ソ・ギウォンさんは20代前半で兵役を終えた後、大学を中退した。高額な学費を払ってまで大学に通う価値を感じられなかったという。その後、アルバイトを転々としていたソ・ギウォンさんに転機が訪れたのは、父親の「バス運転手をやってみたらどうか」という助言だった。
当初、バス運転手に対して否定的なイメージを持っていたソ・ギウォンさんだったが、調べてみると、それが古い偏見であることに気づいた。「今では親切な運転手も多く、給料も悪くない」。ソ・ギウォンさんは、すぐに大型免許とバス運転従事者資格証を取得した。その後、エバーランド動物園のシャトルバス運転手として1年間の経験を積み、2年前に市内バス運転手として就職した。
ソ・ギウォンさんが語るバス運転手の魅力の一つは「労働の負荷に比べて給与が高い」ことだ。初任給は税後約270万~275万ウォン(約28万8900円~29万4250円)から始まり、6カ月後には300万~310万ウォン(約32万1000円~33万1700円)に、2年目以降には400万ウォン以上(約42万8000円以上)になるという。さらに、祝日に勤務した場合には特勤手当がつき、月給は430万~450万ウォン(約46万10円~48万1500円)に達することもあるそうだ。ただし、給与の上昇幅は2年目以降、年5万~6万ウォン程度(約5350円~6420円程度)に留まると補足している。
ソ・ギウォンさんの決断に対して、一部の大人たちは「若い時にはもっと挑戦するべきだ」「年齢を重ねてからでも遅くない」と反対したという。しかしソ・ギウォンさん自身は「一度も後悔したことはない」と断言する。父親の助言が道しるべとなり、自分の適性と趣味に合った職業に就くことができたことに感謝しているという。
(引用ここまで)
韓国の絶望的な側面が描かれているニュースですね。
具体的な中身としては──
「兵役を終えた後に大学を中退して28歳の若者」
「アルバイトを転々としていた」
「父に言われてバス運転手に就職した」
「2年目以降の給料は400万ウォン以上になるので待遇は悪くない」
「周囲は『もっと挑戦してから』と言うが自分は満足している」
──ってもの。
……いや、絶望的ですね。
なにが絶望的かって?
この「若者のバス運転手への就職」そのものがニュースになることですよ。
俗に「犬が人間を噛んでもニュースにならないが、人が犬を噛めばニュースになる」なんていいますね。
つまり、この「若者のバス運転手への就職」は「人が犬を噛んだ」くらいにニュースバリューがあるってことなのです。
かつてとある大学を首席卒業した若者が「文学部首席卒業者の店」なるラップトーストの店をはじめたことがあるのですが「大学の恥」とまで言われてました。
韓国の大学を文系首席で卒業 → トースト屋「文学部主席卒業者の店」開業で「大学の恥」となってしまう韓国社会(楽韓Web過去エントリ)
それとほぼ同じ構造になっているってことでしょう。
ちなみにラップトーストのお店ははじめてから1年で店を畳んだそうですけどね。これが10年前のニュース。
つまり、10年経っても「大学にまで行ってラップトーストの店(バス運転手)をやるなんてとんでもない」って価値観はなにも変わっていないってことです。
ブルーカラーになってはいけない、との価値観は絶対的なんですよ。
ね、絶望的でしょ?
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