相互RSS募集中です

カテゴリ:ムン・ジェインの記事一覧

ムン・ジェインが支持層に向けてだけの政権となっている……もはやホワイトカラー以外からは総スカン?

【韓国政治データ】文在寅大統領の職業別支持率(2019年9月) - (ニューズウィーク)

 ニューズウィークが唐突に韓国ギャラップ社による職種別のムン・ジェイン政権への支持率だけを掲載しています。
 その意図がちょっと不明なのですが、まあいい機会なのでざくっと書いておけることを書いておきましょう。

 っとその前に、掲載されている数字はこんな感じ。「どちらでもない」、「わからない」は割愛しているので詳細データはリンク先にて。

・自営業     支持 34% 不支持 62%
・ブルーカラー  支持 37% 不支持 54%
・ホワイトカラー 支持 56% 不支持 36%
・主婦      支持 36% 不支持 57%
・学生      支持 44% 不支持 48%

 この統計でいうところのホワイトカラーとブルーカラーの区分というのがいまひとつ不明なのですが。たとえばヒュンダイ自動車の工場労働者は一般的な考えではブルーカラーですが、収入的にも安定度合いにしてもそこらのホワイトカラーどころの騒ぎではないですよね。
 まあ、その辺は一般的な区分である、としましょうか。


 こうして見ると社会的な「脆弱層」と考えられている部分からムン・ジェイン政権の不支持率が高まっているのが分かります。
 安定度の高いホワイトカラーからは過半で支持され、それ以外の層は不支持が多い。
 ホワイトカラーにとっては経済政策を含めてうまくやっているということなのでしょう。というのは、韓国では多くの場合で基本給を抑えて、ボーナス等で調整するという給与体系になっているために、基本給のみの時給換算では最低賃金で働いているという層も少なくないのです。
 つまり、ムン・ジェインによる最低賃金を2年で30%近く上昇させるという政策の恩恵の多くは給与労働者にあったと考えるべきでしょう。
 去年、上位所得者の歴代最大の所得増加で一気に上下格差が拡大したのも、その根拠となるでしょう。

 一般に脆弱層が属していると思われる自営業では不支持率が特に高い。
 去年の段階で政権への支持率は30%台になっていて、そこから回復していません。
 あまりにも自営業者からの支持率が低すぎて、大統領経済補佐官が「自営業者はぐだぐだ言っていないでASEANでもニューヨークでも好きなところで商売しろ」と暴言を吐いて辞任するなんてこともありました。

 ただ、ここから大きく変化があるのか、と言われれば「ないだろう」としか言えません。
 自営業者は平均月収9万円の脆弱層ですが、韓国では労働者の20%以上を占める多数派でもあるのですね。
 ですが、その一方で労働組合があるわけでもなし、票田となるわけでもない。
 なので放置されて終わりなのです。


 来年の総選挙に向けて票田となるであろう支持層に向けてだけの政権となっていくでしょうね。
 これまでもそうでしたが、チェ・グクの任命騒動を見てもそれがより一層先鋭化していくことになると思われます。

チェ・グクの疑惑でムン・ジェイン政権は揺らぐことになるのか? パク・クネ政権の支持率の変遷を見てみると……

文在寅政権は不正入試疑惑で揺らぐのか(WEDGE)
「私は文在寅(ムン・ジェイン)大統領を支持しているけれど、曺国(チョ・グク)氏の法相任命には反対だ。でも私の周囲には政権支持で、任命にも賛成という人ばかり。もう嫌になってニュースも見ないようにしているよ」

 文大統領が側近である曺氏の法相任命を強行した今月9日、ソウルの大学で社会学を教えている旧知の韓国人大学教授に電話すると疲れた声が返ってきた。もともと進歩派の人だから付き合っている人には政権支持者が多いのだが、曺氏の話題になると意見が合わなくて気まずい思いをするのだという。

 このひとことに韓国社会の現状は凝縮されている。私の知人のような人は少数派で、政権を支持する人たちは曺氏任命を歓迎し、不支持の人は反発する。8月末から9月上旬にかけて何回も行われた世論調査では、政権を支持する人の9割が任命賛成、不支持の人の9割超が反対という結果が続いた。曺氏の娘が大学や大学院に不正入学した疑惑に対して怒っている若者は多いけれど、その怒りを全国民が共有しているわけではない。

 日本のメディアでは「韓国世論は入試不正にとても敏感で、朴槿恵前大統領の弾劾にもつながった」と言われることがある。「だから今回も、もしかすると」と続くことも多い。文政権が早く終わってほしいという願望を込めての言葉のようにも見える。だが現実は、前述した通りである。曺氏の任命強行は、世論が反対一色ではないことを見切った上でのことだ。文政権下で深刻化している韓国社会の分断をさらに悪化させ、将来に禍根を残すだろうが、そのことは考慮されなかったようだ。 (中略)

 それに曺氏はソウル大教授である。曺氏に向けられる韓国民の視線が崔被告に向けるそれと大きく違う背景には、その点も小さくないように思われる。
(引用ここまで)


 元毎日新聞ソウル支局長で、韓国についても何冊か著作のある澤田克己氏による記事。
 チョ・グクの法務部長官就任がムン・ジェイン政権に致命的なものとなる、とする話が日本ではいくつか出ているけどもそうはならないだろう、という主旨ですね。
 特にパク・クネ政権で実際に支持率がどう低下していったかを追いながら今回と比較するところは説得力がありますね。
 まあ、もちろん社会情勢というものはなにが引き金で大きく転じるのか分からない部分もありますが、少なくとも見えている状況の中ではこれが実際かな、という感じがします。

 いくつかの大学ではろうそくデモが起きています。
 チョ・グクの娘が実際に(不正?)入学した高麗大学と、チョ・グクが教授として勤めているソウル大学といったところですね。

文大統領の後継候補の娘の不正入学疑惑 学生の反発拡大 高麗大、ソウル大でロウソク集会 支持率低下し不支持が上回る(アジアプレス)

 ただ、これが韓国社会全体に拡がるかというとかなり疑問。
 記事中にもあるようにパク・クネ弾劾についてはチェ・スンシルという人物の「得体の知れなさ」が大きく作用している。
 そこに加えて、そんな人物が権力を利用して梨花女子大という名門に娘をねじこんだということが触媒になってブーストした部分が少なくない。
 確かに韓国では「不正受験」は致命的になりますが、じゃあ今回の話がパク・クネを弾劾したところまで行くかというとそれはまた別の話。

 パク・クネ弾劾はあたかもすべてのピースがうまくあてはまった中で社会が動いたわけで、チョ・グクを法務部長官に強行任命したところで、ろうそくデモが起きたとしても汎韓国的なものにはならないのではないか……と判断したのでしょう。
 ムン・ジェインとしては岩盤支持層さえケアしておけばなんとかなるという考え。
 GSOMIA破棄についてはアメリカの対応を見誤りましたが、さすがにポピュリストだけあって支持層の捉え方だけは間違わなかった、ということでしょうかね。


韓国大統領補佐官「金剛山観光事業は制裁対象ではない。再開させるために市民はアメリカ大使館の前でデモせよ」……もうメチャクチャだな

文正仁特補「南北関係最大の障害物は国連軍司令部」(朝鮮日報)
 韓国の文正仁(ムン・ジョンイン)大統領特別補佐(統一・外交・安全保障)は9日、現在の韓半島情勢について「韓米同盟を生かそうとして南北関係が駄目になっている状況」だとして「南北関係において最大の障害物は国連軍司令部」と語った。文特補はこの日、高麗大学で開かれた韓半島と北東アジア情勢に関する講演で、開城工業団地など南北経済協力に支障が出ていることについて「開城工業団地に物資やバスが向かっていくというと、全て国連軍司令部に事前申告して行くようになっている」として、このように発言した。文特補は「もし韓国国民がこれを知ったら、国連軍司令部は撤収せよと言うだろう」と語った。

 文特補は「北では韓国を信用せず、全く対話がなされていない状況」だとして「昨年作った韓米ワーキンググループは南北が推進することを米国に告げ口し、事実上米国に承認されているので、北朝鮮が理解しない」と語った。その上で「野党や保守陣営では、現在の状況を韓米同盟と南北関係が駄目になる外交惨事だというが、厳密に突き詰めれば、韓米同盟を生かそうとして南北関係が駄目になっている」と発言した。

 文特補は「われわれの基本は韓米関係ではなく南北関係だと考えるならば、解法が出てくる」と主張した。また「今の一般国民の大勢は、米国に付いて中国の浮上を防ごうという親米均衡論」とした上で「賢い人は、安全保障は米国と、経済は中国とやるべきだという現状維持論を好む」と語った。中国の一帯一路政策に対する考えを尋ねる中国の学生からの質問に、文特補は「一帯一路戦略は地政学的戦略ではなく地経学的戦略なので、米国は韓国に圧力は加えられるが、いつでも協力が可能というのが文在寅(ムン・ジェイン)政権の立場」と答えた。

 「われわれはなぜ米国の顔色をうかがうのか」という学生の質問には「駐米韓国大使が、韓国政府の意向を強力に伝えるよりも、米国政府の意向を韓国へ伝えて韓国政府の意見を変えるようにする形で社会化されている」「国連安保理の制裁決議に引っ掛からない金剛山観光をなぜ運用しないのかと、青瓦台(韓国大統領府)の前で、米国大使館の前でデモする市民の行動だけが変えることができる」と答えた。
(引用ここまで)


 ムン・ジョンイン大統領特別補佐官がいつものように舌禍を繰り広げています。
 今回は国連軍司令部に文句をつけています。
 たとえば南北鉄道接続試験においても南北の同意があっても、国連軍司令部が反対したことで行われていないのですね。
 実際、戦時統帥権を在韓米軍司令官から韓国側に委譲したとしても、国連軍司令部があるので実質的にはなんら変わらないのではないかともされています。
 半島事態が生じた際には国連軍からの依頼で自衛隊の参戦も濃厚になってきたのではないかという話が韓国左派からは語られています。
 これについてはあとで扱う予定。

 さらにタス通信のインタビューでムン・ジョンインは「南北朝鮮は10-15年ほどでEUのような統合を行うことができる」と語り、さらに「韓国が核兵器を入手することができれば、米韓同盟は必要なくなる」だろうという爆弾発言をしています。

 まあ、爆弾発言というかいつもの持論をご開陳しただけって感じが。

 まあ、ムン・ジョンインとしては在韓米軍にせよ国連軍にせよ目の上のたんこぶといったところなのでしょう。
 ここのところ、南北関係がまったくうまくいっていないこともあって、かなりいらついた話になっている感じですね。
 キム・ヨンチョルが統一部長官になったことから、開城工業団地再開や金剛山観光事業の再開はとんとん拍子で進むのではないかと期待されていましたが、まったく動きなし。
 北朝鮮からは「南と話し合うつもりはまったくない」くらいまでに言われているほど。

 なんとかして現状の手詰まり感漂う状況を打開したいのでしょう。
 それでなくともムン・ジェインの支持層からはなにも変化がないと文句を言われている状態ですからね。南北関係が進行していないからこそチョ・グクの任命を強行しなければならなかったという側面もあるといえると思います。
 まあ、北と南とアメリカでそれぞれが見ているところがまるで異なっているので、打開は難しいかな。

ムン・ジェイン、チョ・グクの法相任命を強行 → 政権運営のためにはそれ以外の手はなかったから

韓国大統領、不正疑惑の側近を法相任命(日経新聞)
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は9日、娘の進学などに関する不正疑惑が明らかになっていた側近の曺国(チョ・グク)前民情首席秘書官を法相に任命した。大統領府が発表した。一連の疑惑では検察が曺氏の妻を在宅起訴し、さらに捜査を拡大している。こうした中での任命強行は世論の反発を強め、文政権への逆風が強まる可能性がある。

曺氏は文政権を支える革新勢力の中核的な存在の一人で、2022年の次期大統領選の有力候補ともいわれる。今年7月まで大統領府の秘書官を務め、文氏は8月に政権が重要課題に据える検察改革を推進するために次の法相候補に指名していた。 (中略)

世論のさらなる反発が予想されるなかでも文氏が曺氏の任命に踏み切ったのは、自身の支持層である革新勢力に限れば圧倒的多数が賛成しているためとみられる。与党の「共に民主党」も曺氏の任命を後押しする考えを大統領府に伝えていた。政権の重要課題である検察改革への強い意欲を示す意図もありそうだ。
(引用ここまで)


 日本でもだいぶ話題になっていたチョ・グクの法務部長官任命。
 娘の入学不正や、それにまつわる妻の感謝状偽造が起訴されるなど逆風が吹いていましたが、案の定といってもいい強行任命。
 どれだけ世論が反発しようともムン・ジェインとしては、もはやこうせざるを得ないのです。

 日経の記事にもあるように、チョ・グク任命について左派からの賛成は多数でした。
 逆にいえば一般層からは圧倒的に反対されていたということですけどね。
 ですが、そういった支持層以外からの声は無視せざるを得ない。
 どう見ても外交・内政共に破綻していますし、特に経済はどうにもならない状況。しかも、もうムン・ジェインの任期中に上向くことは100%ない。
 半導体の好況が短いスパンでくれば数字的には上向くことはあるかもしれませんが、その場合も半導体以外の悲惨さが浮き彫りになるでしょうしね。
 なにをどうしたところで支持率が上昇する目がなにもないのです。

 唯一の希望は北朝鮮との「外交」がうまくいっているというものでしたが、明白に勘違いだったことが明らかになりつつあります。
 残り2年半ちょっとの任期だけ、確実にやっていくためには自らの支持層へのアピールが必要になり、それ以外のことはなにもしない大統領になることでしょう。
 浮動層からの支持は無視する……というより、取り合わないのですね。
 逆にここで退いて「チョ・グクの指名取消」とかやった日には、支持層からの反発が出てしまう。浮動層と堅い支持層、どちらを選ぶかといったら後者に決まってます。

 かつて、革新派による100年王国とでも呼べるような構想がありました。
 政権を保守派に取り返されることなく、延々と左派が政権を握り続けるという構想で、ムン・ジェイン政権が終わったあともイ・ジェミョン城南市知事やアン・ヒジョン忠清南道知事らが政権の座に座り続ける……というものでした。
 実際、保守である自由韓国党にはこれらの後継政治家に相当する人材が皆無で、対抗し得ないとも思われていたのですね。
 ところが、イ・ジェミョン、アン・ヒジョンともに政治家として終わっています。というか、つい最近終わりました。これもあとでエントリ書きますが。
 なので5年後、10年後の政権の話など考えていられない。
 いま、この状況の中で政権を確実なものにしておきたい。
 より狭く、かつ短い視野で政権運営をしていくことになるのです。

 逆にいえば自由韓国党にとっては次期大統領選挙では政権交代の目が出てきた、ということでもあるのですが。
 なにしろ人材がいない。現在の党代表はパク・クネ政権時代に大統領代行をしていたファン・ギョアン。うーん。

データの罠 世論はこうしてつくられる (集英社新書)
田村秀
集英社
2006/9/20

疑惑のタマネギ男ことチョ・グクの娘、第1執筆者だった論文が取消。さらに大学入学も取消へ……そして捜査への介入で大統領府VS.検察という構図が鮮明に

病理学会、チョ・グクの娘の医学論文職権取り消し(毎日経済・朝鮮語)
チョ・グク法務部長官候補者の娘チョ某氏(28)が、檀国大医科学研究所での2週間のインターン活動だけで第1著者の名前を上げて人気があった論文を掲載した病理学会誌側が職権で論文掲載を中止することをした。これにより、チョ氏の高麗入学と釜山医学専門大学院入学を取り消されるという可能性が提起されている。

5日、病理学会は編集委員会を開き、2009年3月の病理学会誌に掲載された「出産前後の虚血性低酸素脳症で表示されるeNOS遺伝子の多形性」というタイトルの論文をキャンセルすることを決定したと発表した。この日、論文の年長の著者であるチャン・ヨウンピョ国大医学部教授からチョさんの第1著者不当登載疑惑などと関連して提出された資料を検討した結果、研究不正行為を認めたことによる措置だ。 (中略)

チャン教授は学会側に提出した説明資料の中で、これまで主張してきたようにチョ氏が論文を英語に翻訳するために多くの援助を与えたという理由で、第1著者の資格があると示されたことが分かった。これと関連して病理学会側は「単に英語翻訳をしただけでは、第1著者の役割をしたと見ることができない」と説明した。 (中略)

論文が職権によって取り消しされた場合、チョさんの高麗大入学も取り消される可能性が高まった。チョさんは2010年度の高麗大入試当時提出した自己紹介で「国大医科学研究所でのインターンシップの成果で私の名前が論文に書かれた」と述べた。 (中略)

高麗大入学が取り消された場合、高麗大卒業を前提とした釜山医学専門大学院入学も自動的に無効とされる。釜山大医学専門大学院の入試規定によると、医学専門大学院は大学卒業者又は卒業予定者のみ対応可能だからだ。
(引用ここまで)


 チョ・グクの娘のチョ某が「論文の第1執筆者」としてジャーナルに掲載された論文が、取消しになったとのこと。
 これに関連して「論文執筆があった」ということで無試験入学できた高麗大学、および高麗大学卒業を前提として入学した釜山医学専門大学院の入学も取り消されるのではないか、という話。
 ちょうどチェ・スンシルの娘であったチョン・ユラが梨花女子大の入学を取り消され、かつ高校卒業資格も取り消されたことから最終学歴が中卒になったように、ですね。
 なんていうか「雉も鳴かずば撃たれまいに……」としか思えません。

 韓国人でこうして高位にいる、あるいはチョ・グクのように多額の財産を蓄えてきた一族が不正をしていないわけがないのですよ。
 韓国という社会は、まだまだそういう社会なのです。「有銭無罪」ともされるように、財産が多ければ多いほど悪事への加担が多い。
 なので、こうしてなにかのきっかけで「身体検査」が行われるとそれらの悪事が一気に暴露されざるを得ない。

 ちなみにまだ高麗大学と釜山医学専門大学院は「検察が捜査しているのでそれを見守る」というスタンスを貫いています。
 ここで一気に「それでは入学取り消し」ってやってしまったら、歯車が逆転した時にどんな目に遭わされるか分かったもんじゃありませんからね。
 で、その検察の捜査ですが、大統領府や与党から一斉に「政治への介入だ」という反発が生まれているとのこと。

大統領府vs検察「祖国捜査」初の正面衝突(ソウル新聞・朝鮮語)
チョ・グク法務部長官候補者の人事聴聞会を翌日に控えた5日、大統領府・政府と検察が正面衝突した。チョ候補者の娘の東洋大総長表彰状操作疑惑と関連し、「操作はなかった」という趣旨の青瓦台の立場についてユン・ソクヨル検察総長が事実上「捜査介入を中断せよ」と反発している。

イ・ナギョン首相も同日、国会予算決算特別委員会で「検察はただ真実を語らなければならない。彼らが政治に関わることは、検察の領域を超えたものだ」と強く批判した。これにより、人事聴聞会の直前に検察が候補者に対する捜査を開始した初の事態が、検察改革を公言したムン・ジェイン政府と検察の間の全面戦争に突き進む様相である。現職の大統領府と検察首脳部が公に正面衝突するのは史上初めてのことだ。

青瓦台の関係者はこの日、検察が「チョ・グクの候補者疑惑に関連した捜査に介入してはいけない」という趣旨のメッセージを出したことについて「大統領府はこれまでの捜査に介入したこともなく、検察の捜査にも言及していなかった」とし「大統領府は国民と人事聴聞会を見守ることで、人事権者である大統領が判断するだろう」と明らかにした。
(引用ここまで)

 大統領府と検察が一気に対立関係になったとのこと。
 っていうか、検察もこの件を完全にスルーすることはできないのですよね。
 サムスン電子副会長のイ・ジェヨンへの逮捕状請求を却下した裁判官には「サムスンの手下なのか?」「息子がサムスンに就職している」という誹謗中傷が浴びせかけられました。
 実際には件の裁判官には息子はいないのですが。

 ここで検察が動かなければ、同様に「検察はチョ・グクの不正を見過ごすのか」と国民から糾弾されるでしょうね。
 いくら法務部長官就任への賛否が狭まったとはいえ、まだ世論の過半数が反対しているという状況ですから。
 さて、今日はチョ・グクの国会人事査問会。
 何人かが証人として国会に立つことになり、これをすり抜けることができれば法相就任となるのですが。
 なお、ムン・ジェイン大統領は今日の午後にASEAN歴訪から帰国。
 テクニカルには明日以降、いつでも任命が可能となります。

大統領府が韓国の外交をすべて握るものの滑りまくり。外交部長官のカン・ギョンファと大統領府高官が主導権を巡って口げんかまで……なるほど、韓国外交という船が山に登っている理由はそこですか

大統領府強硬派が外交政策主導……外交部・国防部は排除されて(文化日報・朝鮮語)
外交政策を青瓦台自主派、「對美怒り派」と呼ばれ(文化日報・朝鮮語)
日本の公営放送 NHKは22日、GSOMIA終了を決定した国家安全保障会議(NSC)常任委員会で外交部出身のチョン・ウィヨン青瓦台国家安保室長を除くノ・ヨンミン秘書室長、キム・ヒョンジョン国家安保室第2次長、軍出身のキム・ユグン国家安保室1次長がGSOMIA終了に賛成したと報道した。一部では「キム・ヒョンジョン第2次長がGSOMIA終了を主導した」という話も出た。「穏健派」に分類されるカン・ギョンファ外交部長官に代わって参加した「日本通」チョ・セヨウン外交部第1次官もチョン・ギョンドゥ国防部長官と一緒に「反対」の立場であったことが分かった。しかし、 NSC常任委員会後に開かれた全体会議でムン大統領が「賛成」の方に手を挙げたために反対4対賛成3であったバランスが崩れたとNHKは伝えた。

対米ラインも問題だという指摘が出ている。まず、対米外交の最前線にあるチョ・ユンジェ駐米韓国大使の存在感が不透明である。チョ大使はムン・ジェイン大統領の大統領選挙シンクタンク「国民成長」所長であるという経済通で、基本的に米国通ではない。杉山晋輔駐米日本大使がドナルド・トランプ米国大統領と3週間に一度会う(文化日報8月22日5面参照)ほどに親密なのに対し、信任状捧呈のほかには単独の出会いはほとんどないことが分かった。
(引用ここまで)

韓日関係が歴代最悪に突き進む中、ムン・ジェイン政府が韓米同盟の存続すら揺さぶるのではないかとの懸念が出てきてムン政府の外交安保政策プロセスの不透明性に対する論議が増幅してている。与党内外、および専門家によると外交安保政策決定において、外交部・国防部は力を持たず、大統領府が主導権を握りしめているが、どのような過程を経て決定されるか、誰かの「息づかい」に左右されるのかは霧の中だ。一部では大統領府の政策を主導するグループは別に存在すると主張さえ出ている。ある与党関係者は2日、文化日報との通話で「最近、大統領府内の会議でキム・ヒョンジョン国家安保室第2次長とカン・ギョンファ外交部長官が険しい言葉を取り交わして舌戦を繰り広げたと聞いている」とし「英語の卑語が行き来するほど険悪な雰囲気だった」と語った。別の外交消息筋は「キム次長が、外交部課長に直接電話して業務を指示するなど、事実上外交部長官の役割をすることもある」と説明した。与党内では少し前まで、大統領府国家安保室と外交部、国防部など外交安保ラインの全面的な改編説が起きることすらあった。

外交安保政策決定過程で大統領府に力の均衡が集まった状態であるにも関わらず、大統領府は外部専門家の助言すらまともに聞き入れないと複数の関係者は伝えた。昨年ムン・ジェイン大統領の欧州歴訪時、実務が作成した草案からは抜けていた「対北朝鮮制裁の緩和」をムン大統領が言及し、実務側が驚愕したという事例もあった。ムン大統領の外交安保メッセージが担当部署がないところで変わっているということである。

この過程で、ムン・ジョンイン大統領統一外交安保特別補佐官を中心とした延世大出身教授のグループが相変わらず影響力を行使しているという主張もある。
(引用ここまで)


 対米・対日外交において外交部がなんら影響力を持っていないという話は楽韓Webでも書いてましたね。
 大統領府が実際の権力を握っており、カン・ギョンファはただの置物と化しているという。
 その実例ともいえるものがいくつか出てきたのでチェックしておきましょう。

・駐米韓国大使は信任状捧呈式以来トランプに会ったことがない。
・カン・ギョンファとキム・ヒョンジョンが口げんかをしていた。
・ムン・ジェイン訪欧の際の「対北制裁緩和要請」は実務派が書いたものではなく、大統領府側が勝手に挿入していたものだった。

 うむ、面白い。
 キム・ヒョンジョンとカン・ギョンファの口げんかっていうのもなかなか捨てがたいのですが、特に3番目は味わい深い。
 一応、実務をやっている外交部は対北朝鮮の制裁緩和が説得力を持たないことは分かっていたのですね。
   でも、大統領府側はそこに固執した。まあ、イデオロギーとしても固執せざるを得なかった。

 というわけでフランスでのマクロン大統領との会談でも、その他イタリア、ドイツ、イギリス、EU本部の首脳と会談でもそれぞれ「制裁緩和こそが必要だ」と述べて、それぞれの首脳に「いや、CVIDこそ必要だわ」って一刀両断されたということなのですね。
 そして、後日に「いやぁ、ムン・ジェインと会ったけどあれちょっとおかしい人だわ」って言われたっていうオチがつきまして。
 さらにその後に、外交安保担当の大統領府特別補佐官であるムン・ジョンインからは「欧州で冷遇されたのは日本のロビー活動のせいだ」なんていうセリフが飛び出てきた、というわけですね。
 いやぁ……味わい深い。

 韓国の物言いはすべて正義なので諸外国にも受け入れられる、というのが前提なのですよ。
 ムン・ジョンインは「欧州冷遇は日本のせいだ」って言った時に「世の中は変化しているのに、日本は宇宙の中心のように変わらず、(自分が)望むことばかり要求してはならない」と述べたそうですが。
 まさにこれは心理学でいうところの投影ってヤツですわ。典型例ですね。

 駐米韓国大使がトランプ大統領と面会したことがないっていうのもすごい話だわ……。
 この人が就任した際には韓国メディアから「なんで?」って疑問視しかされていなかったのですが案の定。
 ムン・ジェインは身内でポストを使い回すことしかしない……できないのです。適材適所とかまったく考えていない。
 その最新の結果が、GSOMIA破棄に対してアメリカの怒りを推し量れなかったという浅はかなものだったということなのですね。
 これからもこういうことをやり続けるのだろうなぁ……。

韓国の「いくら剥いても疑惑が出るタマネギ男」ことチョ・グク、すべての疑惑を否定。一切合切の取り決めを無視して法務部長官就任を強行突破へ

文大統領側近の法相候補 辞退せず=疑惑関与を否定(聯合ニュース)
文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領の側近で、法務部長官候補に指名されたチョ国(チョ・グク)前青瓦台(大統領府)民情首席秘書官は2日、国会で記者会見し、「(法務部長官候補という)過分な期待を受けたが、失望させてしまった」とし、「周りに厳格でなかったことを深く反省し、謝罪する」と述べた。その上で、娘の大学不正入学など主な疑惑について関与を否定した。

 与野党は当初、2~3日にチョ氏の人事聴聞会を開くことで合意したが、チョ氏の娘が高校時代に医学論文の筆頭著者に名を連ね、大学に不正入学したとの疑惑などに関して誰を証人として呼ぶかで対立。聴聞会の開催が事実上困難になったことを受け、チョ氏の要請で記者会見が開かれた。

 チョ氏は「改革・進歩主義の立場で中心となって主張してきたが、徹底することができなかった」と述べた。また「若者世代を失望させ、傷つけた」とし、「法的な問題とは別に、学生や国民に申し訳ない」と謝罪した。

 その上で、「文在寅政権の2人目の法務部長官として(候補に)指名されたのは、社会改革に積極的に参加してきた学者として、また民情首席秘書官の任務を通じ、権力機関改革の責任を全うした公職者として、法務部長官の役割を果たせという意味と考える」と強調。政権が交代しても元に戻らない改革を行うことを誓うとした上で、法務部長官に就任する機会を与えてほしいと呼びかけた。
(引用ここまで)


 おお、「タマネギ男」ことチョ・グクが候補辞退を拒否。
 これで法務部長官就任は決定的といえます。
 っていうのは、これまで長官就任に向けて国会の人事聴聞会を開いたら、ムン・ジェインはほぼすべて強行任命してきたのです。国会からの同意があろうとなかろうと関係なし。
 ただ、今回は野党からの反対もあって国会の人事聴聞会が中止されています。
 じゃあ、どうするのか。

 実は組閣は大統領の専任事項であって、テクニカル的には人事聴聞会を開催せずとも強行任命できるのですね。
 制度として国会の同意を得てから任命しましょう、という緩い合意と決まりがあるだけで罰則があるというわけでもない。
 ただ……カン・ギョンファらを人事聴聞会の同意なしに強行任命してきたことも前代未聞ではあるのですが。
 もし、国会で人事聴聞会を開催せずに任命したなんてことが起きたらもう国会軽視どころの騒ぎじゃない状況に陥ります。
 いくらムン・ジェインといえども、そこまでやるかなぁ……。

 って思ってたら、この記者会見を人事聴聞会の代わりにするのではないかという話も出てきました。
 ……マジで?
 まあ、国会側の対応がどうであれ強行突破するであろうとは思っていましたが。
 いやぁ……すげえな、ムン・ジェイン。やってくれる男だとは思っていましたが、ちょっとここまでとは。
 ある意味、感動的ですらありますわ。

パタリロ! 48 (白泉社文庫)
魔矢峰男
白泉社
2012/9/14

韓国の「疑惑のタマネギ男」こと、チョ・グク法務部長官候補のニュースひとつひとつに韓国社会が大騒ぎ。さすがのムン・ジェイン政権も強行突破は難しい模様

6年前ユン・ビョンセ娘「奨学金」の議論に対して……チョ・グク「私は大学生の娘に奨学生の申請しない」(朝鮮日報・朝鮮語)
チョ・グク法務部長官候補者が朴槿恵政府時代の過去2013年2月に、国会の人事聴聞会を控えたユン・ビョンセ当時外交部長官候補者の娘が「家計困難奨学金」を受けたことを批判していたことが31日に分かった。自分は大学生の娘に奨学生の申請をしないようにしたというものである。

チョ候補者は、当時FACEBOOKで「ユン候補の大学生の娘が家計困難奨学金5回恩恵、ありえない」とし「教授の給料を受け取る私の私立大学に通う娘に奨学生の申請をしないようにした」と書いた。また「この人(ユン前長官)は、財閥に比べて自分の家は困難なので申請することができているとでも思ったのか」とした。この記事は、現在チョ候補フェイスブックでは見られない状態だ。

当時チョ候補者の娘は、高麗大に在学中だった。チョさんは翌年ソウル大環境大学院に入学して2学期連続全額奨学金の合計804万ウォンを受け、2016年釜山医学専門大学院に進学してからは6学期連続で総1200万ウォンを受けた。チョ候補者は国会に提出された人事聴聞要請の中で財産に56億ウォンを申告した。
(引用ここまで)


 ちょっと前に入ったラーメン屋がテレビをつけている古のタイプ(ラーメン屋というよりは街の中華食堂)だったのですが、そこでちょうどミヤネ屋が放送中だったのですよ。
 で、このチョ・グクの話題を延々とやっていてびっくりしましたね。
 ネロナムブル(自分がやればロマンスで、他人がやれば不倫)という言葉までピックアップされていてさらに驚きました。
 日韓が衝突して久しいこともあり、ちょうど韓国の話題として取り上げやすかったというのもあるのでしょうし、「ネロナムブル」は韓国社会というものを如実に物語るワードでもあるので当然といえば当然かもしれません。

 で、法務部長官候補(まだ辞退していない)チョ・グクの娘について、まさにその「ネロナムブル」状況になっていたという記事。
 ユン・ビョンセが娘に家計困難奨学金を受けていたことに対して、FACEBOOKで「私ならこんなことはさせない(キリッ)」と書いていたのが発見されたそうですよ。

 現在の状況としては、娘の奨学金獲得や入学試験、家族が関与している投資ファンドについては検察が急襲とも言われる大学や投資ファンドへの家宅捜索が行われてさまざまなデータが押収されたとのこと。
 検察の家宅捜索は大統領府や政府には事後に知らされたそうで、当惑したとの話がハンギョレにでています。

チョ・グク法務長官候補者、聴聞会前に異例の強制捜査…「検察による政治介入」論議に(ハンギョレ)

 大統領府としては検察に介入させるつもりはなかった、ということでしょう。
 ただ、検察としても世論の高まりを見て、国民からの批難が検察にだけ集中することを避けたかったという事情があるでしょうね。
 なにしろ、この「チョ候補者がFACEBOOKで『娘には奨学金を使わせない』って書いていた」という記事についているコメント数が13000を超えています。

 NAVERニュースのコメント数ですが、ざっくりと普通のニュースには10もつかない。
 そこそこの話題になるニュースで100になるかどうか。1000になったら大ニュースって感じです。
 10000以上になることは滅多にありませんね。年間10大ニュースクラス。
 「パク・クネの『統一は大当たり』という言葉がチェ・スンシルの進言によるものだった」というニュースで1万超え。
 実際に弾劾されたときは2万とかだったかな。
 GSOMIA破棄もそれなりには話題になっていますが、チョ・グク関連ニュースにはとても及ばない感じです。

 で、来週にはチョ・グクの法務部長官就任に向けての国会聴聞会がある予定だったのですが……さすがに無理だろうなぁ。
 これを強行突破して任命したらさすがに政権がもたないレベルの事態に陥りそうです。