「キム・ミョンスの嘘」録音データが公開されたその日に、イム・ソングン弾劾議決した与党(中央日報・朝鮮語)
本紙取材を総合すると、林部長判事は昨年4月、大法院に金大法院長を訪ね、「健康状態が悪く、裁判官を務めるのが困難だ」として、辞表を提出したという。林部長判事は当時、健康悪化で手術を受けた直後だった。すると、金大法院長は「今国会で(司法介入に関与した)判事の弾劾論議が進んでいる。辞表を受け取れば弾劾ができないではないか」と語ったという。
金大法院長の「弾劾発言」以降、林部長判事は病気休暇を取り、昨年末に裁判官の再任を放棄。今月末に退任予定だった状態で弾劾対象になった。ある裁判所長は「結局金大法院長が辞表を受理しなかったからだ」と話した。
金大法院長による問題の発言は昨年下半期から裁判所内部で広がり始めた。それを伝え聞いた第一線の判事からは「裁判官の独立を守る大法院長が現職判事の面前で弾劾に言及したはずはない」「事実ならば金大法院長は弾劾に相当する」といった言葉が飛び出した。
(引用ここまで)
4日、国会がイム・ソングン釜山高裁部長判事の弾劾訴追案を可決した。立法府が裁判官弾劾案を憲法裁判所に渡したのは憲政史上初めてだ。これ主導した共に民主党は「節目ごとにあれこれ政治的理由で先送りしてきた国会の憲法上の義務を履行しなければならない」(イ・タンフイ議員)との論理を展開した。 (中略)
この日の午前イム部長判事が「辞表を受理すると弾劾の話ができない」と辞表を差し戻したキム・ミョンス長官との昨年5月にあった会話の録音データを公開したことが終盤変数になることもあった。しかし、民主党はこの日の本会議直前議員総会でも、これに対する議論を進めていた。かえって党内では「自分の去就を相談しに行った席で最高裁長官との対話を録音して公開するレベルの部長判事ならやはり弾劾することが正しい」(オサンホ議員)は、反応が出た。 (中略)
国会が弾劾訴追を議決したが、最終的な判断は、憲法裁判所がする。裁判官9人のうち6人以上が同意すれば弾劾が最終成立する。しかし、イム部長判事が今月末の任期満了に退任するため、弾劾案が本案審理に上がらもできず、却下されるだろうという見通しも少なくない。
(引用ここまで)
簡単な要約。
・手術後も体調を崩したイム裁判長が辞職願いを提出する。
・キム大法院長(最高裁長官に相当)、「おまえは国会から弾劾のターゲットになっているから辞職はさせない」と受け取り拒否。
・上記のやりとりを朝鮮日報がすっぱ抜き。司法の立法府へのおもねりだと糾弾される。
・キム大法院長、上記のやりとりがあったことを否定。
・イム裁判長、録音データを提出。
・それでも韓国国会、圧倒的多数でイム裁判長の弾劾を決定。
そもそもイム裁判長が弾劾にかけられている直接の話は、産経新聞の元ソウル支局長である加藤達也氏に対する名誉毀損の判決決定に圧力をかけた……とされるもの。
この件でイム裁判長は起訴されたものの、一審で無罪判決を受けています。
で、無罪判決を受けたのになぜ弾劾されるに至ったのかというと、これがまたこじらせていまして。
前政権時のヤン・スンテ大法院長が職権乱用をしたということで関連したとされる裁判官が片っ端から起訴されたのですが、ほぼ全員が無罪判決を受けています。
イム裁判長への無罪判決もその一環。
それに業を煮やした与党側は「よろしい、司法が無罪だというなら弾劾だ」ということで裁判官弾劾に至ったと。
明白な立法府による司法介入であると感じますけどね。
まあ、これがK三権分立ってヤツなのでしょう。
上の要約でイム裁判長が「弾劾するから辞職はさせない」という会話の録音データを公開して弾劾を主導する与党側に圧力を加えたのですが、「そんなことをするのであればなおのこと弾劾だ」ということで弾劾が成立したという。
ちなみにキム大法院長はこの件について「そんなことを話した覚えはない」としていたのですが、録音データが公開されたあとに「ずいぶん前のことなので記憶にありませんでした」とかいう謝罪をしています。
録音されているとは思わなかったのでしょうね。
「大法院長」という司法のトップにある人間ですら、こうしてウリ(我々の意。この場合は仲間)である与党のために嘘をつくわけです。
あ、この大法院長はムン・ジェインによって地裁所長から何人抜きしたのか分からないくらいの抜擢で司法のトップにされたという子飼いの人物です。
大法官(大法院の裁判官)を経ないで大法院長になったのは56年ぶりの出来事だったそうですよ。
もちろん、ムン・ジェインやそのウリである与党に頭が上がるわけがありません。
一切の抵抗もせずに、むしろムン・ジェイン政権や与党のやりたいままにさせている、というのが実態。
それがついに裁判官の弾劾にまで至った、というのが今回の出来事だったということです。