「韓国政府、バイデン側にシンガポール式の米朝サミット提案」(中央日報・朝鮮語)
政府関係者は11日、「韓米両国政府が緊密に接続することができ、米国の中堅外交・安保通を通じてまもなく発足するバイデン政権に『シンガポールの精神に戻ってキム・ジョンウンと北・米対話を再開しよう』というメッセージを伝達した」と述べた。
シンガポール合意は、2018年6月ドナルド・トランプ米国大統領とキム・ジョンウン北朝鮮国務委員長の間で行われた首脳会談の結果である。両首脳は、当時▶完全な非核化▶平和体制保証▶米朝関係正常化の推進▶ 6・25戦死者遺体の送還などの4つの項に合意した。しかし、翌年2月にベトナムのハノイでの2次会談が決裂し、朝米関係はもちろん、南北関係まで梗塞された状態だ。
ムン・ジェイン大統領もこの日の新年辞で「止まっている米朝対話と南北対話で大転換を達成できるよう、最後の努力を尽くす」と「非対面方式でも会話することができるという意志は変わらない」と述べた。
しかし、バイデン政権で「シンガポールモデル」を再演することができるという期待は非現実的との指摘もある。過去に核交渉を率いたウィ・ソンラク前朝鮮半島平和交渉本部長は「任期があまり残ってないムン・ジェイン政府がシンガポールのモデルを取り出すことは十分に予想されるシナリオ」と「しかし、米国でも問題があると評価されているモデルを、それも静的なトランプ大統領の業績をバイデン政権が継承するように要求するのは現実性が落ちる」とした。
彼は続いて「メッセンジャーとして挙げられている人物たちも厳密に見れば、バイデン政権の傍系に近く、実効性にも疑問がする」と付け加えた。
チョン・ヨンテ ドンヤン大学客員教授も「北朝鮮は核交渉力を前面に出して米国との対話するとき、韓国が我々と同じ立場でなければ抜けると要求している」とし「このような状況で韓国政府が交流・協力を取り出すのであれば、北朝鮮はむしろ『からかっているのか』と反応するだろう」と述べた。
(引用ここまで)
ムン・ジェイン大統領が新年の辞で懲りることもなく「北朝鮮との協力体制を確立する」という旨の話をしたのですね。
南北対話、米朝対話について最善を尽くす云々と言っているのですが。
手がかりはなにもなし。
ここのところ、日本との関係改善を図っていたのは「東京オリンピックでの南北対話に手を貸してほしい」という意図があるからとされています。
平昌冬季オリンピックでのスポーツ外交から一気に南北対話、南北首脳会談、米朝首脳会談と突破できた成功体験が忘れられないのでしょうね。
で、バイデン新政権に向けて「シンガポール合意を尊重して、米朝対話を推進してほしい」という要望を出した……とのこと。
シンガポール合意の後のハノイ決裂はどうするつもりなのやら。
焦りまくってますね。
バイデン政権での国務長官は北朝鮮強硬派とされるブリンケン氏に内定しています。
ブリンケン氏は去年9月には「我々の目的は『核のない朝鮮半島』だ」と明言し、同時にトランプ政権での対北政策を「危険性を高めた」として批判していました。
当時、自分たちはどのように対応するかというところまでは述べていませんでしたが。
でもまあ、対話するにしても「トランプ政権のような対話路線」ではないというのは見えていますね。
バイデン次期大統領も、選挙戦中にトランプ大統領が「私はキム・ジョンウンと仲がいい」と言った際に、「いや、ヒトラーと仲がいいみたいなこと言われても」という発言をしています。
対話路線とはとても思えませんね。
その一方で北朝鮮は先日の党大会で「核による先制、報復攻撃能力を高度化する」という宣言をしており、アメリカに対して挑発の度合いを強めてきました。
バイデン政権に向けての対決姿勢を徹底しようとしています。
北朝鮮、核先制使用も排除せず バイデン米新政権に強硬路線(共同通信)
韓国の、というよりはムン・ジェイン大統領の思惑のようにはアメリカ、北朝鮮、日本、どこも動こうとはしない。
拉致問題解決という命題を抱えている日本とは協力ができたはずなのですが、自らその路線も放棄している。
アメリカとも「制裁強化」という意味で協力体制を取れるはずなのに「南北協業を行いたい」と言い出してアメリカから不興を買っている。軍事訓練も拒絶。
肝心の北朝鮮からも「南は仲裁者ヅラすんな」くらいまで言われて徹底した対話拒絶。
……外交王なぁ。
ハノイでの決裂までの経緯が描かれています。