韓国司法が8日に下した日本軍「慰安婦」被害者への賠償を命じる判決について、日本のメディアは国際司法裁判所(ICJ)への提訴の可能性に言及している。人類に対する「反人道的不法行為」である慰安婦問題をめぐる、30年にわたって繰り返される外交攻防を終えて、判決を履行させるには、韓国においてもこれに応じることを積極的に検討しなければならないと見られる。 (中略)
韓国政府が日本の提案を拒否すれば、残る代案は3つだ。日本は、同判決に対する控訴などを行わないことを明らかにしているため、一審判決が確定される。この場合、判決をどのように履行させるかが今後の課題として残る。
まずは、12・28合意に沿って作られた和解・癒し財団に日本が拠出した金額(約108億ウォン)のうち、残る金額(約50億ウォン)でこの判決が履行できるかどうか、外交部が日本政府と協議する可能性だ。 (中略)
二つ目の代案は判決の強制執行だ。(中略)駐韓日本大使館などの外交資産は、外交関係に関するウィーン条約第22条に則り「強制執行」はできず、他の財産を探し出さねばならない。理性的に考えれば考慮しうる選択肢ではない。
三つ目の代案は長期対峙だ。判決は確定したものの、執行できないまま長期の課題として残しておくのだ。この場合、8日の判決は、慰安婦問題に対する日本の法的責任を認めた韓国司法の初の判断という「象徴的な判決」として残ることになる。
(引用ここまで)
ムン・ジェイン政権ともっとも思想的に近しいハンギョレ新聞も「慰安婦裁判に勝ったものの、これからの韓国は手詰まりだ」という記事。
日本政府は国際司法裁判所(ICJ)への提訴をほのめかしていますが、何度も書いているように同意がなければ裁判そのものがはじまりません。
ただし、提訴そのものをすればICJからの出廷の要請が出るので、韓国への圧力になることは間違いないですけどね。
日本政府の立場としては「日本はICJで決着をつける用意があるのだが、韓国が拒否している」という言いかたができるわけです。
どちらにしても韓国政府の立場としてはICJには出てこないのではないかと思われます。
前例では主権免除が認められていますしね。
で、ICJへの提訴を韓国政府が拒絶した場合は3つの選択肢が考えられる、とのこと。
1)慰安婦合意で残された日本からの供出金(約50億ウォン)を賠償に割り当てる。
2)日本政府の財産を強制執行で差し押さえ、売却する……ただし、理性的には取り得ない手段。
3)なにもせずに判決を「象徴的なもの」とする。
……要するに手詰まりだと。
1の慰安婦合意の供出金を使う、という話はそこそこ取り上げられているのですが。
本来の使用用途(財団を設立し、元慰安婦らに)と異なっているので、日本政府との協議が必要ともされています。
でもまあ、やろうと思えばできるんじゃないかという気もしますけどね。勝手にやればいい、と。
いまさら「慰安婦合意に基づいて〜」とか韓国政府が言い出すのも片腹痛い話。
3の「判決を象徴的なものにする」というのは、ギリシャがドイツに対してとった手段ですね。
ボールがどちらにあるかといえば、明白に韓国。
そしてそのボールを持て余していると。
ハンギョレが「実質的には手詰まり」って言っているようじゃ、望みはなにもないんじゃないでしょうかね。
破れかぶれでICJの提訴に同意する……とかもあり得なくはないかなぁ。