韓米首脳会談以後、新たな対北朝鮮抑制策を設けるための議論が活発になっている。拡張抑止を具体化する案が提示される一方、文在寅政権が積極的に推進していた軽空母建造事業を取り消さなければならないという声まで出ている。
イ・ソンフン国家安全保障戦略研究員研究委員は、30日「5月の韓米首脳会談の軍事安全保障含意:実効的連合防衛のための戦略的考慮事項」報告書で「拡張抑制戦略協議体(EDSCG)をNATOの核共有体系のようにもっと精巧に構成する必要がある」と助言した。 (中略)
チョン委員は「例えば、今後10年間で3兆ウォン以上がかかると予想される軽空母の確保予算を韓国型ミサイル防衛体系(Korea Air and Missile Defense:KAMD)早期構築とキルチェーン(Kill-Chain)能力強化事業として転用する方向を考慮しなければならない」とし、「軽空母保有が重要ではないというわけではなく、比較的必要度が小さいものであり、あまり緊急でないため」と話した。
彼はまた「拡張抑制戦略協議体が再稼働しても、抑止力の提供元である米国の意志と理解によって協議体が運用されないように努力しなければならない」とし「同時に抑止力増強のために韓国型原子力潜水艦確保を拡張抑制戦略協議体と韓米統合国防協議体(Korea-US KIDD)を通じて協議することも考慮すべきだ」と助言した。
(引用ここまで)
ムン・ジェイン政権とユン・ソンニョル政権でもっとも大きく変わるのは対北政策を含めた安保政策となるでしょう。
以前から楽韓Webでは「安保面で対米関係は大きく改善されることになる」としてきました。
さっそく、アメリカの空母が参加した共同訓練が行われています。
韓米が「原子力空母」参加の共同訓練 4年7カ月ぶり=北朝鮮けん制(聯合ニュース)
現在、強襲揚陸艦のアメリカ(整備中)が佐世保、トリポリが横須賀に。
空母ロナルド・レーガンが硫黄島近辺、空母リンカーンがフィリピンあたりにいます。
まあ、2017年のニミッツ、セオドア・ルーズベルト、ロナルド・レーガンのそろい踏みよりは穏当かな。
ムン・ジェイン政権の最後に合同訓練があるのではないかともされていたのですが、最後までなかったですね。
その代わり、こうして政権交代とほぼ同時に合同軍事演習が行われたと。
そんな中、ムン・ジェイン政権が強力に推してきた軽空母建造計画についてキャンセルもあり得るとの発言がありました。
軽空母計画は韓国人の、特に左派にとっての「自主国防の夢」です。
アメリカを追い出して自分たちの力だけで朝鮮半島防衛を受け持つという遠大な夢の実現に向けての一里塚ともいえると思います。
ムン・ジェイン政権において強力に推進されてきたのは、そうした側面が大きいのですね。
ですが、その一方で空母を建造して運用するということは、韓国軍が外洋に出るという意思を見せたということでもあります。
シーレーン防衛に参加する、という意思表明でもあるのですが。
……いや、ムン・ジェインはそんなことを考えていなかったとしても、外からはそう見られるのですよ。
ただ、軽空母建造計画をキャンセルしようと言い出した、ということは対中戦略には大きく参加しないという話になりえるわけです。
イ・ジョンソプ国防部長官(大臣に相当)も「軽空母建造計画は優先順位を考える必要がある」と発言してましたね。
韓国が参加するのは対北戦略までという意思表明でもあるといえる。
まあ、実際にはどうなるかは不明ですが。
アメリカが(まずは)対北まででもよいから日米韓連携をしっかりしろ、と言っている可能性もあるかな。
とりあえず、ユン・ソンニョル政権は安保面においては対米関係を修復しつつある、とは言えると思います。
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