2006年12月だから今から約14年前のことである。
「日本では韓日海底トンネルのための掘削作業がすでに開始になりました。すでにトンネルを掘っています」
鉄道関係者からこんな話を最初に聞いた時はイメージが湧かなかった。当時は韓日海底トンネルへの関心が高くなかった時だ。
日本の鉄道特集記事のために、現場取材を行ったついでに韓日海底トンネル関連工事が既に行われているという、佐賀県唐津の現場を訪れた。絵年とJR(日本の鉄道)地域路線に乗って行き、出張の最後の日程であった。
ところが、工事は明らかに「進行形」であった。「安全第一」という標語がついたトンネルの中で「道路鼻」という名前の小型貨物列車が熱心に出入りしていた。作業者も見られた。 (中略)
現場関係者たちは、トンネル掘削の理由について、「海底の地質・地形などを調査するためのもの」とだけ説明した。本格的なトンネル工事ではなく、事前調査のための掘削工事ということである。 (中略)
日本で韓日海底トンネル構想が出始めたのは、長い前だ。記録などを見ると、1917年には、1935年には、1938年など数回に渡って様々な形の韓日海底トンネル構想が出てきたことがある。日本植民地時代から韓日海底トンネル構想が出始めたという話だ。その後も、日韓海底トンネルの必要性が、日本の中で数回提起された。ほとんどの日本の大陸進出を目的としたものだった。
1980年代に入ってからは、韓日海底トンネルの建設の動きが具体化しはじめた。これを主導したのは、世界平和統一家庭連合(統一協会)である。1981年、統一教会の文鮮明総裁が「国際ハイウェイ韓日トンネル構想」を明らかにした後、動きが活発になった。
1983年統一教会関連の研究団体である韓日トンネル研究会が設立され、韓日海底トンネルに関する研究と試みが本格的に始まった。 (中略)
日韓海底トンネルの関連団体である日本国際ハイウェイ財団のホームページを見ると、日本が韓日海底トンネルへの期待の断面を調べることができる。「国際ハイウェイ・韓日海底トンネルプロジェクト2019年改訂版」というタイトルの広報映像に出てくる言葉をそのまま紹介する。
「日韓海底トンネルの経済効果は計り知れない。資源のほとんどを輸入する日本は、その輸送手段を海だけに依存してきた。韓日海底トンネルは、大陸との物流を一度に高めることになる。その最大の利点を受ける国は日本と韓国である」
映像では、日本人の大陸進出のための強力な夢も読むことができる。2013年11月にトルコで、アジアとヨーロッパをつなぐボスポロス海峡トンネルが開通したことと関連し、当時の安倍晋三首相は次のような発言をする。
「さあ、次は東京発イスタンブール、イスタンブールからロンドンに接続されている新幹線が走る夢を一緒にかなえていきませんか」
(引用ここまで)
日本国際ハイウェイ財団というものが実際に存在し、日韓海底トンネルプロジェクトを標榜しているのは間違いないのですよ。
でもま、記事中にあるようにそれは統一協会の文鮮明の個人的要望のものであって、この財団も基本的には統一協会傘下のもの。
文鮮明は1分25秒くらいから出てきます。これは40年前の映像。若いなー。
記事中にある安倍総理(当時)のコメントは9分40秒くらいから。
「常に日韓海底トンネルは日本が求めているものだ」という体の記事になっているのですが、基本構想は統一協会によるものでお布施集金のための一手段でしかないのです。
そんな構想に政治家やら専門家がなんでコメントしているのかといえば、やっぱりお金。
この頃の統一協会の資金は潤沢だったでしょうからねぇ。
ま、公共事業としての土木工事はいつだって求められているのですよ。
韓国メディアとしては、なんとしてでも「日本側が求めている事業なのだ」ということにしたいのでしょうけどね。
「日本は大陸進出に野望を燃やしている」と。
でもまあ、38度線でどん詰まりなんだよな。その「大陸への線路」とかいうヤツ。
リニアモーターカーでロンドンまで……とか書いていますが、リニアモーターカーは経済性の高い路線でしか通用しないもの。
かといって貨物運搬手段としては船便ほどの量が捌けるわけでもなく、航空便ほどの速さがあるというわけでもない。
南北鉄道接続の時にも韓国側は「流通に革命が起きる」「日本は置き去りになる」だのとか言ってましたが。
鉄道輸送はいまひとつ中途半端なんですよね。
すでに路線があるところに、夜間輸送として使うというのであればともかく、わざわざ鉄道輸送のために新たにレール敷くなんて意味ないんだよな。
軌間もばらばらだからフリーゲージトレインにしなくちゃいけないし。
まあ、こうして10年に1度くらい注目を受けて「はいはい、統一協会統一協会」って言われておしまいになるくらいがちょうどいいと思いますわ。