今月19日に宋永吉代表は「民平連(経済民主化と平和統一のための国民連帯)」2021年の総会に参加。「1歳誕生日を祝うテーブルに日本円が我が国のお金の代わりに置かれたほど日本と近い裕福な延世大学校教授の息子として生まれた尹錫悦氏は、司法試験に合格してソウル大学校の法学部を出て検事として検察総長を務めた」と発言した。
続いて、「良い環境で暮らしているのに、再び自由民主主義を守るやら何かをするやらと言って公正と常識を叫んでいる」と述べていた。
また、宋永吉代表は共に民主党のイ・ジェミョン(李在明)候補について「火田民の息子として9人家族の7番目に生まれ、少年工として6か所くらいの工場生活を送った」と2人の人物の過去を比較した。
以前に尹錫悦候補の公式SNSにアップされた1歳誕生日を祝うテーブルに紙幣が置かれている写真をめぐって、「日本紙幣である」と言及したのだ。しかし、該当紙幣は韓国銀行が発行したものであるという事実が明らかになり、問題となっていた。
(引用ここまで)
イ・ジェミョン候補が大統領選挙で追い詰められている、という話は何度もしていますが。
そんな中、与党の共に民主党代表が「ユン・ソンニョル(ソクヨル)候補は親日派である。1歳の誕生日の写真を見ろ。机の上に日本の紙幣が置いてある。それほどまでに豊かだったのだ」とやったのですね。
で、「それに比べて我々の候補であるイ・ジェミョンは火田民の息子で、少年工として工場での生活を送っていたのだ」と。
でも、実際には机に置かれていたのはウォン札だったので謝罪に追いこまれた……というニュース。
えーっと、なんだろうね。
ツッコミどころが多すぎて整理できません。
まず、「裕福な大学教授の息子 対 貧しい火田民の息子」というフレームに持ちこもうとしているところ。
火田民ってどのくらいまでいたのですかね。あ、火田民っていうのは焼き畑農業をする農家のことで。勝手に山を焼いて農業をするという流浪の農民のことです。
李氏朝鮮時代にあまりにも窮乏したので、そこらへんの山を焼いて農業を営むという人々が現れたのですよ。
朝鮮総督府が取り締まりをしていた、というのは知識としてあるのですが。
韓国版Wikipediaによると1976年に終結した、とあるので戦後だいぶ経つまでそうした流浪の勝手野焼き農民がいた……ということか。
で、イ・ジェミョンはその火田民の息子として生まれたのだ、と。
それがなんだって話なんですけどね。
なんかこう以前から「韓国の大統領になるには貧乏な出自でなければならない」みたいな話に持っていこうとしているのですよ。
思えばイ・ジェミョン陣営は以前からそんな「貧乏アピール」を繰り広げてましたっけ。
貧乏な家に生まれて中学にも進めずに(当時は義務教育は小学校まで)、少年工として働きながら勉学に勤しみ、弁護士資格を取得した……というようなストーリーがあるのですが。
「裕福な家に生まれて、恵まれた環境にいたくせに自由主義を守るだの言って、構成と常識を叫んでいる」っていうのもすごい話。
貧乏だの裕福だのが大統領選になんの関係があるんだっていう。
で、さらに「日本のお金を持っていたから親日派」としてまたぞろ「親日派認定」をしようとしている。
日本に近しいと罪、というフレームを持ちこもうと。
ソウル・釜山の同時市長選挙で、日本に近い釜山のタワマンを持っている野党の釜山市長候補に「対馬ビューだ」「親日派だ」って騒いでいたことを思い出しますわ。
与党のソウル市長候補の夫は赤坂にマンションを持っていたというオチでしたけども。
今回も「日本の紙幣が置かれている!!!!1」って糾弾していたのに、そもそも日本のお金なんてなかったというオチ。
で、党代表が謝罪に追いこまれた、ということなのですが。
イ・ジェミョンからしてみたら「なにしてくれてんだ」って感じですね。
援護射撃がフレンドリーファイアにしかなっていないっていう。
貧乏アピールしていた時も「このモノクロ写真を見ろ、イ・ジェミョンはカラー写真すら撮れなかったのだ」「それなのにユン候補は蝶ネクタイをつけてカラー写真で記念写真を撮れるほどだった」ってやったら、イ・ジェミョンの写真もカラー写真だった(モノクロに加工されていた)だってオチでしたっけ。
まあ、韓国の選挙戦ではありがちな風景ではありますけどね。
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