北東アジアでの同盟の立て直しは、バイデン次期米大統領にとって困難な課題になりそうだ。なにしろ、根深い歴史問題をめぐって日韓関係が悪化している。
バイデンは、同盟国である日韓の関係修復に貢献する気満々のようだ。だが従前の賠償条約・協定が抱える根本的な欠陥、すなわち被害者ではなく国益を優先する道は回避しなければならない。 (中略)
最後に、被害者中心の解決策は強い日米韓同盟の構築に向けた長期的投資だと、バイデンは日韓双方に強調しなければならない。両国の指導者を納得させるには個人外交が不可欠だ。
従来の仲介は長期的視野に欠け、被害者を置き去りにした結果が日米韓の取り組みにもたらすダメージを過小評価していた。同じ過ちを繰り返していては和解の試みに成功はない。
(引用ここまで)
ディプロマット誌に掲載されたオピニオンがニューズウィーク日本版に掲載されています。
著者のスアン・ズン・ファン氏なる人物は聞き覚えがありません。名前からするとベトナム人っぽい語感ですが。
Twitterアカウントもあったので見てみたのですが、いまひとつプロフィールがはっきりしない人物ですね。
記事の内容はざっくり「バイデン政権が日韓間の仲裁を引き受けたとしても、被害者中心主義でケアしていかないと韓国に通用しないだろう」というもの。
要は韓国の言っていることを丸呑みしてそのまま書いているだけ。
ムン・ジェイン政権によるロビー活動の一環かもしれませんね。
ま、それはともかく。
こういった形で「被害者第一主義でないと韓国が受け入れないだろう」と書いている、ということは条約・法治を前面に押し出していかれると韓国が困るということでもあるのです。
日本政府はこのあたりをしっかりと認識して日韓基本条約、そしてそのベースとなっているサンフランシスコ平和条約にまで言及していくといった態度が必要になる……というところまで書いてて、ちょっと面白いニュースが飛びこんできました。
「米国務副長官に韓半島専門家シャーマン氏指名」(中央日報)
ウェンディ・シャーマン氏が国務副長官に指名された、というもの。
少なくない楽韓Webの読者が覚えていると思われますが、このシャーマン氏は2015年の国務次官時代に「指導者にとって、かつての敵を悪し様に言うことで国民の歓心を買うことは容易だが、こうした挑発は機能停止を招くだけで進歩がない」という発言をした人物。
当時のパク・クネ政権に対して「歴史認識ガーと叫ぶのをやめろ」と言い出した人物、というわけです。この9ヶ月後、慰安婦合意が発表されたことを見ても合意形成に向けてなんらかの役割があったのではないかと思われます。
クリントン時代から東アジアに関わってきた専門家といっていい人ですね。
当時、韓国メディアは保革問わずにこのシャーマン発言に対して大発火状態となり、アメリカ側は「別に主語を韓国ってしたわけでもないのに、なんでそんなに騒いでんの」みたいな追撃をしていましたっけ。
この人事からもバイデン政権が東アジアに対してどのように携わろうとしているのか、シルエットがうっすらと見えてきていますね。
韓国メディアは「人権を重視するバイデン政権は韓国側につくだろう」「韓国の言い分を理解してくれるはずだ」と主張し続けているのですが。
バイデン氏は副大統領時代に慰安婦合意に携わった人物でもあります。
韓国の性悪さというものを8年間に渡って実感してきたということでもあるわけで。
韓国メディアの思惑にははまってくれるとも思えないのですけどね?