韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と米国のバイデン大統領は21日、ソウルで初の首脳会談を行った。尹大統領は会談後に開いた共同記者会見で、「韓米同盟をグローバルな包括的戦略同盟に発展させていくという目標を共有し、その履行方法を緊密に議論した」として、「韓米両国はグローバルな包括的戦略同盟としてこのような挑戦課題に共に対応しながらルールに基づいた秩序をつくっていく」と述べた。
(引用ここまで)
あ、『首脳会談があった」ということで上の記事をピックアップしていますが、エントリの中ではまったく扱いません。悪しからず。
さて、ホワイトハウスから米韓首脳会談について共同声明がリリースされました。
一応、リンクしておきますか。
United States-Republic of Korea Leaders’ Joint Statement(ホワイトハウス・英語)
ざっくりと見てみましたが、これといって目新しい項目はありませんでした。
韓国が期待している「常設通貨スワップ協定に準じたレベル」はおろか、通貨スワップ協定への言及は一切ありませんでしたね。
日米韓間での協力については対北朝鮮でのみ語られています。
あえていうなら新型の小型原子炉についての言及があり、ムン・ジェイン政権での脱原発政策を完全にやめる「脱脱原発」ともいえる状況になりそうだ、というのが見えてくる……というところでしょうか。
それ以外だと……目新しい話はなにもないなぁ。
まあ、共同声明は事前に事務方ですり合わせの行われた結果なので、サプライズはないものと相場が決まっていますが。
それにしてもなにもない。
それ以外だと訪韓2日目の朝に行われたという、whitehouse.govに掲載されている報道陣と高官の会見の様子が気になるところです。
Background Press Call by a Senior Administration Official Previewing President Biden’s Second Day in the Republic of Korea(ホワイトハウス・英語)
NHKの記者(エスター・オー?)が日韓関係について質問をしています。
一応、さらっと抄訳するとこんな感じ。
NHK「バイデン大統領は韓国と日本の近年に大幅に悪化している二国間関係を改善することについて、直接的に関与するのか否か」
高官「日韓関係の改善を強く支持していると思われます。両国もそうであると認識しています。ただ、この問題は日韓両国にとって敏感で重要な事項です。両国にとって相互に受容、同意が可能な方法で改善を行う必要性について、大統領は理解と支持を明らかにすると思われます」
高官「とはいえ、これはかねてから明らかにしていたことではありますが──アメリカの視点から改善を目指していたことは確かです。我々のもっとも近く、かつもっとも政治的な同盟国の二国間関係が強固でないことは、我々の利益にならないことは明白です。よって、我々は日韓のどちらの側からも改善するための努力のステップを踏むことを望み、支持します」
なんともまあ、歯にものがはさまったかのような言いようですね。
日韓関係が改善されればよいのだが、それに直接的な関与はできない。その努力を両国がするのであればアメリカはサポートしたい、というていどですね。
要するに「日韓関係改善についてアメリカがそこまで踏みこむつもりはない」というかなり遠回しな表現です。
「改善してほしいものの、アメリカはそれについて踏みこまない」という以前からの立場をそのまま続けるといったところ。
クアッドについてもVoAの記者が「韓国がクアッドプラスに加わるようなことはあるのか、(日本での)クアッド首脳会談に韓国は関わってくるのか?」との質問がありまして。
高官(誰なの)は「うーん、まだユン政権は始動して11日目。なのでそこまで言及するのはアレだよねー」というような感じではぐらかしています。
韓国側が求めていた「ユン政権への全面的な支持」みたいな形ではないですね。
ま、当初の予想通りと言えばそれまで。
「日本よりも先に韓国に訪問した」意味があったかと言われると……うん、なかったですね。
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