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2021年01月

サムスン電子副会長に実刑判決 → それでも獄中経営やり放題?

カテゴリ:経済 コメント:(47)
イ・ジェヨン「獄中経営」ブレーキ... 「就業制限は有罪確定から」明示した裁判所(KBS・朝鮮語)
「国政壟断」事件で先月懲役2年6ヶ月の実刑を確定受け服役中イ・ジェヨン三星電子副会長が去る15日、法務部から「5年就業制限」の通知を受けました。
この就業制限措置をめぐり、いわゆる「獄中経営」論議がおきています。
裁判の過程で、1年ほど拘束されていた副会長の残り刑期は1年半ほど。予定通りなら、来年7月に出所します。

財界では、この副会長が「5年就業制限」を受けたにも関わらず「獄中経営」は、可能だと、来年7月に出所するまで副会長を維持しながら主要な経営問題を見てもらったり決定することがあるという解釈を出しています。
一方、法務部は「就職制限」措置に応じて、この副会長がすぐにでも退かなければならず、出所後の5年間もサムスン系列会社に就職することができないという立場です。もし、この副会長がすぐに辞任しない場合、法で規定された解任要求までできると明らかにした。 (中略)

法文には懲役刑の場合、執行が終了した日から5年、執行猶予は猶予期間が終了した日から2年、そして宣告猶予は宣告猶予期間就業が制限されると記載されています。ところが比較的明確に見える就業制限の終了時点とは異なり、いつから就職の制限が開始されるかは、ややあいまいな部分があります。
そのため財界は刑が進行中の場合には、就業制限が適用されないとして「獄中経営が可能である」という主張を広げており、逆に法務部は法の趣旨上、当然「有罪判決を受けたときから就業制限が適用される」とまったく別の判断をしているのです。 (中略)

裁判所はそれとともに法に規定された就業制限期間は、実刑の場合は「実刑期間+ 5年」、執行猶予の場合は「執行猶予期間+ 2年」、宣告猶予の場合「2年」がそれぞれ適用されると判断しました。

裁判所が判断したもう一つの理由は、当初法を作った主旨を見なければならないということでした。裁判所は「就業制限は有罪判決を受けた人がされたときから開始する必要があるという制限の主旨を活かし、その実効性を確保しなければならない」と強調しました。 (中略)

サムスンコンプライアンス委員会は、去る16日に開かれた会議では、副会長の就業制限を適用するかどうかについて議論したが、委員の間で意見の相違があって結論を下すなかったと一昨日(22日)明らかにした。就業制限の問題は、来月19日に開催される会議で再び議論されるものと見えます。
(引用ここまで)


 1月にサムスン電子のイ・ジェヨン副会長に、パク・クネへの贈賄が認められて高裁で懲役2年6ヶ月の実刑判決が出まして。
 そのまま法廷拘束されて収監されました。
 大方の見方は「まあ、執行猶予がつくだろう」というものだったのですが、予想を裏切って実刑判決。

 懲役2年6ヶ月で地裁判決の5年から見ると半分になったものの、「思っていたよりもはるかに重い」という声が多かったですね。
 その後、イ・ジェヨン副会長は上告することなく刑が確定しました。
 そもそも、大法院(最高裁に相当)から「手続きに齟齬がある」として差し戻された高裁判決でしたので、大法院でひっくり返る要素もない。
 これまで裁判の過程で1年ほど収監されていましたので、実質的に刑期は1年半。
 模範囚なら1年くらいで出てこれるのではないか、ということで上告をしないという判断に至ったようです。

 もうひとつは獄中経営が可能なのではないか、という判断もあったのですね。
 収監されていても重役らが面会して判断を仰ぐことができるのではないかと。
 ところが今月の15日になって「5年就業制限」という通知がきまして。
 副会長を辞任せよ、との要請もきていると。
 これで獄中経営ができなくなった……と思いきや。

 産業界からは「お、5年間就業制限っていうのは出所後だろ? じゃあ、獄中経営やりたい放題じゃん」みたいな声が上がったとのこと。
 いやいやいや。
 一応、判例が出てて「収監中+就業制限の年数」って話になっているそうですけどね。
 サムスン電子側からは「副会長を辞めさせるかどうかはまだ決定していない」とのことです。
 でもまあ、「財閥を絶対潰す」のがムン・ジェイン政権の意向でもあるのでしかたない。それで韓国経済がどうなってもしったこっちゃないってことでしょう。
 でなかったら、あんな風に最低賃金上げませんよね。

元駐北朝鮮英国大使が「バイデン政権は戦略的忍耐で北朝鮮に接するだろう」とのコラム……外交の優先順位が低い、というのもあるかな

【コラム】バイデン氏の「戦略的忍耐」が変わる可能性は低い(中央日報)
バイデン米大統領は北朝鮮にどう対応するのだろうか。バイデン大統領は4日に国務省で演説したが、北朝鮮に言及しなかった。当選直後の昨年10月、韓国聯合ニュースへの寄稿で「私は原則に立脚した外交に臨み、非核化した北朝鮮と統一した朝鮮半島に向かって進み続け、一方では数十年間も愛する人たちと生き別れになった韓国系米国人が北朝鮮にいる家族と再会できるよう努力していく」と主張した。ただ非核化に集中したトランプ政権に比べ、はるかに積極的な目標を目指しているという言葉だった。同時に以前の政府の方式と同じく、目標達成のための「圧力」を加える意志も表した。

北朝鮮政権は核放棄の意思を確実に見せたことがない。むしろ1月にあった第8回党大会で、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は超大型水素弾と極超音速滑空飛行戦闘部隊の設立を宣言した。数年にわたる米国の対北朝鮮政策は、北朝鮮政権の核兵器開発意志を挫くことができなかった。

したがってバイデン大統領が政策であれ圧力であれ先に述べた目標を達成できる可能性はほとんどない。(中略)中国の積極的な支持がない限り、米国は十分な圧力を加えることができない。 (中略)

米国は今すぐには中国の外交に影響を及ぼすことができず、バイデン大統領が米中関係の回復を図っても、米国が中朝関係に根本的な変化を起こすほど中国に十分な影響力を行使するまでは相当な時間がかかるだろう。北朝鮮に最も強く圧力を加える要因の一つは北朝鮮の自発的孤立だが、米国はそれを狙って新しく取る手段があまりない。

バイデン大統領はこうした真実を知っているはずだ。本人がオバマ政権の「戦略的忍耐」政策の立案者だった。それは北朝鮮の状況変化を根気強く待つ一方、米国の限界をそれとなく認めるものだった。したがって実際のバイデン政権の動きは、昨年の聯合ニュースへの寄稿で明らかにした内容よりも慎重な形になる可能性がある。米国は北朝鮮が予想を超える交渉の意志を見せた場合に限り対話に動くと予想される。米国が北朝鮮にさらに大きな影響力を持つことは全世界に望ましい。しかしこのような期待は現実的でない。

米国が持たない能力に対する錯覚を捨てて、限界を明確に認識した状態で対北朝鮮政策を進めるのが、現在としては最善の道であるようだ。
(引用ここまで)


 アメリカの対北朝鮮外交は「戦略的忍耐」に回帰する、というコラム。
 読んでいて「まともな論説だなぁ」と思ったので外国人寄稿者だろうと思ったらその通りでした。
 ジョン・エバラード元駐北朝鮮イギリス大使。
 1月にも「北朝鮮の2021年は暗い」とするコラムを中央日報に寄稿しています。

【コラム】暗澹とした2021年の北朝鮮の運命(中央日報)

 戦略的忍耐に回帰する、というか。
 もっと正確にいうのであれば「北朝鮮に対応する根本的な優先度が低い」というのがバイデン政権の実情でしょう。
 カン・ギョンファ前外交部長官(外相に相当)は「バイデン政権は戦略的忍耐には回帰しないだろう」って発言していたのですけどね。
 優先度で言えば──

 対中外交>中東情勢>>ヨーロッパ諸国との連携建て直し>>>>北朝鮮対応

 ってくらいのもの。北朝鮮へのプライオリティが低い。
 もちろん、北朝鮮が挑発をしてくるというのであればまた話は変わってきますが。
 現状、北朝鮮にそこまでの余裕があるかといったら否。
 余裕がないからこそ挑発行動に出る可能性もないわけではないですが。

 そもそもバイデン大統領はトランプ前大統領の行っていた「テレビショー的」な北朝鮮外交に批判的でした。
 トランプ政権としての独自の功績、レガシーを求めていた部分があるにせよ、けっきょくはなにも産まずに終わった。
 敢えて言うなら制裁を強化し、日米だけではなくカナダ、ニュージーランド、イギリス、フランス、オーストラリアという国々が瀬取り監視に参加するようになったことは成果ですかね。北朝鮮だけではなく、対中国を見据えての行動ではありましたが。
 いまにして思えばクアッドの素地はここで形成されていた感じがしますね。イギリス(コモンウェルス)の参加も含めて。

 そして、バイデン政権は韓国に対してその優先度の低い北朝鮮対策にのみ参加させ、クアッド・インド太平洋戦略には参加させないという意向が見えています。
 瀬取り監視にすらろくに参加していない、米韓合同軍事演習もろくにしない、それどころか終戦宣言を強いようとしているような国との信頼度が高いわけもなく。
 まあ、蚊帳の外となるのは当然の帰結といえるのではないでしょうか。