こういった"強さ"のある選手たちは、小4にして「運動組」と「勉強組」を分け、前者を徹底的に鍛え上げるという2010年代までの環境から生まれてきた。前者に入れば小中では学校の授業も受けず年間を通じ複数の全国大会に出場。高校では「(年間を通じ複数行われる)全国大会ベスト4以上」の学校の選手のみが大学でもサッカーを続けることを許されるという、厳しいスパルタ&エリート主義だ。
しかし、現在の育成制度は大きく変わっている。キム・テリュン氏が続ける。
「現在の韓国の育成システムは過去とは違い、政府の政策による成約が多いです。文化体育観光部と教育部、大学スポーツ協議会など公式機関が数年前から『勉強をする学生選手をつくろう』というモットーを掲げたあたりから、現場では多くの困難が生じています」 (中略)
「Aクラスの選手たちは高卒からKリーグに行く流れになっています。問題は20歳前後で、そこにたどり着けない選手たちの行き場がなくなってきているということです。大学に進学する選手の多くの理由は『成長期であるプロでの1~2年めに出場機会を失いたくないから』。多くの選手たちは2年生までにスカウトされ、中退しないともはやプロにはなれません。そうなると4年間活動する、という大学サッカー部の存在意義が無くなってしまう。近年の韓国の大学サッカーの衰退は急激なスピードで衰退しています」
(引用ここまで)
日韓戦は12-0ではなく17-0だった、そこには韓国のサッカー界に異変が起きていたという理由がある……との吉崎エイジーニョ氏のコラム。
代表戦だけでなく大学選抜同士での試合もあって、それが5-0だったと。
それらの合計スコアが17-0。
2021.03(A代表) 日本3-0 韓国
2022.06(U-16代表) 日本3-0 韓国
2022.06(U-23代表) 日本3-0 韓国
2022.06(大学選抜) 日本5-0 韓国
2022.07(A代表) 日本3-0 韓国
ふむ。
で、そこには韓国がかつてやっていた「小学4年生から完全に運動組として分かれていた」のだけども「イ・ミョンバク政権からそれがなくなり、『勉強をする学生選手を作ろう』という方針に変わった」という理由があると。
っていうか……それが普通じゃないのかな。
韓国のスポーツ教育というか、もう教育というべきなのかどうなのかっていうくらいのもので。
スピードスケート、ゴルフでも才能があると見られれば、ずーっとそればかりやらせていた。
スピードスケートとか一定の成績を得ないとスポーツ進学できないから、持ち回りで成績が取れるように八百長も行われるレベル。
それが「勉強もする学生選手」になったので韓国サッカーは弱体化したのだっていう。
……高校とかで青春を賭けてやってる分にはいいですけどね。
でも、それから先の人生のほうが圧倒的に長いんですよ。
学生時代にスポーツだけやってて、ものにならなかったら卒業した時に残るのは「勉強もできず、ただスポーツがちょっとできるだけ(怪我をしたらそれすらできない)の役立たず」ですからね。
で、この吉崎エイジーニョ氏のコラムに対して、中央日報の記者がリプライのようなコラムを書いています。
【コラム】韓国0-17日本、実話か…朴智星氏が思いを語った(中央日報)
「深刻だと思うのは、高校のサッカー部の学生が正規の授業をすべて受けながら練習をする部分」とし「勉強で大学に行こうとしているのか、勉強ではない別の才能で進学しようとしているのか深く考えなければいけない」と指摘した。
(引用ここまで)
パク・チソンが「高校サッカー部の学生が正規の授業を受けながら練習をしている」と苦言を呈している……と。
パク・チソンも所属していた高校が優勝するなど、こうした詰め込みでの「スポーツ(だけの)教育」を受けていた世代。
ただし、パク・チソン本人はKリーグのドラフトにかからずに大学に進学して、その才能を見いだした大学サッカー部の監督が京都パープルサンガとの契約を推進した……というストーリーで「国民的サッカー選手」にまで上り詰めたのですが。
パク・チソンですら一歩間違ったらただの人だった可能性も充分にあるんだよなぁ。
楽韓さんは「あと一歩どっかで分岐を間違ってたら路頭に迷ってた」という自信があるので、どうしても「その後の人生」を考えてしまいますわ。
まあ……韓国で「普通レベルの教育」を受けたていどじゃ、まともな扱いにならないっていう負のスパイラルにはまる可能性もまた高いのですが。
そのレベルじゃ大企業に入るなんて夢のまた夢ですから。
日本と同じような制度でやりはじめたら、あっという間に没落していったというのは面白い部分ですかね。
多くの元選手を使い潰して勝ってきた、ともいえるわけか。
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