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2022年04月

米韓首脳会談、韓国側の思い描くようなアメリカのユン政権への支持は得られなかった模様。通貨スワップ協定には一言も言及せず

カテゴリ:米韓関係 コメント:(100)
韓米首脳会談 対北抑止力含む同盟強化確認=経済安保協力も(聯合ニュース)
韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と米国のバイデン大統領は21日、ソウルで初の首脳会談を行った。尹大統領は会談後に開いた共同記者会見で、「韓米同盟をグローバルな包括的戦略同盟に発展させていくという目標を共有し、その履行方法を緊密に議論した」として、「韓米両国はグローバルな包括的戦略同盟としてこのような挑戦課題に共に対応しながらルールに基づいた秩序をつくっていく」と述べた。
(引用ここまで)


 あ、『首脳会談があった」ということで上の記事をピックアップしていますが、エントリの中ではまったく扱いません。悪しからず。

 さて、ホワイトハウスから米韓首脳会談について共同声明がリリースされました。
 一応、リンクしておきますか。

United States-Republic of Korea Leaders’ Joint Statement(ホワイトハウス・英語)

 ざっくりと見てみましたが、これといって目新しい項目はありませんでした。
 韓国が期待している「常設通貨スワップ協定に準じたレベル」はおろか、通貨スワップ協定への言及は一切ありませんでしたね。
 日米韓間での協力については対北朝鮮でのみ語られています。

 あえていうなら新型の小型原子炉についての言及があり、ムン・ジェイン政権での脱原発政策を完全にやめる「脱脱原発」ともいえる状況になりそうだ、というのが見えてくる……というところでしょうか。

 それ以外だと……目新しい話はなにもないなぁ。
 まあ、共同声明は事前に事務方ですり合わせの行われた結果なので、サプライズはないものと相場が決まっていますが。
 それにしてもなにもない。


 それ以外だと訪韓2日目の朝に行われたという、whitehouse.govに掲載されている報道陣と高官の会見の様子が気になるところです。

Background Press Call by a Senior Administration Official Previewing President Biden’s Second Day in the Republic of Korea(ホワイトハウス・英語)

 NHKの記者(エスター・オー?)が日韓関係について質問をしています。
 一応、さらっと抄訳するとこんな感じ。

NHK「バイデン大統領は韓国と日本の近年に大幅に悪化している二国間関係を改善することについて、直接的に関与するのか否か」
高官「日韓関係の改善を強く支持していると思われます。両国もそうであると認識しています。ただ、この問題は日韓両国にとって敏感で重要な事項です。両国にとって相互に受容、同意が可能な方法で改善を行う必要性について、大統領は理解と支持を明らかにすると思われます」
高官「とはいえ、これはかねてから明らかにしていたことではありますが──アメリカの視点から改善を目指していたことは確かです。我々のもっとも近く、かつもっとも政治的な同盟国の二国間関係が強固でないことは、我々の利益にならないことは明白です。よって、我々は日韓のどちらの側からも改善するための努力のステップを踏むことを望み、支持します」

 なんともまあ、歯にものがはさまったかのような言いようですね。
 日韓関係が改善されればよいのだが、それに直接的な関与はできない。その努力を両国がするのであればアメリカはサポートしたい、というていどですね。
 要するに「日韓関係改善についてアメリカがそこまで踏みこむつもりはない」というかなり遠回しな表現です。
 「改善してほしいものの、アメリカはそれについて踏みこまない」という以前からの立場をそのまま続けるといったところ。

 クアッドについてもVoAの記者が「韓国がクアッドプラスに加わるようなことはあるのか、(日本での)クアッド首脳会談に韓国は関わってくるのか?」との質問がありまして。
 高官(誰なの)は「うーん、まだユン政権は始動して11日目。なのでそこまで言及するのはアレだよねー」というような感じではぐらかしています。

 韓国側が求めていた「ユン政権への全面的な支持」みたいな形ではないですね。
 ま、当初の予想通りと言えばそれまで。
 「日本よりも先に韓国に訪問した」意味があったかと言われると……うん、なかったですね。

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韓国で検察からの捜査権剥奪はこう行われた……民主主義の悪用じゃん

執念? 保身? 韓国・文在寅前大統領が繰り出した「最後の一手」(毎日新聞)
 任期末まで1週間を切っていた3日、文氏は検察の捜査権の多くを剥奪する改正検察庁法と改正刑事訴訟法の公布を決めた。政権を支える進歩系の「共に民主党」がこの日までに国会で強行採決して、成立させた。

 「検察の政治的中立や公平性に対する懸念は解消されていない。国民の信頼を十分得ていない」「時代の要求に合った改革だ」。文氏が同日の閣議で繰り返し述べたのは強烈な検察不信だった。 (中略)

金弁護士は「一番の問題点は、法改正で生じる長所や短所について、専門家の検討を交えることなく、政治的な意図であまりにも急いで処理したこと。法治主義に対するテロ行為です」と手厳しかった。

 もし李氏が大統領選で勝利していたなら、こんなにも急いで法改正に踏み切らなかった。これが金弁護士の見立てだった。 (中略)

文氏が「政治の師」と慕い続けた進歩系の盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領(同03~08年)は、09年に不正資金疑惑をめぐり、検察の事情聴取を受けた後に自ら命を絶った。

 だからこそ、文政権や共に民主党の関係者への「政治報復」を阻止するために法改正を急いだのではないか。そう問いかけると金弁護士はうなずいた。「文氏や、不動産開発関連などの疑惑が指摘される李在明氏、共に民主党の国会議員らが政治的な保護を受けるために唯一無二の法律を作ったということ。『検察が盧元大統領を殺した』という思いが文氏本人にあった。文政権中枢には学生運動に関わった人も多い。検察トップを務めた尹大統領が検察を利用して、自分たちを必ず弾圧してくると考えたのでしょう」
(引用ここまで)


 米韓首脳会談の共同声明はいま読んでます(そば屋の出前)。

 検察の捜査権完全剥奪についての記事がないものかと探していたら、ちょうど毎日新聞の記事がよい感じだったのでピックアップ。
 毎日新聞本体のサイトだと有料記事で半分ほどまでしか読めないのですが、Yahoo!だとなぜか全部読めるのでリンクはそちらにしてあります。

 すごく簡単にいえば、韓国では「ムン・ジェインが自分とイ・ジェミョンの保身のために検察から捜査権を剥奪した」ということなのですが。
 以前も書いたように韓国では警察も捜査権を持つものの、それは検察の補助としての捜査。
 これまでほぼ検察だけが捜査をする権限を持っていたものを、いきなり取り上げるという暴挙に出たわけです。
 韓国の社会システムが混乱するのではないかと有識者は危惧しています。

 これまで検察が捜査権を持つ、というシステムで社会が運営されてきたわけで。
 それが──

「これからは検察ではなく、警察が捜査権を持ちます」
「現役か、かつて高位公務員だった者については公捜処が捜査権を持ちます」
「検察も一定額以上の被害額となった経済事件等については捜査権があります」

 ──とかいう状況になる。
 「検察から権力を削ぎたい」というほぼ私怨で行われた「検察改革」ですから、実際に適用されたら社会のシステムがどうなるのかすら分かりません。
 これまでは「検察が捜査権を持つ」との前提で社会が動いてきたわけで。
 それを強行採決でねじ曲げた、というのが今回の出来事。


 師匠筋にあたるノ・ムヒョンが自死を選んだのは、検察の捜査が向かったことが原因であるムン・ジェインは考えています。
 捜査当時の大統領であるイ・ミョンバクを相当に恨んでいるという話は何度かしました。
 パク・クネは特赦で釈放されても、イ・ミョンバクに特赦が降りなかったのはこのあたりのムン・ジェインの復讐心が作用している部分も少なくないと思われます。
 それと同様に検察にも恨みがあり、今回の暴挙にいたったと。

 さらに自分の直系の後継者として指名するつもりであったチョ・グクに捜査の手が及んで権力の禅譲ができなかったことも作用しているでしょうね。
 ムン派であり、最側近であったチョ・グクやキム・ギョンスが大統領選挙に出て勝つことができれば大人しくしていたのでしょうが。

 よりによって検察庁出身のユン・ソンニョルが大統領になってしまった。
 しかも、検察総長であった時代に散々、その派閥も込みで弾圧し続けてきた相手。  これまでのパターンではムン・ジェインはユン大統領の任期中になんらかの罪で逮捕されていたでしょうが。

 ここまで徹底して検察の勢力を削いだことで、どうなるか分からなくなりました。
 蔚山市長選挙介入で逮捕される可能性があるかな、とは思っていたのですがだいぶ難しくなった感じがしています。

 こんなのが「見習うべき民主主義の見本」なわけがないんだよな……。
 むしろ議会制民主主義の悪用だし、独裁者に権力を与えるとこうなるっていう見本ですらありますよね。

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バイデン大統領訪韓、その最初の訪問地は……あー、やっぱりね

バイデン氏、韓国との経済・安保の協力強化を演説 日韓歴訪開始(毎日新聞)
 バイデン米大統領が20日、ソウル郊外の米空軍烏山(オサン)基地に到着し、2021年1月の大統領就任後初めてのアジア訪問となる日韓歴訪を開始した。バイデン氏はサムスン電子の半導体工場を視察し、韓国と先端技術分野での協力を強化していく方針を表明した。

 バイデン氏は視察後の演説で「新型コロナウイルスの世界的大流行でサプライチェーン(供給網)のもろさが露呈し、ロシアのウクライナ侵攻でサプライチェーンの重要性はさらに注目された」と指摘。その上で「我々の経済や国家安全保障は、価値を共有しない国には依存しない。韓国など価値を共有する国々と全面的に協力を強化することが、長期的な強靱(きょうじん)さや繁栄、21世紀の競争における優位をもたらす道だ」と強調した。
(引用ここまで)


 バイデン大統領の訪韓、訪日日程がスタートしまして、昨日に韓国に到着しました。
 その最初の訪問地が京畿道平沢にあるサムスン電子の半導体工場。
 演説で「サプライチェーンは重要であり、我々は価値を共有しない国に依存しない」と述べたとのこと。
 バイデン大統領、というかアメリカが韓国に求めているものがなにか分かるというものですかね。

 ユン・ソンニョル大統領も同行していたそうですが、米韓首脳会談自体は今日の午後。
 どんな共同声明が出るかは楽しみにしておきましょう。
 アメリカ側から聞こえてくる話と、韓国側から聞こえてくる話がだいぶ違っているのでどうすりあわせができたのか。あるいはできなかったのか。
 韓国の求める準常設通貨スワップ協定(危機ではないからスワップ協定ではない)は設置できるのか。
 いや、楽しみですね?


 で、韓国側は今回のバイデン大統領の訪韓を「半導体ファウンドリとして台湾追撃の踏み台にする」とかいう認識でいる模様。
 確かに一極集中を避ける、という意味ではTSMCが力を持ちすぎるのも困ったものではあるのですが。

バイデン大統領も力を注ぐ韓米「半導体同盟」…台湾追撃の踏み台になるか?(ハンギョレ)
 米国中心の半導体サプライチェーン再編は避けられない選択であり、積極的な機会にしなければならないというのが、半導体業界と専門家たちの大方の見解だ。サムスン電子とSKハイニックスは、メモリー半導体で世界市場の70%を占めるが、核心チップである非メモリー半導体では後発走者だ。非メモリー半導体の設計(ファブレス)はインテル、アップル、クアルコム、NVIDIAなどが主導し、生産(ファウンドリ)は台湾のTSMCが絶対強者だ。市場調査機関のトレンドポスによれば、ファウンドリ市場のシェアはTSMCが53%、サムスン電子が18%。付加価値の高い10ナノメートル(nm)以下の超微細工程(1ナノメートルは10億分の1メートル)ではシェアの差がさらに広がる。

 サムスン電子は、2030年に非メモリー半導体シェア1位を目標に、3年前から171兆ウォン(約17兆円)にのぼる大規模な投資に出ているが、差を縮められずにいる。アップルやインテルなど米国企業の90%は、純粋に設計どおり半導体を生産し納品するTSMCに発注する。超微細工程の技術と生産性(収率)水準も重要だが、スマートフォンや通信機器などの競争製品を生産するサムスン電子との取引を敬遠されていることが、サムスンのファウンドリ事業の構造的な限界だ。
(引用ここまで)

 記事にもありますが、アメリカが望んでいるのは「アメリカ国内でのサプライチェーンの成立」ですからね。
 それについてはTSMCも参加している。
 円安を武器に日本でもなんらかの工場誘致すればいいと思うんだがなぁ。

 ユン・ソンニョル大統領は「これはゼロサムゲームではない。中国ともうまくやっていく」と述べたとのことですが。

尹大統領「米韓首脳会談、包括的な同盟に発展するきっかけに」…バイデン大統領、きょう訪韓(Wow! Korea)

 ゼロサムゲームまではいかないにしても、陣地の奪い合いであることに間違いはなんだよなぁ。
 そして韓国がアメリカの同盟国の中ではもっとも弱い環であるからこそ中国からの攻勢を受けているわけで。

 「中国の言うことを聞きながら、アメリカとも折り合いをつける」というムン・ジェイン政権のやりかたはアメリカに通用せず、米韓関係の悪化を招きました。
 ユン政権の標榜する「アメリカに傾きつつ、中国ともうまくやる」が中国の怒りをどれだけ買うのか。
 ちょっとまだ見えない部分でもあるのですが。
 三不まで課してきた中国がそう簡単に許すとも思えないんだよな……。

 あ、そうそう。
 アメリカ側から「会談はない」とされたムン・ジェインとの面会ですが、電話会談をするそうです。
 ……だったら別に訪韓している時じゃなくてもいいとは思うのですが。

【独自】文在寅前大統領とバイデン大統領、21日に対面でなく電話で会談へ(朝鮮日報)

 まあ、韓国にいる間に電話をする、ということ自体に価値があるともいえるのか。
 退任した前大統領に挨拶する、くらいのことはするでしょうよ。
 そうした挨拶に大きな意味合いを持たせることは嫌うでしょうが。

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