徴用工訴訟 動かぬ韓国、原告は1000人超え 最高裁判決から30日で3年(産経新聞)
日韓関係冷めたまま、「現金化」へ着実に進む 元徴用工判決から3年(朝日新聞)
「資産現金化」手続き進む、文在寅氏は「打開」主導せず…韓国側で「賠償金の肩代わり案」(読売新聞)
原告団によると、2018年の最高裁判決以前に16件提起されていた同種訴訟は、同判決後計70件まで増加。遺族を含む原告は1042人に達した。民事訴訟上の時効成立により、今後さらに増加する可能性は低いとみられる。
日本企業敗訴の3件の確定判決以降、最高裁の審理は事実上停止状態にある。下級審では原告勝訴が相次ぐ一方、日韓請求権協定を根拠に「訴訟による賠償請求は認められない」とし、最高裁判決を否定する異例の地裁判決も下された。
(中略)
18年判決後にも裁判官5人が交代し、全13人のうち12人が文政権下で任命された現状を踏まえれば、基本的には日本企業敗訴の確定判決が踏襲される見通しだ。国民大学の李元徳(イウォンドク)教授は「証拠不十分のケースも多く、賠償請求が認められるのは300人程度ではないか」と分析する。
(引用ここまで)
元徴用工訴訟で大法院は2018年10月30日、日本製鉄(旧新日鉄住金)に元徴用工らへの賠償を命じた。さらに同年11月には三菱重工業にも元徴用工や元女子勤労挺身(ていしん)隊員らへの賠償を命じた。「1965年の日韓請求権協定で補償問題は解決済み」とする日本政府は判決を国際法違反として、支払う必要はないとの立場を貫いている。
「強制徴用被害者の補償問題の原則を崩してまで、日本と合意することはできない」。21日の韓国国会で、鄭義溶(チョンウィヨン)外相はこう強調した。原則とは、文在寅(ムンジェイン)政権が掲げる「被害者中心主義」や「判決の尊重」のこと。賠償に代わる解決策は原告の賛同が必須で、三権分立により司法判断への介入はできないとの主張だ。
(中略)
任期が来年5月に迫る文氏だが、韓国政府関係者によると、政権運営に自信を持ち、南北関係と対日関係の改善を諦めていない。12月上旬に、ソウルで国連平和維持活動(PKO)閣僚級会合が予定され、韓国側は茂木外相と岸信夫防衛相の出席を打診。この機会に、米国が望む安保協力を通じて日韓関係を上向かせようともくろむ。
元徴用工訴訟でも、韓国側は、日韓から寄付を募って原告への賠償を肩代わりする案など、複数の解決策を日本側に提示してきた。
(中略)
28日に記者会見した原告代理人は「三菱重工業(の資産売却)は、早ければ6~8カ月で大法院までの手続きが終わる」との見通しを示した。
(引用ここまで)
原告の弁護士によると、原告側では、日本企業が和解協議に応じれば、「その間は現金化手続きを止める」という案も出ているという。協議に応じさせ、謝罪の言葉などを引き出す思惑とみられる。
だが、日韓関係筋によると、被告企業の謝罪などを解決の糸口とする案は、韓国政府がすでに水面下で日本側に打診し、日本側が拒否する意向を伝えている。原告側が求める和解協議は、実現しそうにない。
(中略)
韓国政府の消極姿勢は、「原告側の一部に反対論があるため」(韓国政府関係者)だという。原告側は、代位弁済について「大法院判決を無効化するものだ」(弁護士)との立場で、受け入れる見通しは立たない。
(引用ここまで)
産経新聞、朝日新聞、読売新聞と三社が徴用工裁判から3年を記念してというわけでもないのでしょうが、それぞれに解説記事を載せています。
産経、読売は全文読めます。朝日は会員記事ですが無料会員登録で読めるはず。
それぞれに書いていることは異なっているのですが、だいたいまとめるとこんな感じですかね──
・韓国側からはいくつかの案が日本側に伝えられてはいる。
・日本側はこれまでの案に対して一切を拒絶している。
・代位弁済については原告側一部が激しく反発していて芽がない。
・「被害者本位」を標榜するムン・ジェイン政権は動きが取れていない。
・大法院(最高裁相当)判決以降、1000人が訴訟を起こしている。
・時効等もあるのでうち賠償請求が認められるのは300人ほどではないか。
・原告側は今後、6〜8ヶ月で現金化手続きが終了すると見ている。
・日本側は完全に冷ややかで、次の政権を見据えている。
・ムン・ジェイン大統領はなぜかまだやる気十分。
ふむ。
ムン・ジェインが南北関係にせよ、終戦宣言にせよ、日韓関係にせよ、まだ積極的なのは支持率が40%前後という、韓国大統領の任期最終年においては異常な数字になっているからじゃないですかね。
就任当初の80%ほどではないにしても、自分の方針は過去の政権の誰よりも受け入れられていると勘違いしてもおかしくないと思います。
おそらくは安定した企業に勤めている人々が支持していると思うのですけどね。
あと労組に所属していたらもう安泰。ムン・ジェインは彼ら対しては徹底的に恩恵を与えてきましたからね。
逆にいえばそうでない人々との分断はより一層深くなった、ということでもあるのですが。
閑話休題。
記事中にはまたまた「アメリカをテコにして日韓関係の改善を計りたい」との話があるのですが……。
いや、もう無理でしょ。
日本は防衛費についてGDP比2%までの引き上げが議論されるほどになってきた。
いますぐに倍増は無理でしょうがアメリカの戦略にコミットしてきている。
その一方で韓国はまともな米韓合同軍事演習すらしていない。
「悪人が捨て犬を拾う」みたいな効果を狙っているんでしょうかね。
日本に圧力をかけてほしいなら、最低限日本と同じくらいの貢献度を見せろって話になると思うのですが……。
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