カン・チャンイル新任駐日韓国大使が現在の韓日関係を「国交樹立以来最悪」と診断し、両国政府が政治的解決策を見つける必要があるという立場を明らかにした。裁判所の判決で、日本政府と企業の資産が差し押さえされた場合が両国関係の「最悪の状況」と規定した。これまで「司法判決に政権が干渉することがない」という立場を維持してきた政府が政治的解決策設け模索に乗り出したという分析が出てくるが、日本政府も満足のいく解決策を見つけるのは容易ではない見通しだ。
カン大使は17日、オンラインで開かれた記者懇談会で「裁判所の資産差し押さえ決定についてどのように調整するのか」という取材陣の質問に「実際に差し押さえまで行く時間がかかるだろう」とし「(日本の企業・政府の)資産差し押さえまで行けば最悪の状況に陥るしかないので両国が知恵を集めなければならない」と述べた。 (中略)
カン大使は政治的解決策の重要性を強調した。カン大使は「歴史葛藤問題は頭を突き合わせ真剣に議論して政治的解決策を模索していかなければならない」とし「これまで両国は、さまざまな対話を通じて過去の問題において互いになぜそうなのかをある程度知ることができようになったと思う」と述べた。続いて「法は法」と「司法ができる部分があり、政府が行う役割は別にある」と付け加えた。
カン大使は日本国内で慰安婦の判決への対応に韓国を国際司法裁判所(ICJ)に提訴しなければならないという声が出てくることについて、「ICJ提訴なくとも、日韓協定には問題がある場合、第3国に仲裁を任せることができる方法もある」と主張した。続いて「個人的な意見を言うことはできない」とし、「もし(韓国が)肯定すれば、第3国の仲裁に応じることができないだろうか」と述べた。しかし、韓国政府は、2019年に日本が強制徴用賠償判決に反発して、第3国の仲裁を通じた過去の歴史紛争解決手続である仲裁委員会の構成を提案したが拒否したことがあり、議論が予想される。 (中略)
カン大使は、パク・クネ政権当時に締結された韓日慰安婦合意については「尊重する」と述べた。彼は「当時の合意の核心は、政府が『不可逆的に』問題提起をしていないことにある」とし「韓国政府は合意の後、一度も問題提起をしていなかった」と話した。続いて「日本では(和解治癒)財団解散を持って破棄という主張をするが、これは事実と符合しない」とし「財団は、理事長以下理事が辞表を出して自然になくなった」と述べた。慰安婦の合意破棄の主張は、民間レベルで出てきたのであって、政府が破棄したことないという立場を改めて明らかにしたものである。 (中略)
来る20日に発足したジョー・バイデン米国次期政権にも期待を示した。カン大使は「ドナルド・トランプ政権は(韓日の)中間点にあるべきだったのに、日本側の言い分を聞き入れてきた」とし「GSOMIAも米国の強い意志に基づいて拙速に行われ、私たちが受け入れた」と述べた。続いて「バイデン次期大統領は慰安婦問題に精通している人物」とし「韓・米・日の三角協力を重視するため、韓日間の和解も多大な努力を払うこと」と述べた。
(引用ここまで)
カン・チャンイル駐日韓国大使が韓国メディアとのオンライン記者会見に応じました。
この会見の中で、いくつかの重要な話が出てきています。
・徴用工裁判、慰安婦裁判で日本企業・日本政府の財産を差し押さえられたら日韓関係は最悪の事態に陥る。
・それを避けるために政治決着をしなければならない。
・司法判断はともかく、政治は政治でできることがあるはず。
・慰安婦裁判の判決について、日韓請求権協定に従って第三国による仲裁もありえる。
・韓国政府は慰安婦合意について遵守してきた。破棄などあり得ない。
・バイデン政権は慰安婦問題についてよく知っているはずで、トランプ政権よりも日韓関係に平等な見方をするのではないか。
他の記事では「徴用工判決について解決方法として韓国内で12ていどのアイディアが出ている」との発言もあったとのことです。
カン・チャンイル駐日大使「『強制徴用』解決策として12種類……政治的に解決する」(YTN・朝鮮語)
さらにムン・ジェイン大統領が菅総理との首脳会談を望んでいるとの発言も見受けられます。
カン・チャンイル「ムン大統領、菅総理と出会い望んでいる……関係改善の意志強い」(東亞日報・朝鮮語)
「東京オリンピックの成功のためにどのような役割も拒まない」「菅総理と会って率直に話すという意思を明らかにしていた」とのこと。
ようやく韓国側が動く、という意思を明らかにしたと見るべきか。
韓国側から日韓請求権協定に記されている第三国による仲裁に言及したことは大きいかなと感じます。
でもまあ、これまでさんざっぱら「日本側は謙虚になれ」だの「司法判断に行政は手を出せない」って言ってきたのですから、まずは態度・行動で示してもらわないと意味がないんだよな。
あとここで「慰安婦合意を破棄していない」と言い出したというのは、先日の外交部による「慰安婦合意は日韓間の公式の合意である」という発言と同じ流れということでしょう。
正義連がどれだけ「慰安婦合意に言及するとは!」って反発したところで、ムン・ジェイン政権は慰安婦合意をリブートさせようと考えている……というのは間違いないかな。
ま、とりあえずまともに政府間での話ができるのかどうか。
そこからかなー。