるといい。我々は平和だけでいい」というのは去年だったかにも言っていた台詞ですね。

「ノーベル賞はトランプ氏に」韓国大統領(日経新聞)
会議では故金大中(キム・デジュン)大統領の夫人から「ぜひノーベル平和賞を取りなさい」と祝電があったことが報告された。それを聞いた文氏は「我々は平和だけ受け取れればいい」と語ったという。
(引用ここまで)

 去年4月27日の南北首脳会談のあとの言葉です。まあ、なかなかの名セリフ。
 自分でも名言だと思っているのでしょうね。でも、こうして二度目に使ってしまうと陳腐になるなぁ。周りから「あれは名セリフでした」って賞賛されてるのであればともかく、自分で二度も言っちゃう。
 それも自分から身を引いたのではなく、拒絶された結果をフォローするために言ってしまう。

 こういう話はあるていど落ち着いてからじわじわと出てくるのかと思っていましたが、あっさりとリークされちゃってて苦笑。
 米朝関係下におけるムン・ジェインの立ち位置というものが見えてきましたね。

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2016/7/2

板門店の米朝首脳会議を主導した(?)ムン・ジェインは米朝関係の「仲介者」になったのか、それとも「蚊帳の外」のままなのか……

目標を立てたら批判や苦言を意に介さない「文在寅スタイル」(朝鮮日報)
史上初の板門店での米朝首脳会談で「脇役」に徹した文大統領(朝鮮日報)
 韓国政界では1日、米朝首脳会談に韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が同席できなかったことを巡って「韓国疎外論」が持ち上がった。だが文大統領と韓国大統領府(青瓦台)は、こうした批判を全く意に介さない雰囲気だ。ハノイ会談決裂後、米朝会談再開のため総力を挙げてきた文大統領としては、今回の「6・30板門店会談」で突破口を得られたので、本人が米朝会談に同席できなかったとしても全く問題はないのだ。

 与党側では「文大統領らしいスタイルが今回の会談実現の過程でも如実に表れた」という評価がなされている。文大統領は、自分が立てた目標を達成するためならば周囲の批判や苦言、屈辱的状況は意に介さず、粘り強く推し進めてきたという。 (中略)

 目標を立てたら批判や苦言にも揺るがないのは、国内問題でも同様だ。文大統領は、企業・自営業者・専門家が変更を要求し続けている所得主導成長や脱原発政策、野党との協治についても「補完はあっても修正はない」という立場を曲げていない。文大統領は、先月の主要20カ国・地域(G20)首脳会議でも所得主導成長を国際的にアピールした。
(引用ここまで)

 今回板門店で行われた米朝首脳会談での文大統領の役割をめぐっては、評価が分かれている。一部では「トランプ大統領を粘り強く説得し、ハノイでの会談失敗以降全く進展のなかった米朝非核化交渉を再開させるきっかけをつくった」と肯定的な評価が聞かれる。一方で「韓国の地で世界的な外交イベントが開催されたのに、肝心のわが大統領は周囲で見ているだけだった」と残念がる声もある。「文大統領が、非核化交渉の主導権を握っている米朝の間で実質的な進展を引き出すのであれば、結果的に今日の『助演』が主演2人より輝きを放つだろう」という指摘も出ている。
(引用ここまで)

 保守紙である朝鮮日報がムン・ジェインを評価している……と思ったのですが、これはあれだな。褒め殺しだな。全体的にこの記事の翻訳がよくなくていまひとつ空気感が出ていませんが。
 「左派の連中はムン・ジェインがあくまでも『あえて脇役になった』とか言っている。目的さえ果たせればそれでいいとかいうことにしてるってことか。そういえば経済政策でも同じだな。「もう無理だ」って何人も言っているのになにも変えようとしてないわ、こいつ」っていうくらいな記事ですね。

 ま、実際のところ、この米朝首脳会談の場を提供するまでは完全に「ムン・ジェインは蚊帳の外」でした。
 うちもそういった趣旨のエントリを書いていましたし、ちょうど同じ日にデイリー新潮で鈴置高史氏も似たような記事を書いていました。

北朝鮮が韓国に“仲介者失格”の烙印 それでも文在寅が続ける猿芝居の限界が来た(デイリー新潮)

 アメリカ、日本はおろか、北朝鮮からも相手にされていなかったのは間違いない。
 ムン・ジェインの立場が「仲介者」に戻ったのか、それとも「蚊帳の外」のままなのか。
 そもそも「ムン・ジェインが主導した」みたいな話が韓国で出ていますが、本当にそんな役割を果たしていたのか。
 早急に決めてかかるのはちょっと難しいかな、という気がしています。
 まあ、これまでがこれまでですし。実際に板門店の会談には口出しできていないっていうところから見ても「仲介者」であるとは思えませんけどね。私見として。

 ちなみに日本が米朝首脳の会合についてなにも知らされておらず、「ジャパンパッシングされた!」って話も出てますが。
 あの展開の中で日本が一定以上の役割を果たしていたらむしろおかしい。
 あくまでもアメリカと北朝鮮の二国間関係であって、その場にいたムン・ジェインですら「あえて自ら脇役となったのだ」としか擁護のしようがない状況だったわけですから。

 あの場で日本がとれる役割なんてなにもないでしょう。
 あそこで日本に「これからキム・ジョンウンと板門店で会う」っていう話が通っていたとしたら、日米蜜月の具合が気持ち悪すぎる。
 というか「陰ですべてを操っているのがアベ」っていう逆説的安倍無敵論を唱えている連中が真実を語っていたことになってしまうレベルですわ。

トランプ大統領「俺がDMZまで行くんだから、キム・ジョンウンもここまでこい」→キム・ジョンウン「ツイートを見て驚いた」

金正恩氏「トランプ氏の提案に驚いた」 板門店で米朝首脳が対面 (聯合ニュース)
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)は30日午後、板門店の韓国側でのトランプ米大統領との立ち話で、「トランプ大統領が対面する意向を示したことに驚いた」と述べた。

 また、「トランプ大統領と正式に対面することは事前に決まってなかった。分断の象徴であり、敵対関係にあった両国(米朝)が平和の握手を交わしたこと自体が昨日とは違う今日を表す」と強調した。
(引用ここまで)

 「トランプ大統領のTwitterは要望とか、希望していることじゃなくて、大統領としての公式声明」というように認識しているのですが、まさかそこから本当にこんな面談が実現するとはねえ……。

 来年の選挙に向けて「現役のアメリカ大統領としてはじめて北朝鮮に足を踏み入れた」というレガシーが必要なのでしょうね。
 北朝鮮が自ら非核化するにしても、力による現状変更になるにしても。
 アメリカ大統領がここまでして「交渉」しているのだから、という実績を積んでいる部分ともいえます。

 いや、それにしてもこれが演出なのか、本当にサプライズとしての話なのかは分かりませんが。
 Twitterでキム・ジョンウンに問いかけて、それをムン・ジェインに「こういう話で進める」って言い出して、その翌日にこうして会ってしまうっていうね。

kimtrump.jpg

 こっちのセリフだよ(笑)。
 っていうかTwitter見てるのかよ。
 ただ、気になるのがDMZ(板門店)についていったムン・ジェインがまったく出てこなかったところ。
 自重したのか、アメリカから出てくるなと言われたのか。
 北朝鮮とアメリカの会談、という絵面に出てきてほしくなかったのだろうなぁ。
 ムン・ジェインの「仲裁者」としての立場が弱くなった、強くなったと一口で言うのは難しい。
 もう少し状況を見たいところですね。

トランプ大統領「キム・ジョンウンに非武装地帯で会ったら握手して『やあ』と言うね。2分間ほどの会談だろう」……南北ともに2分間ずつ平等に与えるということ?

トランプ氏、正恩氏に会談呼び掛け=きょうからの訪韓時にDMZで(時事通信)
DMZ diplomacy? Trump outreach to Kim for border rendezvous(news10・英語)
 来日中のトランプ米大統領は29日、ツイッターで、同日から30日までの韓国訪問時に、南北を隔てる軍事境界線沿いの非武装地帯(DMZ)で北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と会う用意があると表明した。トランプ氏は「金委員長がこれを見ていたら、私はただ彼と握手し、こんにちはと言うためにDMZで会うだろう」と投稿し、正恩氏に会談を呼び掛けた。
(引用ここまで)

“If he’s there we’ll see each other for two minutes,” Trump predicted.
(引用ここまで)

 トランプ大統領が「DMZに行く」と言明して、Twitterでキム・ジョンウンに「これ見てたらDMZに来いよ」と煽りを入れています。


 このTweetを「トランプ大統領がキム委員長に会談を申し入れた」みたいに扱っているところもありますが……。
 どう見ても煽りだと思うんだけどなぁ。
 プロレス的な「来れるんだったら来てみろ、ええコラぁ?」っていうセリフにしか見えません。

 で、Twitterでこれを書いた後に記者に向けてコメントして「キム・ジョンウンが来たら2分間ほどの会談になるかな」と予告したとのこと。
 ……やっぱり煽りでしょ、これ。
 ムン・ジェインとの単独会談が2分間であったことを受けて、南北を同じ扱いにするというのも穿ち過ぎな見方かなという気もしますが。

 ピョンヤンからキム・ジョンウンが来るのにどれだけ準備と警備が必要になるか分かったもんじゃない。
 もしキム・ジョンウンがDMZに来るようなことがあれば、前もって入念に用意していたものであって、唐突に思いつきに対応したものではないでしょうね。
 ちょっと前に米朝で親書の応答があったとのことですが、内容がこれだったというならあり得るとは思いますが。
 しかし、ここでも「仲裁者」の影が薄いのなんの。
 この会談が実現したとしても、やっているのは場所の提供ってだけですからね。むしろ実現したら北朝鮮においしいところをみんな持っていかれているっていう。

 ただ、こういった事前リークは北朝鮮側は嫌うだろうと感じます。
 暗殺を恐れているでしょうからね。

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小学館
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