「外国為替市場を安定させるために、韓国銀行は基準金利を急速に引き上げる必要があり、韓米通貨スワップとともに日本との通貨スワップも慎重に考慮しなければならない。」
カン・サムモ韓国国際金融学会長が26日、ソウル明洞銀行連合会館で開催された「グローバルインフレによる金融市場リスク要因と新政府政策課題」セミナーの開会歓迎社でこのように注文した。韓日通貨スワップは2015年を最後に中断された後、両国間の外交摩擦でまだ再開されていない実情だ。しかし、ユン・ソク熱政府が発足した後、実益のために韓日通貨スワップを再稼動しなければならないという注文が続いている。
カン会長もこの日開会会社を通じて「2~3年前は現実的に日本との通貨スワップが難しい状況だったが、今は政治的利害関係を離れて議論を始めなければならない時点」と主張した。
(引用ここまで)
韓国の「韓国国際金融学会長」であり、東国大学のカン・サンモ教授が「米韓通貨スワップ協定も当然だが、日韓通貨スワップ協定もだ」と言い出してまして。
この教授、延々と米韓通貨スワップが必要だと述べてきた人でして。
現状の韓国経済に大きな脆弱性があることを警告しています。
つい先日も似たような話をしていたのでそちらの記事もピックアップしておきましょうかね。
「外貨準備だけが答えではない…米韓、日韓常設通貨スワップが必要」=韓国報道(Wow! Korea)
なんとかして米韓首脳会談で常設レベルの通貨スワップ協定を結べないかという話をしています。
なお、日韓通貨スワップ協定でその前提として必要となる「ハイレベル経済協議」は、釜山の日本総領事館前に慰安婦像の設置を黙認したことによって中止になっています。
それがなにも動いていない以上、中止されたままですね。
ちなみに韓国メディアでは「米韓首脳会談は大成功だった」という設定になってまして。
特に「為替市場での協力」という言葉があったので、常設通貨スワップ協定は構築できたも同然だ、みたいな話が出ています。
韓米共同宣言文に初めての登場した為替市場協力…「常設通貨スワップ」構築の土台か(中央日報)
うーん、微妙。
米韓首脳会談の共同声明を見るとこんな一文があります。
ユン大統領とバイデン大統領は、今年10周年を迎えた韓米自由貿易協定(KORUS)が依然として我々の経済関係の基盤であることに同意した。両大統領は、持続可能な成長と秩序正しく機能する外国為替市場を含む金融の安定を促進するため、外国為替市場の発展について緊密に協議する必要性を認識する。両大統領は公正で市場に基づく競争について共通の価値観と本質的な利益を共有し、市場を歪める慣行に対処するために協力することにコミットする。
(引用ここまで)
なんとも微妙。
確かに「為替市場の安定を促進するために、外国為替市場の発展について緊密に協議する必要性を認識する」という一文はあるのですが。
これで通貨スワップ協定間違いなしかって言われると……どうなんだろうね、といったところ。
アメリカの立場からすると米韓FTA(KORUS)があるのだから、勝手に為替介入するなよって言っているようにも見えますよ、これ。
オバマ大統領時代に、米韓首脳会談後の共同声明に「もう為替介入はいたしません」って書かれそうになったなんてことがあったほどでして。
特に最後の「市場を歪める慣行に対処するために協力することにコミットする」って一文は、当時の話を思い起こさせますね。
はっきり言って、米韓FTAこそがTPPを潰した原因ですし、かつ「FTAなんぞクソだ」と叫ぶトランプを大統領に押し上げた原因のひとつであることに間違いはないのです。
FTAを結んだのに為替介入を繰り返して自国の都合のいいように自由貿易協定をもてあそんだのですから。
そうした「歴史的な背景」を見るだに、これが「通貨スワップ協定の土台」には見えないなぁ。
Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローよろしくお願いします。→Follow @rakukan_vortex