TSMCは9日、茨城県つくば市に日本初となる本格的な開発拠点を設立すると発表した。投資額は186億円となる見込みだ。10日付日本経済新聞は「開発の重要性が増している『後工程』と呼ばれる分野で日本で研究開発に取り組む」などと伝えた。台湾のみで半導体を生産してきたTSMCは最近、攻撃的に海外進出に取り組んでいる。昨年には米アリゾナ州に35億米ドルを投資し、初の海外工場を建設することを決め、今回日本にも進出することになる。インテル、アップル、クアルコムなど大口顧客が集中している米国と半導体素材・設備の先進国である日本にそれぞれ拠点を置き、独走体制を固める戦略だ。TSMCは今年の設備投資に過去最高の250億-280億米ドルを充てる計画だ。米日政府にとっては、台湾企業であるTSMCを支援することで、中国を孤立させる効果もある。実際に米国はTSMCのアリゾナ工場に大規模な税制優遇を行い、日本の経済産業省もTSMCの誘致に向け補助金を約束したとされる。 (中略)
韓国企業はつらい立場だ。サムスン電子は中国・西安、SKハイニックスは中国の無錫、重慶に半導体工場を持ち、米日台と台湾のどちらかに付くことが難しい状況だ。米日台連合が強固になれば、サムスン電子はTSMCとの競争でも急速に不利な立場に追い込まれ、さらに中国企業に人材と技術を奪われるという二重苦を味わうとの見方もある。現在サムスン電子のファウンドリー市場でのシェアは17%で、TSMC(54%)の3分の1にすぎない。
(引用ここまで)
世界一の半導体ファウンドリであるTSMCが日本に拠点を作り、日米台のトライアングルで「半導体防衛」をする、という韓国メディアの記事。
アメリカに工場を作ることも、日本に開発拠点を作ることもTSMCにとってはリスクヘッジなのです。
米中貿易戦争に対するリスクヘッジでもありますし、それ以上の意味があるのです。
2025年までに中国による台湾侵攻があってもおかしくないと踏んでいます。
楽韓Webでは2017年にアメリカが北朝鮮に対して空爆を行うのではないかと危惧していましたが、実現はしませんでした。
しかし、後日になってから「いつ開戦していてもおかしくない状況であった」ことが当時の大統領補佐官や自衛隊の前統合幕僚長から語られています。
そのときよりも、2025年までに中国が台湾侵攻を行う確率のほうが高いと考えています。
その理由はいくつかあるのですが、最大の理由は「中国が自分の力を過信しつつある」ことです。
東シナ海における米軍のプレゼンスを実際よりも低く見積もり、かつ中国軍自身の力を高く見積もりつつある。
かつて「私軍の延長」だった人民軍は国軍として成り立ちつつあり、あなどれない力を持ちつつあります。
ですが、さすがに第七艦隊に対抗できるようになるのはまだ当分先であると感じます。
……それでもいくつかの理由で中国が「開戦に踏み切ることができる」と考える可能性は小さくないのです。
そして中国による台湾侵攻があった場合、成功しようと失敗しようとTSMCは小さくない被害を受けることでしょう。
そのリスクヘッジがアメリカ、日本への工場、開発拠点設置なのです。
もちろん、トランプ前大統領の「アメリカ製品の部品はアメリカで作れ」という話に乗った側面もありますけどね。
税制面、補助金でもかなり優遇されているようですし。
半導体はかつての鉄や石炭にも相当する戦略物資であるという側面から見れば、インド太平洋戦略の一環でもあるわけです。
韓国ではこれらのTSMCによる投資が「サムスン電子の追撃をかわすための一手」「中国に対抗する日米台連合」という側面が強調されすぎています。
現状、ファウンドリとしては今後10年は追いつけないほどの差がTSMCとサムスン電子の間にはあります。
おまけにサムスン電子の総帥であるイ・ジェヨンは収監され、今後1年半ほどは陣頭指揮を執ることができない。
正直、韓国はあまり関係ないかな……という感じ。
というよりも韓国にまかせてられないのでTSMCを大きく扱うようになってきた……という感じか。