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カテゴリ:米韓関係の記事一覧

アメリカ、インド太平洋戦略に関する機密文書を急遽公開、バイデン政権へ対中政策を引き継がせるための圧力か

米軍機密文書「日本が太平洋における安全保障の軸、自衛隊の近代化を支援」(朝鮮日報)
米国のトランプ政権が日本を中国けん制のためのインド・太平洋安全保障における軸と考え、そのため韓国に対してより多くの貢献と緊密な韓日関係の維持を望んでいたことを示すホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)の文書が12日(現地時間)に公開された。このような戦略的判断は簡単には見直されないため、バイデン政権においても韓国に対する「中国けん制への貢献」と「穏やかな韓日関係」に期待する米国の考え方は続くと予想される。

 この文書において米国政府は「静かに、時には強圧的な影響力の行使を織り交ぜ、相手国の主権の弱体化を目指す中国の活動に対し、米国と世界のパートナーが抵抗力を持つこと」を理想的な状態としている。その上で「日本、韓国、オーストラリアに(中国をけん制する)この戦略の最終目的へ貢献させること」を目指す同盟政策を樹立した。とりわけ「日本の自衛隊に対しては近代化を支援する」「日本がインド・太平洋における安全保障の構造において、地域の統合的かつ技術先進国の軸になるよう後押しする」など、日本の役割を強調する内容も盛り込まれていた。韓国については「韓半島以外の地域における安保問題にもより大きな役割を果たせるよう勧告すること」を政策とした。この地域における米国の主要な同盟国の中で日本を対中けん制の核心軸とし、韓国もこれを補助させる構想を持っていたものと考えられる。
(引用ここまで)


 今日の朝日新聞朝刊でスクープされていた文書の中身についての話、ですね。

米内部文書、台湾の防衛明記 中国の統一攻勢に危機感(朝日新聞)

 アメリカのNSC、国家安全保障会議によって2018年に策定された機密文書が公開されたとのこと。
 文書はトランプ政権下におけるインド太平洋戦略について描かれています。
 主眼は台湾防衛、インド太平洋戦略における日本の安全保障における立場の確認といったところ。
 日米豪印で構成されるいわゆるクアッド、そしてクアッドにベトナム、韓国などを加えたクアッドプラス構想はこの文書が下敷きになっているようです。

 で、機密指定がされていた文書がわずか2年ちょっとで公開されるのは異例中の異例であるとのこと。
 背景にはアメリカの政権引き継ぎで混乱をきたしていることがあるようです。
 NSCとしても対中国政策を明白にしておき、それをバイデン政権にも引き継がせようという意図があるのでしょうね。

 アジアの主役として日本を立てる、ということがインド太平洋戦略の柱のひとつであることが文書から明らかになっています。
 そして韓国を日本の補助にできるような体制にすべき、ともあるのですが。
 日米韓の三角同盟で中国に対抗するというやりかたは、地政学的には満点のやりかたなんですけどね。

 さて、その一方でバイデン新政権は知日派であり、元国務次官補であったカート・キャンベル氏をNSCに新設されるインド太平洋調整官というポストに就かせることを発表しました。
 このインド太平洋調整官というポストの名称そのものが「自由で開かれたインド太平洋、FOIPについては戦略として引き継ぐ」という意思表明に見えますね。

知日家・キャンベル氏、アジア政策を統括…新設「インド太平洋調整官」に(読売新聞)

 キャンベル氏は第2次オバマ政権下でアジア回帰政策を主導した人物です。
 ただまあ、そうなると日韓関係の修復にもオバマ政権下と同じくらいの意欲を見せてくる……ということでもあるのだろうなぁ。
 とはいえ、そのようにして日本と韓国に合意させた慰安婦合意がどのような末路を辿ったかは当然知っているでしょうから、やりかたを変えてくるとは思いますけどね。
 ようやくバイデン政権のアジア戦略の一端が見えてきた……というところかな。

 ちなみにカート・キャンベル氏はLIXILの社外取締役。

韓国政府、バイデン側に「シンガポール合意の精神を引き継ぎ、北朝鮮との対話路線をお願いしたい」と懇願……ナンセンスだなぁ

「韓国政府、バイデン側にシンガポール式の米朝サミット提案」(中央日報・朝鮮語)
政府関係者は11日、「韓米両国政府が緊密に接続することができ、米国の中堅外交・安保通を通じてまもなく発足するバイデン政権に『シンガポールの精神に戻ってキム・ジョンウンと北・米対話を再開しよう』というメッセージを伝達した」と述べた。

シンガポール合意は、2018年6月ドナルド・トランプ米国大統領とキム・ジョンウン北朝鮮国務委員長の間で行われた首脳会談の結果である。両首脳は、当時▶完全な非核化▶平和体制保証▶米朝関係正常化の推進▶ 6・25戦死者遺体の送還などの4つの項に合意した。しかし、翌年2月にベトナムのハノイでの2次会談が決裂し、朝米関係はもちろん、南北関係まで梗塞された状態だ。

ムン・ジェイン大統領もこの日の新年辞で「止まっている米朝対話と南北対話で大転換を達成できるよう、最後の努力を尽くす」と「非対面方式でも会話することができるという意志は変わらない」と述べた。

しかし、バイデン政権で「シンガポールモデル」を再演することができるという期待は非現実的との指摘もある。過去に核交渉を率いたウィ・ソンラク前朝鮮半島平和交渉本部長は「任期があまり残ってないムン・ジェイン政府がシンガポールのモデルを取り出すことは十分に予想されるシナリオ」と「しかし、米国でも問題があると評価されているモデルを、それも静的なトランプ大統領の業績をバイデン政権が継承するように要求するのは現実性が落ちる」とした。

彼は続いて「メッセンジャーとして挙げられている人物たちも厳密に見れば、バイデン政権の傍系に近く、実効性にも疑問がする」と付け加えた。

チョン・ヨンテ ドンヤン大学客員教授も「北朝鮮は核交渉力を前面に出して米国との対話するとき、韓国が我々と同じ立場でなければ抜けると要求している」とし「このような状況で韓国政府が交流・協力を取り出すのであれば、北朝鮮はむしろ『からかっているのか』と反応するだろう」と述べた。
(引用ここまで)


 ムン・ジェイン大統領が新年の辞で懲りることもなく「北朝鮮との協力体制を確立する」という旨の話をしたのですね。
 南北対話、米朝対話について最善を尽くす云々と言っているのですが。
 手がかりはなにもなし。
 ここのところ、日本との関係改善を図っていたのは「東京オリンピックでの南北対話に手を貸してほしい」という意図があるからとされています。
 平昌冬季オリンピックでのスポーツ外交から一気に南北対話、南北首脳会談、米朝首脳会談と突破できた成功体験が忘れられないのでしょうね。

 で、バイデン新政権に向けて「シンガポール合意を尊重して、米朝対話を推進してほしい」という要望を出した……とのこと。
 シンガポール合意の後のハノイ決裂はどうするつもりなのやら。

 焦りまくってますね。
 バイデン政権での国務長官は北朝鮮強硬派とされるブリンケン氏に内定しています。
 ブリンケン氏は去年9月には「我々の目的は『核のない朝鮮半島』だ」と明言し、同時にトランプ政権での対北政策を「危険性を高めた」として批判していました。
 当時、自分たちはどのように対応するかというところまでは述べていませんでしたが。
 でもまあ、対話するにしても「トランプ政権のような対話路線」ではないというのは見えていますね。
 バイデン次期大統領も、選挙戦中にトランプ大統領が「私はキム・ジョンウンと仲がいい」と言った際に、「いや、ヒトラーと仲がいいみたいなこと言われても」という発言をしています。
 対話路線とはとても思えませんね。

 その一方で北朝鮮は先日の党大会で「核による先制、報復攻撃能力を高度化する」という宣言をしており、アメリカに対して挑発の度合いを強めてきました。
 バイデン政権に向けての対決姿勢を徹底しようとしています。

北朝鮮、核先制使用も排除せず バイデン米新政権に強硬路線(共同通信)

 韓国の、というよりはムン・ジェイン大統領の思惑のようにはアメリカ、北朝鮮、日本、どこも動こうとはしない。
 拉致問題解決という命題を抱えている日本とは協力ができたはずなのですが、自らその路線も放棄している。
 アメリカとも「制裁強化」という意味で協力体制を取れるはずなのに「南北協業を行いたい」と言い出してアメリカから不興を買っている。軍事訓練も拒絶。
 肝心の北朝鮮からも「南は仲裁者ヅラすんな」くらいまで言われて徹底した対話拒絶。
 ……外交王なぁ。

ハノイでの決裂までの経緯が描かれています。

イランはなぜアメリカへの報復として韓国船籍のタンカーを拿捕したのか

カテゴリ:米韓関係 コメント:(134)
イラン政府「韓国政府が70億ドルを人質に取っている(中央日報)
イランの軍隊である革命防衛隊が今月4日、ペルシャ湾(アラビア湾)で韓国船籍の化学運搬船「韓国ケミ」号を拿捕したことに関連し、イラン政府報道官が5日「韓国政府が70億ドル(約7186億円)を人質に取っている」と話し、その意図が注目されている。アリ・ラビエイ報道官はこの日、オンライン記者会見で「韓国船舶拿捕が人質劇に該当する」という主張に反論して「もし人質劇が存在するなら、それはわれわれの資金70億ドルを根拠なく凍結した韓国政府だろう」と話したとロイター通信が報じた。韓国のウリィ銀行とIBK企業銀行は米国の対イラン経済制裁で、イラン産石油の輸入代金約70億ドルを支払うことができず凍結している。

今回の事件に対し、外交界では「イランが米国との衝突の可能性に備え、韓国船舶を事実上『人質』に取った」と分析している。韓国が対立中の米国とイランの間に挟まれた状態だという説明だ。米CNNも韓国が両国対立の「無関係の被害者(neutral victim)」になったと評価した。 (中略)

イランは、昨年11月の核科学者暗殺と今月3日のガセム・ソレイマニ司令官の死亡1周忌を契機に対米報復の意思も固めてきた。4日、ウラン濃縮濃度を20%に高め始めたまさにその日に韓国船舶を突然拿捕したのは、米国を直接挑発するのではなく同盟国の一つを選んで迂迴的な警告を送ったと解釈することができる。
(引用ここまで)


 イラン革命防衛隊による韓国籍タンカー拿捕についての続報。
 なぜ韓国が狙われたのか、ということについて考えてみましょうか。

 アメリカの同盟国から、もっとも弱い環である韓国を叩くことでアメリカに警告しつつも、そこまでの強さではないという意思表示をしている……ということかなというのは当初から考えられていた部分。
 イランの立場で他のアメリカの同盟国を見てみると──

・日本
 中東和平に一定の役割がある。安倍前総理がハメネイ最高指導者と会談するなど良好な関係を保っていたい。

・NATO諸国
 相手として大きすぎてよろしくない。

・オーストラリア
 そもそも中東に船がきていない。

・シンガポール
 小さすぎる。

・イスラエル
 第5次中東戦争はじまるわ。

・サウジアラビア
 中東地域の不安定さを増すだけで効果が薄い。「はいはい、中東中東」で終わりそう。ラクダの上のサソリですね。

 これらの点から見て、韓国あたりがもっとも手頃と思われたということかな。
 米韓関係の薄さというものが評価された、というべきか。
 それであっても「同盟国」という事実は揺るがず、あるていどのダメージを与えることが可能。

 もちろん、記事にあるように原油輸出代金である70億ドルの預金が韓国国内で凍結されていることもあるし、韓国はその預金に対して利息をつけてこなかったという性悪なやりかたをしてきたので、恨みつらみもある。
 先日の第一報で書いたようにソレイマニ司令官殺害から1年、アメリカに対しての報復という意味合いもある。
 それと同時に任期が終わりかけているトランプ大統領に対して、イランが防衛線を張ろうとしている、ということもいえるでしょう。
 それらが複合的にからんで『韓国』という手頃な相手を選択した、というのが実際のところではないかと感じます。

韓国大統領府「アメリカ議院がビラ散布禁止法について人権委を開催しようとしている。ロビー活動して阻止しなければ!」……いや、ビラ散布禁止法をどうにかしろって

青瓦台、ビラ禁止法巡る米聴聞会阻止に向け対策会議(朝鮮日報)
 米国議会が韓国政府による対北ビラ禁止法に対する聴聞会の開催を予告する中、青瓦台(韓国大統領府)と韓国政府はこれを阻止するための総力戦に突入した。青瓦台は24日に関係機関の担当者を招集し、徐勲(ソ・フン)安保室長主催でこの問題への対応を検討する最初の会議を開催した。「必要ならメールででも会議を行う方針」だという。ある韓国政府筋は28日「こちらの立場を米国に納得させるためにあらゆる手段を動員する」と説明した。人権と民主主義を核心的な価値とする「バイデン時代」の発足と同時に、韓国が「人権、表現の自由侵害国」の烙印を押される最悪の状況だけは避けたいということだ。

 対北ビラ法聴聞会は米議会内超党派の「トム・ラントス委員会」が推進している。この委員会で共同委員長を務める米議会下院のクリス・スミス議員は対北ビラ禁止法について「最も残忍な共産政権で苦痛を受ける住民のために民主主義を増進し、支援する行為を犯罪化した」として同法を強く批判している。委員会は近く実務者らが集まり、法案の詳しい内容についての検討など事前の作業を開始し、早ければ来年1月中には聴聞会を開催するという。聴聞会には前職・現職の国務省関係者、北朝鮮人権団体の関係者、専門家グループなどが証人として出席し、ビラ禁止法はもちろん、北朝鮮の人権問題に関する韓国政府の対応についても包括的に検討される可能性が高い。 (中略)

 ここ最近、ラントス委員会の人権聴聞会で取り上げられた国はナイジェリア、中国、ハイチ、ホンジュラスなどだ。対北ビラ禁止法聴聞会が開催されれば、韓国はこれらの国々と同じような扱いを受けることになる。

 対北ビラ禁止法については以前から国際社会において懸念の声が出ていたが、韓国政府は「一部強硬派や人権団体による異例の批判」程度と軽く考えていた。ところが批判は米国だけでなく自由民主主義陣営全体に広がり、韓国の民主主義に対する根本的な疑いの念まで浮上する状況となった。足下に火がついた駐米韓国大使館はラントス委員会はもちろん、知韓派とされる議員らやバイデン政権の関係者、シンクタンク、人権団体などに対し「南北関係の特殊性」「境界地域の住民が直面する苦痛」などの論理で集中的に説明している。
(引用ここまで)


 北朝鮮の実質ナンバー2の権力者であり、キム・ジョンウン委員長の妹であるキム・ヨジョン氏が「法律でもなんでも作って北朝鮮へのビラ散布を禁止しろ」と怒りのコメントを韓国に出した結果、韓国国会が土下座するようにして作ったビラ散布禁止法案
 それに対してまず、アメリカ下院の重鎮であるクリス・スミス議員から「ムン・ジェイン政権による人権弾圧を真剣に憂慮している」という警告が出されました。
 その後もアメリカイギリスはもちろんのこと、自由主義陣営からはおしなべて「え、あそこやっぱりああいうところだったんだ」とヒソヒソとされています。

 それに対してカン・ギョンファ外交部長官がCNNのインタビューで「表現の自由は絶対的なものではない」と答えるなど、韓国政府は必死の抵抗を示してきたのですが。
 実にすべてが空回り状態。
 けっきょく、来年には米議会の人権委で公聴会が開かれることとなっています。

 でもって今度はその人権委開催をなんとしてでも阻止しようと、韓国政府はロビー活動を繰り広げている……というニュースなのですが。
 「南北関係の特殊性を説明する」って……バカなの?
 やればやるほど深みにはまりますわ。

 叔父を処刑し、実兄を暗殺したような政権に土下座するようにして自国の表現の自由を奪う法律を作っているんですからね。
 それでなくてもアメリカをはじめとした同盟各国は日本海、東シナ海で国連制裁の実施のために監視を強化している中、韓国だけがサボタージュしているという状況。
 おまけに経済制裁をしているのに韓国政府は度々「南北鉄道を接続する」だの「金剛山観光事業を再開したい」だの言い出している。
 その理由も「南北の関係性は特殊だからだ」って述べてきましたが。
 もういい加減、疑念を覚えられてもしかたがない。

 まあ、日本にとってはありがたい話でもあるのですけどね。
 「ほら、韓国はアレですから……」って言える事案がまた増えたということですから。
 バイデン政権では人権侵害に対する締め付けが強くなるでしょうが、ムン・ジェイン政権はどんな言い訳をすることやら。ちょっと楽しみですらありますわ。

アメリカ議会人権委、韓国の「北朝鮮ビラ散布禁止法」について公聴会を開催……「民主主義への挑戦」と受け止められている模様

米議会人権委「韓国の北朝鮮ビラ禁止法めぐり公聴会開く予定」(中央日報)
米国議会傘下の超党派的機構「トム・ラントス人権委員会」が韓国の北朝鮮ビラ散布禁止法(南北関係発展法改正案)に関連し、公聴会を開く予定だとボイス・オブ・アメリカ(VOA)放送が18日、伝えた。

全世界の人権問題を扱うトム・ラントス人権委員会の共和党側関係者は「今月中の公聴会の開催が不可能なわけではないが、議会の今会期があと数日も残っていない点を考慮すると、来年1月に新しい会期が始まれば公聴会の具体的な日程が決まるだろう」とVOAに明らかにした。

公聴会には脱北者も証人として出席するものとみられる。人権委の共和党側共同委員長を務めるクリス・スミス下院議員は11日(現地時間)に発表した声明で北朝鮮ビラ散布禁止法処理の動きに対して懸念を示し、法が通過すれば別途公聴会を招集すると予告した。

このような動きが韓国政府とジョー・バイデン次期政府との関係設定でも伏兵になりかねないとの懸念も出ている。
(引用ここまで)


 韓国国会で可決された、北朝鮮へのビラ散布禁止法についてアメリカ議会の人権委員会が公聴会を開くことが決定しました。
 この法律、ビラ散布の禁止だけがクローズアップされていますが、実際には「第三国を通じてのビラなどの移動」も禁じられています。

 この「ビラなど」という規定がくせ者で。
 ありとあらゆるものが「ビラなど」で規定されてしまうのです。
 USBメモリやCD-Rに韓国ドラマを入れて北朝鮮に持っていくことも禁止。
 北朝鮮で人気があるとの話のある韓国製の化粧品やら、チョコパイなんかも禁止。
 北朝鮮当局が嫌うことは一律禁止になったといっていいでしょう。

 北朝鮮国民がなんらかの手段で韓国の情報にアクセスする手段が、この法律によって極端に削られているのです。
 まあ、最初からムン・ジェイン政権の狙いはこれだったのでしょうけどね。
 何度か書いているように、北朝鮮が欲しているのは上層部が贅沢な生活をできるていどの豊かさ。国民全体が豊かになったりする必要性はまったくないのです。
 韓国から情報を入手したり、娯楽を取り入れたりすることはまったくの邪魔。

 アメリカが公聴会を開くほどに注視しているのは、もちろん韓国国内の事情についてもでしょうが。
 北朝鮮に対しての人権問題であるという部分も少なからず考慮されているはずです。
 下院議員の中でも重鎮として知られるクリス・スミス議員が「民主主義の原則と人権に反する愚かな(inane)立法」として非難しました。
 このinaneって単語、えらい強いものです。
 この強さをどう説明すればいいものか。翻訳は「愚か」で間違いないのですが。
 同じように「愚か」と翻訳されるloopyよりだいぶきつい。
 loopyはまだちょっと嘲られている部分がある「愚かさ」ですが、inaneになると言った相手に手袋叩きつけられてもおかしくない感じ。
 「愚劣」と言われている感じかなー。

 重鎮議員がそこまでの単語を使って韓国政府を非難しているわけですよ。
 「民主主義への挑戦」くらいのことを思われています。
 カン・ギョンファ外交部長官は英語(だけ)に堪能なので、そのあたりは分かっていてもいいはずなのですが。
 分かっているからこそあえて無視している……かもしれませんね。

 韓国のやろうとしていることは「自由主義国家、民主主義国家から離脱しようとしている」と受け止められてもなんの不思議もないのです。
 いや、本気で。
 そうでなかったら人権委員会で公聴会開かれたりはしませんよ。

イギリスでのG7に「ゲスト招待」される韓国、まだ自由主義陣営の一員として扱われている模様……もちろん、G7の正式メンバーというわけではありません

中国を封じ込める「海の長城」構築が始まった(Newsweek)
来年のG7議長国の英国 韓・印・豪をゲスト国で招待へ(KBS World Radio)
韓国は、来年イギリスで開かれるG7=主要7か国首脳会議にゲスト国として招待されました。
ロイター通信と共同通信が15日に伝えたところによりますと、イギリスの首相官邸はジョンソン首相が来年1月にインドを訪問すると発表したなかで、来年、イギリスが議長国を務めるG7サミットに韓国とインド、オーストラリアの3か国を招待する計画を明らかにしました。
共同通信によりますと、ジョンソン首相はインド訪問に先立ってインドのモディ首相に送った書簡で、招待の意思を表明したということです。
この書簡について、イギリス首相官邸は、韓国とインド、オーストラリアをゲスト国として招待するのは、共有された利益を増進し、共通の課題に対応するために、同じ考えを持つ民主主義国家との協力を図る首相の考えを伝えたものと説明しました。
(引用ここまで)


 一本目はこの秋からこちらに向けての対中国包囲網にフランス、イギリス、ドイツといった欧州主要国家が参加しはじめたという話。
 特にフランス、イギリスは「自由で開かれたインド太平洋」に対して大きくコミットメントしています。
 フランスは「クアッドはパートナー」と明言して日米の共同軍事訓練に参加することを決定していますし、イギリスは虎の子である空母クイーンエリザベスを日本近海に派遣することを表明しています。
 さらにドイツも数少ない艦船の中からフリゲートをインド太平洋地域に派遣すると表明しています。
 ドイツについてはコミットメントの度合いが低めに語られていたことから、艦船派遣はないだろうなと考えていたこともあってちょっと驚きでした。
 クアッドだけではなく自由主義陣営は対中国包囲網を構築することで同意しています。
 もうこの方向性は変化しないでしょう。

 そしてその一方でイギリスが来年のG7にインド、オーストラリア、そして韓国をゲストとして招待することを表明しました。
 あくまでもゲストであって、G7を拡大するものではないことに注意が必要ですかね。
 韓国政府はアメリカから招待された際に「ゲスト招待ではなく、韓国は拡大G7、G11の正式メンバーになるのだ」とか言っちゃって恥をかいていますが。
 インド、オーストラリアといったインド太平洋戦略にフルコミットメントしている国々と一緒に韓国が招待されていることに違和感を持つ人も少なくないでしょうけども。

 少なくともまだ中国陣営であるとは世界的には見られていない、ということです。
 まだ韓国の扱いは自由主義陣営の一員だし、アメリカの同盟国のひとつではあるのですよ。
 やや疑念の目では見られていますが。実際に対峙してきた日本、アメリカ以外からは「え、アメリカの軍事同盟国でしょ?」って扱い。
 ですがまあ、北朝鮮へのビラ散布禁止法令あたりでその「自由主義陣営の一員」であるということを自ら投げ棄てようとしているのですから面白いですよね。
 自分で掴んだ地位ではないから、そのメリットが理解できないのだろうなぁ……。

米下院議員が「韓国の人権侵害がひどすぎる」「人権監視リストに韓国を掲載する」「中国傾倒も危惧している」と警告

米下院議員「ムン・ジェイン政府の人権・市民権を真剣に心配している」(朝鮮日報・朝鮮語)
クリス・スミス米連邦下院議員が11日(現地時間)に声明を出し、「ムン・ジェイン大統領の韓国が見える軌跡(trajectory)に真剣に心配になる」とした。韓国政府の人権制限措置などを強い口調で批判し、韓国を国務省「ウォッチリスト(watchlist・監視対象)」に上げると警告した。

スミス議員はこの日公開した声明で、「韓国政府がコロナに対応するという名目で、宗教と表現の自由、大統領に向けた批判を抑えている」と述べた。

スミス議員は、米議会内超党派国際人権機構である「トム・ラントス人権委員会」の共同委員長を務めている。ニュージャージー州で共和党に20選をした。コロナ防疫局面で、政府が保守団体の集会を許さず、教会などを対象に家宅捜索をしていた措置等を意識した発言とみられる。

スミス議員はまた、共に民主党が立法強行を予告した、いわゆる対北ビラ禁止(南北関係発展法改正案)を「愚か(inane)」と表現し、「北朝鮮に過度に頭を下げている」と批判した。 (中略)

スミス議員は「(法案が)最終通過する場合、米国務省が発行する、宗教の自由や人権レポートなど韓国の民主的価値へのコミットメント度を再評価する。おそらく韓国をウォッチリスト(監視対象)に上げる可能性が非常に高いと言うであり、これは非常に悲しいことになるだろう」と明らかに外交的波紋が予想される。

スミス議員はまた、ムン・ジェイン政権の外交政策について「外交的に中国に傾いている(diplomatic tilt)」と指摘した。下院外交委員会の人権小委員長を務めたスミス議員は、これまでの人権問題に深い関心を見せてきた議員だ。ワシントンのある消息筋は「韓国政府に向けた今回の声明は、これまでよりも表現が荒く水位が高く、それほど現在の状況を深刻に見ているという意味で解釈される」とした。
(引用ここまで)


 クリス・スミス下院議員が「ムン・ジェイン政権の人権無視の度合いがひどすぎるので注視している」「韓国を人権面での国務省ウォッチリストに掲げる可能性が高い」と発言。
 対北朝鮮のビラ禁止法案、あるいはK防疫に伴う抑圧政策に対して警告をしている。
 さらに外交的に中国に傾倒しているとも警告。
 本当に風向きが変わったなぁ……。

 かつてアメリカが日韓のどちらかを重視するかというと、韓国だった時代がありました。
 少なくともイ・ミョンバク政権の頃はそれが顕著だったように感じます。
 ノ・ムヒョン政権は……あれは……なんというか、おミソというべきか。

 天安門でのスリーショット等で中国への傾倒が明白になってきたパク・クネ政権あたりからそれが変わってきた。それがひとつの形になったのが慰安婦合意ですね。
 あれは「日本も引け、韓国も引け」という形で作られています。破った際の罰則こそありませんが「国家間の約束を破った国」という印象は拭えなくなる。
 もちろん、日本の提唱によるインド太平洋戦略がアメリカの基本戦略のひとつとして採用されたこと等々もありますが。

 それらの結果として、こうしてアメリカの下院議員が「韓国の中国傾倒を危惧する」と直接的に言い、「韓国の人権侵害、北朝鮮への過度ののめり込みについて警告する」といった事態になった……というわけです。
 外交天才として褒め称えられ、ホワイトハウスにファンクラブができてしまったほどのムン・ジェイン大統領による手腕といえるでしょうね。
 どこからも孤立しつつあるなぁ、ホントに。

ムン・ジェイン大統領がCPTPP加入や対日関係改善に乗り出すのは「バイデン政権」との協力関係のため

文大統領、米日中心のCPTPP加入を検討…「バイデン・モード」に転換(朝鮮日報)
 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が米国の大統領選挙で当選したバイデン氏の「コード(政治的理念や傾向)合わせ」に力を入れている。最近になって文大統領が「韓国版ニューディール」など経済政策を理由に連日強調する「炭素中立(カーボンニュートラル)」「環太平洋連携に関する包括的および先進的な協定(CPTPP)への加盟」などを打ち出した背景にも、バイデン氏と呼吸を合わせたい考えが根底にあるとの見方だ。韓日関係を巡る突然の融和メッセージも同じ流れの中にある。 (中略)

 文大統領は昨年の徴用判決や輸出規制によって悪化した韓日関係に関するメッセージにも力を入れている。バイデン氏はインド・太平洋地域における中国に対するけん制や北朝鮮の核問題に対処するため、韓米日による協力を重視しているからだ。

 文大統領はこれら一連の「コード合わせ」を基盤に、来年の初めにはバイデン氏との首脳会談を実現させ、前のトランプ大統領が行った「トップダウン式」の米朝関係および南北関係改善への協力を求めるとみられる。しかしバイデン政権は北朝鮮の核問題においては実務交渉や核申告・検証の原則を強調している。
(引用ここまで)


 ムン・ジェイン政権がCPTPP加入検討宣言や対日関係改善を模索しているのは、バイデン政権との「コードを合わせよう」としているものだ……との朝鮮日報の推察。
 これまでのトランプ政権では「ノリ」でトップダウン方式の北朝鮮との首脳会談を行ってきたものの、「政治家」であるバイデン政権ではボトムアップ方式が取られるであろうことは明白。
 なんとかして気に入ってもらえるようにしたい……というのがムン・ジェイン政権の意向なのだろうと。
 まあ、そうなのでしょうね。

   ただ、バイデン政権の国務長官として内定しているブリンケン氏は徹底した対北朝鮮強硬派。
 強硬派の中でも最強硬派といっても過言ではないですね。
 キム・ジョンウンのことを「最悪の暴君」と呼んだこともある人物。  そして同時にトランプ大統領による対北交渉を「最悪の暴君をアメリカ大統領と同じ地位を得てしまった。おまけに彼らの歓心を得るために同盟国との演習すら中止している。経済的圧力から離脱しようとする。その見返りは? なにもないよりも悪い」と断じています。

 少なくともムン・ジェイン政権にとってはトランプ大統領が再選してくれるほうがありがたかったのですね。
 ムン・ジェインらによる計略に乗ってくれたし、最終的には決裂したとはいえども米朝会談も2回あった。決裂後であってすら板門店でキム・ジョンウンと面会してくれた。
 対北朝鮮では経済的に締め上げて言うことを聞かせようと考えているようです。
 より強力な経済制裁が必要だ、と述べています。これらの発言は9月25日のCBSとのインタビューでのもの。

“対北強硬派”ブリンケン氏「イラン式解決法」を推進?…北への経済圧力「強まる」(Wow! Korea)

 これまで以上に制裁を強める、というのは瀬取り等の監視でしょうね。
 北朝鮮にとってはそれでなくともきつい状況だったのに、これ以上に制裁を強められる。かつ、トップ同士での会談もない(と思われる)。

 南北関係をなによりも大事に考えているムン・ジェイン政権にとっては最悪の状況と言っても間違いないところ。
 それでもテコとしてのアメリカとの関係は外せない。
 ですが、北朝鮮は米韓軍事演習を嫌いますし、アメリカの圧力で南北関係改善が進まない状況に対してもいらつきを見せている。関係改善というよりは南からの貢ぎ物が届かない、という事態についてでしょうけども。

 ムン・ジェイン政権にとってはこれまで以上に微妙な舵さばきが必要となるというわけですが。
 これまでも別に微妙な舵さばきができていたってわけじゃないですからね。
 バイデン政権への移行と共にホワイトハウス内にあるというムン・ジェインファンクラブも消滅してしまうのでしょう。残念だなー(棒読み)。