国政壟断事件で裁判に渡されたイ・ジェヨンサムスン電子副会長の量刑を決定する破棄差し戻し審宣告公判が18日に行われる。
ソウル高裁刑事1部(チョン・ジュニョン ソン・ヨウンスン カン・サンウク部長判事)は同日午後312号中法廷で贈賄などの疑いで起訴された破棄差し戻し審宣告公判を進行する。
イ副会長はパク・クネ前大統領とチェ・ソウォン(改名前チェ・スンシル)さんに、サムスングループの経営権承継などを助けを求める請託とともに賄賂を渡した疑いで2017年2月に拘束起訴された。パク・ヨンス特別検査チームは、この副会長が総298億ウォンの賄賂を渡して213億ウォンを受け渡しを約束したと判断した。
1審では全体賄賂額のうち、チェさんの娘のチョン・ユラ氏への乗馬サポート72億ウォン、韓国冬季スポーツ英才センター後援16億ウォンなど総89億ウォンを有罪(贈賄)に認め、懲役5年を宣告した。
控訴審は1審で有罪と認定された額の大部分を無罪と判断して、36億ウォンだけ賄賂として認めた。これにより、判決も大幅に低くなってこの副会長は懲役2年6ヶ月・執行猶予4年を宣告され釈放された。
しかし、最高裁判所全員合議体は、控訴審で無罪とされたチョン氏の馬購入費34億ウォン、冬季スポーツ英才センター後援16億ウォンなど50億ウォンを有罪と見なければならならないとして原判決を破棄し、ソウル高裁にさしもどした。最高裁判決の趣旨によると、イ副会長の賄賂額はすべて86億ウォンになる。
(引用ここまで)
今日、韓国の高裁でサムスン電子のイ・ジェヨン副会長への差し戻し審判決が言い渡されます。
注目点は実刑判決となるか、執行猶予がつくか。
チェ・スンシルの娘であるチョン・ユラはアジア大会の乗馬で金メダルを獲得していますが、この際の馬がとんでもなく高額で購入された優秀なものであることが分かっています。
もう馬の能力だけで金メダル取れるくらいの力があると。
なにしろ3頭で50億ウォン。
この馬を購入し、乗馬連盟に送ったことが贈賄であったかどうかの認定がイ・ジェヨン副会長、そしてサムスン電子の命運を分けます。
パク・クネへの判決はこうなっています。
・地裁判決 馬の購入費用は収賄にあたらず → 懲役24年 罰金180億ウォン
・高裁判決 馬の購入費用は収賄と認定 → 懲役25年 罰金200億ウォン
・大法院判決 手続きにミスで高裁に差し戻し
・差戻高裁判決 馬の購入費用は収賄 → 懲役20年(+公職選挙法違反で懲役2年) 罰金215億ウォン
・大法院判決 上告棄却。高裁判決がそのまま確定。
で、イ・ジェヨンへの判決はこう。
・地裁判決 馬の購入費用は心証では贈賄 → 懲役5年(実刑判決)
・高裁判決 馬の購入費用は贈賄にあたらず → 懲役2年6ヶ月(執行猶予4年)
・大法院判決 手続きにミスで高裁に差し戻し
当初の高裁判決では贈収賄で馬の購入費用についてねじれが生じたのですね。
イ・ジェヨンへの判決では贈賄ではないとされ、後のパク・クネへの判決では収賄であるとされたのです。
このねじれの解消が注目されているのです。
パク・クネへの差し戻し高裁判決ではそのまま収賄であることが認定されました。
で、今日はイ・ジェヨンの差し戻し高裁判決。
贈収賄の両方を有罪とするのであれば、イ・ジェヨンへの判決は懲役5年で執行猶予もつかなくなります。
贈賄の資金はサムスン電子から横領したという認定がされ、韓国の横領罪には「50億ウォン以上の横領は5年以上の懲役」という規定があるのですね。執行猶予がつくのは懲役3年以下の判決のみ。
というわけで実刑となるかどうかが注目点となります。
2017年の頭に逮捕され、一審で実刑判決、そのまま収監ました。この約1年間、サムスン電子の方針がかなり揺らいでいました。
韓国の財閥企業は極端なトップダウン方式を取っているために、財閥の長がいなくなると迷走しがちなのですね。
そういう意味において、韓国経済的にも注目の判決となるわけですが……。