「お母さんがハンバーガーを食べたくて家の前の店で注文しようとしたのですが、無人端末をうまく扱えなかったので、20分間迷って家に帰りました。怒っていて電話して話をしたが、母が『私はもう終わった』と泣いていた」
昨年3月、SNSに上がってきたこの文は数万回共有され、話題になった。コロナ19拡散後、非対面取引が増えて無人端末を導入した店舗が増えたが、高齢者消費者の間では使用法が難しいという指摘が着実に提起されている。
ソウルデジタル財団はソウル市民5000人を対象に実施したソウル市民デジタル力量実態調査結果を16日公開した。今回の調査はソウル市民のデジタル素養、知識、能力などデジタル力量を把握しようとした。
調査内容によると、ソウル市民のデジタル能力レベルは▲デジタル対応力64.6点▲デジタル技術利用64.1点▲デジタル情報理解63.1点▲デジタル安全61.5点と集計された。特に「批判的情報理解」( 59.7点)と「セキュリティ」( 52.6点)対応能力が相対的に低いことが分かった。
特に高齢層でデジタル技術利用能力レベルが低いことが確認された。高齢層で無人端末を利用した経験があると答えた割合は45.8%にとどまった。75歳以上の高齢者は、使用しにくい無人端末のある店としてファーストフード店(53.3%)とカフェ(45.7%)、飲食店(44.4%)を挙げた。
高齢層は無人端末を利用しない理由として「使用方法を知らないか、難しい」(33.8%)、「必要がない」(29.4%)、「後ろの人に気兼ねして」(17.8%)などを提示した。
(引用ここまで)
デジタルデバイドっすなー。
韓国では注文は無人端末で行って、調理配膳だけが人間の仕事みたいな感じになりつつあります。
最終的には自動販売機を置いての商売(インスタントラーメンにお湯注ぐだけ)、みたいなのも出つつあるようです。
日本でもすかいらーくが配膳猫型ロボットを導入してましたっけ。
スーパーマーケットでもQRペイやSUICA等を利用したキャッシュレスのセルフレジがありますが、高齢者のかたがたはあまりそちらに行かずに店員のいるレジに並んでいたりしますね。
セルフレジくらいならまだ店員が「はい、ここ押して。ここに現金入れて」ってやってくれることもあってマシなのですが。
韓国では完全に注文は無人端末だけ、クレジットカードかスマホ払いだけっていうようなところも増えています。
記事中では「コロナ禍での非対面が多くなったから〜」としていますが。
実際には最低賃金がムン・ジェイン政権下で1.4倍ちょっとになったことで、人件費を圧縮するための対応ですよね。
コロナ禍はそれをブースとしたに過ぎない。
で、そのしわ寄せが高齢者にきているというわけです。
ま、デジタルデバイドはわりと世界のどこでも見られる光景で。
キャッシュレスが進みすぎて高齢者がついていけなくなって、高齢者団体が反発して議会を動かす事態まで起きたスウェーデンの例を取るまでもなく。
使える側と使えない側で差別ともいえる状況に陥りかねないわけですよ。
韓国でも高齢者と若者層は大いに分断されています。
若者は「我々の血税を吸い取る高齢者」くらいの認識でいて、「あの入れ歯(老人)ども」とかよくネットで糾弾をしていたりします。
「スマホも使えないのか」みたいなアレですね。
「便利な社会」は実は弱者にしわ寄せが行っているのではないか、と一歩立ち止まってチェックしてみる必要があるという感じかな。
前もちらっと話しましたが、韓国の無人店舗はJR東日本が高輪ゲートウェイでやっているような「ハイテク」なものではなくて、どこかディストピア感があって個人的にはわりと好きです。
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