ヌリの飛行は全過程が正常に行われたが、ダミー衛星が目標の速度に至らず、地球低軌道に乗ることができなかったという。
ヌリは南部の全羅南道・高興の羅老宇宙センターから打ち上げられた。1段目の分離やダミー衛星を保護するフェアリングの分離、2段目の分離、第3段エンジンの点火と停止を経て、高度700キロでダミー衛星を分離した。
ダミー衛星が目標の速度に達しなかったのは、第3段のエンジンが予定より早く停止したためという。
(引用ここまで・太字引用者)
「全過程が正常に行われたが、3段目が予定より早く停止したために失敗」……えっと?
ま……まあ、今回のヌリ号の打ち上げ名目はあくまでも試験ですから、軌道への衛星投入が失敗したところでどうということもない。どうせ1.5トンのダミーですし。
これまで自力での打ち上げを経験したことがないので、新たな知見を得られればそれで成功という言いかたもできると思います。
いや、実際問題ね。
ただなぁ……。
ナロ号の1号機でも「2段目」という名称の韓国製キックモータに搭載されたフェアリングの展開がうまく作動せずに衛星軌道への投入に失敗しています。
今回の3段目相当なわけで。
ちょっといやな感じはしますね。
一方で75トンエンジンを4基クラスターさせた1段目、75トンエンジン1基の2段目については燃焼もうまくいったようでおめでとうございます。
まあ、テレメータからの詳細データではどうなのかは分かりませんが、とりあえず。
あと面白かったのが、メディアがえらい勢いで報じていたことですかね。
それこそ3分おきに速報を出す勢いでした。
まあ、そこまで感動できるのはどこか羨ましくもありますかね。日本はすでに50年以上前に通った道だからなぁ。
もうひとつの面白ポイントはなぜかムン・ジェイン大統領がわざわざ現地におもむいて、さらに自ら成功しただの失敗だっただのアナウンスしているっていうこと。
文大統領 韓国初の独自開発ロケット打ち上げ「素晴らしい成果」(聯合ニュース)
この日本語版の記事は抄録ですが、実際にはえらい長い演説をしています。
[全文]ムン大統領ヌリ号発射見学、国民メッセージ(聯合ニュース・朝鮮語)
・目標を達成はできなかったものの、最初の打ち上げで優れた成果を収めた。
・2027年までにさらに5回、ヌリ号を発射する。
・3兆7000億ウォンを投じて韓国型衛星航法システムKPSを本格推進する。
・民間に技術移転をして低コストの固定ロケットを民間に打ち上げさせる。
・30年までに(ローバーを)月面着陸させる。
KPSはみちびき的なローカル衛星航法システムですね。以前から話は出ていたものです。
なるほど、いろいろとネタは継続する……というわけです。
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