米国系プライベートファンド・ローンスターキャピタルが韓国政府を相手に提起した約6兆ウォンの「投資家-国家間紛争解決手続」(ISDS)、別名国際投資紛争は10年近く進行中だ。今、判定宣告に先立った手続きだけ残している中、政府が敗訴すれば最悪の場合、国民1人当たり12万ウォンを負担しなければならないという計算が出ている。
13日、法務省によると、ローンスターは2012年5月22日に政府に仲裁意向書を送った。その年11月、ローンスターが約46億8000万ドル(約5兆9857億ウォン)損害賠償を請求する仲裁を世界銀行国際投資紛争解決センター(ICSID)に申請し、事件は本格化した。センター仲裁判定部が手続終了を宣言すると、120~180日以内に判定が宣告される。 (中略)
ローンスター事件対応にはすでにかなりの予算が投入された。2012~2021年、ICSID仲裁判定部と事務局に支給した仲裁手続費用、政府代理ローファーム法律諮問費用などで469億2000万ウォンを使った。今年策定された予算は11億ウォンだ。法務部は「政府は敗訴を仮定していない」とし、「結果に応じて取り消し手続きなど後続措置と合理的な財源づくり方案を検討する予定」と明らかにした。
法曹界では仲裁判定がなされれば元に戻せないという分析が出ている。民主社会のための弁護士会の国際通商委員長であるキム・ジョンウ法務法人書上弁護士は「仲裁は単心制で、判定文が出ればすぐに強制執行が可能だ」とし「大法院上告審で判決が確定するのと同じ効力がある」と言った。彼は「再審、すなわち判定取消訴訟を提起できるが受け入れられる可能性はほとんどないと見なければならない」と説明した。
実際、イラン・ダヤニ家が大宇エレクトロニクス(ウィニア電子全身)売却の無産と関連し、ICSIDとともに世界二大仲裁機構である国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)に2015年仲裁を申請し、2018年韓国政府が約730億ウォン支給しろという判定が出た。政府は直ちに英国高等裁判所に取り消し訴訟を起こしたが、翌年棄却された。
(引用ここまで)
韓国の投資環境がまともじゃない、ということを一気に世界に知らしめたローンスター事件ですが、今月中にも結論が出るとされています。
そもそもローンスター事件とはなにか、というと。
IMF管理下に置かれてぐだぐだになった韓国金融市場で、韓国外換銀行は倒産寸前の状況となりました。
それを建て直すために、ローンスターキャピタルが韓国外換銀行の株50.1%を1兆3800億ウォンで買収したのですね。
これが2003年のこと。
その後、ローンスター監督下の3年間でリストラを繰り返して韓国外換銀行は経営を建て直し、韓国国民銀行に売却しようとしたのです。
そこで「ローンスターは不当な低価格で韓国外換銀行系列企業を買収した」とされて、売却そのものが韓国政府当局によって阻止されました。
その後、この件について罰金250億ウォンが課せられ、かつ外換銀行株の強制売却が命じられました。
その後、2012年にようやくハナ銀行が外換銀株を買収したのですが、ローンスター側はその売却価格に文句たらたらで。
それでも売却益は4兆6600億ウォンにもなり、韓国国内では「外資であるローンスターに韓国の国富が持ち逃げされた」くらいの認識でした。
で、ローンスターは「韓国政府によって正当な商取引を妨害された」として韓国政府に対して損害賠償請求を行い、世銀国際投資紛争解決センターに仲裁を申請したのですね。
請求額は約46億7950万ドル。
これを巡ってここ10年ほど係争されてきた……というのがこれまでの展開。
韓国では裁判について「正義が為された」といった感じだったのですが。
国際的には「まーた韓国がやりやがった」くらいの扱いになっていまして。
まあ、世銀の仲裁もおそらく韓国政府側にかなり厳しい裁定が出るだろう、とされています。
いわゆるOINK(Only IN Korea)案件のひとつですね。
資本投下をさせるだけさせておいて、育った果実を売ろうとしたら「はい、罰金。250億ウォンな」とか言い出す。
だったら最初から自分たちだけで倒産させるなり、建て直すなりさせればよかったのに。
外資から金を出させるだけ出させておいて、売却させない、売却益も削り取るとかまともじゃない。
そうしてきたツケをこれから数件のISDS案件で支払うことになると思われます。
とりあえず、ローンスター事件はそのとっかかりとなるもので、注目しておきたいものとなります。
Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローよろしくお願いします。→Follow @rakukan_vortex