李在明候補「大統領選で負ければ、無実の罪で監獄行き」(朝鮮日報)
李候補は22日、ソウル市松坡区の石村湖水公園で即席の演説を行い、野党国民の力の尹錫悦(ユン・ソクヨル)候補を念頭に「検察共和国の恐怖は過ぎ去る風の音ではなく、我々の目の前に迫っている。『李在明は確実に犯罪者で間違いない。必ず責任を問う』と誰かが言ったのだろうか」と語った。その上で、「今検察はある罪でも覆い隠し、ない罪でもつくり出すことができる組織だ。今回私が負ければ、無実の罪で監獄に行くことになりそうだ」と続けた。尹候補が大統領になった場合、「政治報復」を行う可能性があるとして、支持層に結集を訴えた格好だ。李候補陣営は「尹候補を支える勢力は文在寅(ムン・ジェイン)政権に対する復讐(ふくしゅう)心、審判論で動き、尹候補の妻キム・ゴンヒ氏も『反対派メディアを監獄に入れてやる』といった具合で話していたではないか。そんな復讐心を動力にする政治を批判したものだ」と説明した。李候補は23日、京畿道安城市で行った演説でも、「大韓民国を未来に向かう希望に満ちた国にするのか、さもなくば復讐の舌戦が繰り広げられる過去へと向かうのか」と訴えた。
(中略)
しかし、こうした発言を巡っては、李候補の失策に近いという指摘が民主党内からも出ている。民主党の首都圏選出議員は「我々が守勢に回ったという印象を与えかねず、有権者にまだ結論が出ていない大庄洞事件を思い浮かべさせる。『青瓦台か監獄か』という極端な選択肢を持つ候補が安定性を与えることができるだろうか」と疑問を呈した。民主党関係者は「李候補の発言の脈絡は理解するが、してはならない発言に思える」と語った。
(中略)
いわゆる「兄嫁暴言」事件など李候補の家族史に関する言及も増えている。李在明候補は22日に出会った20代女性がストーカー被害で身辺保護を受けていると語ると、「私の母も接近禁止の仮処分を申し立てたことがある。(兄が)しきりに訪ねてきて苦しめ、家に来て放火すると言っていたので不安がっていた」と語った。李候補はまた、問題となった暴言についても、自分の言葉ではなく、兄が母に言ったことを引用したものだったと弁明している。李候補は「私は最近おかしな人物かのように認識されているようだが、自分はそんな怖い人間、悪い人間ではない」とも話した。
民主党は現在の選挙情勢が思わしくないと認識しているとされる。
(引用ここまで)
イ・ジェミョン候補が「大統領になるか、さもなくば収監か」として支持層に向けて発破をかけた……というニュース。
どう見ても「追い詰められている側のコメント」です。
この発言があったのは公園での即席の演説だったということで。
つまり、自分の思いを吐露したということになるわけですが。
「おまえらが私を大統領にしなければユン・ソンニョルに収監されるんだぞ?」という脅しですからね、これ。
もっとがんばって集票してこいと。
事前に用意されていたわけではない演説ということで、より真実味が増しているとでもいうべきか。
ただ、原則として候補が自ら「負けそうだ」というような発言をするのは危険なのですよ。
いわゆるバンドワゴン効果というものがあります。勝ち馬に乗りたいという考えかた。
「負けそうだ」という候補からは票が逃げていくことのほうが多い。組織の引き締めには使えるかもしれませんが。
まあ……残り45日になろうというのに、イ・ジェミョンの支持率は伸びていないのが実情。
おおよその世論調査で30%半ば前後を往復しているだけ。
それに比べてユン・ソンニョル(ソクヨル)候補は失言があると下がり、そのままにしているとじわじわと上がっていく……というような軌跡を描いています。
その一方で現職のムン・ジェイン大統領の支持率はいまだに40〜42%ほどとイ・ジェミョンへの支持率よりもはるかに高い状況が続いています。
以前も書いたように、共に民主党を支持している人々すべてがイ・ジェミョンを支持していない。
特に親ムン派とされているムン・ジェインのコアな支持層は、党内傍系であるイ・ジェミョンを支持しているわけです。
いまだに「本来ならチョ・グクかキム・ギョンスが後継者になるべきだったのに」という意識なのでしょうね。
ムン派からしてみるとどちらかが大統領選挙に出る、くらいの気分だったのですがチョ・グクは娘の不正入学で裁判中、キム・ギョンスはドルイドキング事件で実刑判決、収監済み。
親ムン派は選挙戦を見守っているように感じます。
そう考えないとイ・ジェミョンへの支持の低さは説明できないかな、と。
ムン・ジェイン支持層がすべてイ・ジェミョンを支持するのなら、少なくとも40%に近づいているべきで、35%前後に貼りつくなんてことはありえないはずですから。
とはいえ、ユン・ソンニョル候補への支持率も世論調査での「政権交代を望んでいる」という過半数を超える数字には追いついていないので、こちらも伸び悩んでいるわけですが。
なんというか……とてつもなく盛り上がりに欠ける大統領選挙になりそうですわ。
最後にアン・チョルスが間隙を突いて選ばれたりしたらそれはそれで面白いかな、とも思います。
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