文在寅(ムン・ジェイン)大統領は28日、「『韓国は(新型コロナ)ワクチンを十分に確保できていない』『接種が遅れるだろう』という懸念が一部にあるが、事実ではない」と述べた。
文大統領は同日、今年最後の首席補佐官会議で、「政府は来年2月から医療施設や老人介護施設などの集団収容者・従事者ら優先順位対象者から接種を開始できるものと予想している」「すでに十分な量(のワクチン)を確保しており、突発的な状況に備えた追加ワクチン確保を推進している」と明らかにした。この前日の27日、盧英敏(ノ・ヨンミン)大統領秘書室長は「来年2月には接種が開始され、4-6月期には一般国民を対象に(ワクチン接種が)可能だろう」と述べたが、丁世均(チョン・セギュン)首相は「導入時期を断定することはできない」と発言して騒動になった。このため、青瓦台と政府間の足並みの乱れが指摘されるや、大統領が乗り出してきて「2月に接種」とクギを刺したものだ。
だが、疾病管理庁の鄭銀敬(チョン・ウンギョン)庁長は28日の記者会見で、「(新型コロナワクチンは)1-3月期から入ってくると予定されているが、(使用承認)許可や供給時期などを引き続き調整しているところだ」「ワクチンの生産量や流通問題など、不確実性がかなりある」と述べた。ただし、ハイリスク群の医療従事者や療養病院・介護施設などの集団施設に居住する高齢者など約100万人から優先接種を始め、来年7-9月期までに集団免疫を形成する水準まで接種するのが目標だとした。
(引用ここまで)
ムン・ジェイン大統領がベストケースを語り、担当省庁の長は「なんとも分からない」「努力する」と述べる。
どっちの言っていることが正しいか分からなくて、現場・国民は混乱するしかない。
指示系統がふたつあって片方は「来年すぐは無理でも2月には接種開始できる」って言い出していて、もう片方は「第1四半期に導入予定だがなんともいえない」「供給時期は調整中」「不確実性が高い」って言い出している。
一応、モデルナのワクチンとも購入に同意したいうことが発表されました。2000万人分。
モデルナのワクチンはファイザーのそれに比べてマイナス20度で保存できるということで、コールドチェーンにかかる負担が低いものになっています。
モデルナと2千万人分のワクチン購入で合意 人口上回る計5600万人分確保=韓国(聯合ニュース)
ただ、合意であって契約はしていないということが明白にされています。
韓国で入手できているとしているワクチンはざっとこんな感じ。
・ファイザー 1000万人分
・モデルナ 2000万人分
・ヤンセン 600万人分
・アストラゼネカ 1000万人分
・COVAXファシリティ 1000万人分
計5600万人分。
ただし、導入時期はこんな感じです。
・ファイザー 7〜9月期
・モデルナ 4〜6月期
・ヤンセン 4〜6月期
・アストラゼネカ 1〜3月期
・COVAXファシリティ 不明
「1000万人分」「2000万人分」と一口に言いますが、全部がどかっとくるわけでもない。
現にアストラゼネカのワクチンは1000万人分との契約ですが、当初に持ちこまれるのは2月に75万人であるとされています。
実際の搬入でもおそらくだいぶ紆余曲折あるでしょうね。
7〜9月期までに集団免疫を獲得したい、ということは「5200万人の70%」である3500〜3600万人に接種を終えるということ。
特にファイザー、モデルナのワクチンについてはコールドチェーンの構築が本当にできるのか、という話でもあるんだよなぁ……。
ワクチン導入についても継続ウォッチということで。
毎度おなじみのこちらに集団免疫についても書かれています。第2章後半くらいから。