2014年に韓国で起きたセウォル号沈没事故を調べている特別捜査団(以下、特捜団)は、セウォル号惨事関連の捜査外圧、不法査察疑惑が提起されていた朴槿恵(パク・クネ)前大統領と金淇春(キム・ギチュン)元大統領秘書室長、黄教安(ファン・ギョアン)元法務部長官などを無嫌疑処分とした。残りの捜査対象疑惑事件もほぼ嫌疑なしで終結した。
特捜団は事件発生から6年9カ月、特捜団構成から1年2カ月経過した19日、このような内容を骨子とする最終捜査結果を発表した。特捜団は4回の検察捜査にもかかわらず、セウォル号関連の疑惑が払拭できていないことを受け、2019年11月に尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察総長の直属組織として立ち上げられた。
その間、4・16セウォル号惨事家族協議会など遺族の告訴・告発事件と社会的惨事特別調査委員会捜査依頼事件など大きく17件の事件を捜査してきた特捜団は、このうち13件を無嫌疑処分とし、2件を別の捜査機関に移行した。
(引用ここまで)
セウォル号沈没事件について2019年の年末から捜査を行っていた「特別捜査団」なる組織がありまして。
この時点で4回の捜査が行われていたのですが、遺族会が納得するような結論が出ていなかったために設立された捜査団です。
で、1年2ヶ月の捜査を終えて「提示されていた疑惑はどれも存在していなかった」と結論づけて終了しました。
あ、ちなみに去年の年末に特別検察官が新たに捜査するよう、国会で決議されて9回目の捜査が行われることが決定していますが。
これとはまた別口です。
……まあね。
要するにパク・クネが関与してセウォル号は沈められた、もしくはパク・クネが捜索を妨害したから被害者は生還できなかったというような結論以外、遺族会は認めないでしょうから。
これからもこうして捜査し続けることなのでしょう。
ちなみに取り上げられた疑惑のひとつである「セウォル号の船舶識別装置は操作されていた」というものがありまして。
それを唱えていたのはキム・オジュンなるジャーナリスト。
なんでもこの人物が言うには「セウォル号は故意に沈没させられ、船舶識別装置は操作されていた」そうで。
その主旨を説明するための映画まで撮影、公開してるのだそうですわ。
金於俊「セウォル号故意沈没説」映画…制作費9億ウォンで売上44億ウォン(朝鮮日報)
ちなみにこのキム・オジュンという人物はタレントで、ラジオ等に自分の番組を持っています。
やっていることは現政権のコバンザメ。
正義連元理事長のユン・ミヒャンが元慰安婦への寄付金を横領している等の疑惑に対して、この人物のラジオ番組にだけは出演して「自分のマンション購入資金に寄付金を回したという話があるが、前に住んでいたマンションを売ってから買ったのでなにも問題ない」という釈明をしたことがあるほどです。
ちなみにこの釈明も大嘘だったことが判明しています。
それ以外にも「(保守政党の強い)大邱はコロナ禍でもう損切りするしかない」とか「正義連を糾弾している元慰安婦があんな話をするわけがない。誰かが背後にいて操っている」とか言っているような人物です。
イ・ミョンバク時代に我が世の春を謳歌していた「韓国広報専門家」を自称するソ・ギョンドクという人物がいました。
あれの左派バージョンですね。
ちなみにソ・ギョンドクは財団法人を設立して、イ・ミョンバク政権に近しい人物の天下りを引き受けるなどしてやりたい放題をやっていたのですが。
パク・クネ政権時代には国情院とのつながりがあったことが判明して、ムン・ジェイン政権では冷や飯を食らわされています。
ここのところ、各国のサッカー協会等に「旭日旗を使うな」というメールを送るだけのメーラーデーモンと化しているのはそんな理由があったりします。
ま、どちらにせよこうした陰謀論というものは、ハマる人間はとことんハマってしまうわけです。
で、こうしたやっすい映画とか作って「これが真実だ!」って仲間内だけで盛り上がっているっていうパターン。
ちなみにキム・オジュンはソウルの高級住宅地に一軒家を持っているそうで。
陰謀論にはまった連中を栄養としておいしくいただいている、というわけですね。
なお、今回の捜査で「船舶識別装置が操作されていたという事実はない」と結論づけられていますが、これについても遺族会の意向を受けて設立が続けられている「セウォル号社会的惨事特別調査委員会(社惨委)」は「既存の論拠を繰り返しているだけだ」と批判しているそうです。
どうしても望んだままの結論がほしいのでしょうね。