米国連銀の急激な基準金利引き上げは、韓国をはじめとする新興市場国で資本流出と通貨価値の下落を誘発し、国内インフレはもちろん外国為替市場の変動性も増幅させている。韓国銀行としても今年に入ってから4回にわたって基準金利を引き上げるなど、先制的に通貨政策を運用しているが、外国為替市場を安定させるには不十分な格好だ。最近、その勢いがややおさまりつつはいるが、依然として外国為替保有高は年初比で245億ドルほど急減してきたし、ウォンドルの為替レートは10%上昇した1310ウォン台を行き来している。
状況がこうなると、韓米通貨スワップ締結の必要性を力説する専門家たちのコメントを一日にも何度も接することになる。 (中略)
現在、外国為替保有高の規模を考慮すれば、韓米通貨スワップが果たして不可欠なのか、ウォンドルの為替レートを下げるのにどれだけ効果的かなどに対する意見は分かる。ただし、韓米通貨スワップ自体が外国為替市場の安定を図るのに有用であるという事実自体については異見の余地がない。10億台の住宅を所有している資産家であっても、現金がなければ1億程度の資金が必要な場合、住宅を処分しなければならない場合がある。しかし、マイナス通帳を開設しておけば、あえて住宅を処分する必要はない。国家が直面する外国為替市場も同様に理解できる。適正規模の外国為替保有高を維持していても現金性外国為替保有額の割合は高くないため、一時的に外国為替流動性が不足する場合、マイナス通帳の役割を果たすことができる韓米通貨スワップは役立つわけだ。 (中略)
国内で韓米通貨スワップの必要性に対する声が高まるほど、そして米国政策当局が韓国政府の切迫感を見破るほど、私たちの交渉力は低くなるだろう。憂国の衷情がむしろ害を及ぼしかねない。
だからといって、米国側が通貨スワップを締結決定を下すまで、手を離して待つだけではない。私たちの交渉力を高める経済学的論理を積極的に開発する努力が必要だ。例えば「韓米通貨スワップが締結されなければ、私たちとしては万が一に備えて為替保有高を適正水準以上に着実に増やすしかなく、この過程でウォンドル為替レートはバランス水準以上に上昇することになり、韓国輸出品のドル価格競争力は高まり、米国輸入品のウォン価格競争力は低くなり、米国の大韓国貿易赤字が拡大する」という論理を拡げることも可能だ。韓国の外国為替保有高増大の誘引を減らし、米国の大韓国貿易赤字を減らすという点で「ウィンウィン」になることを立証する研究を行うことが、コメントを通じて韓米通貨スワップ締結の必要性を主張するより国益に役立ちます。
(引用ここまで)
韓国ではいまだに「米韓通貨スワップ協定を!」との声が上がっています。
まあね。
一応、ハン・ドクス企画財政部長官(財務相に相当)は「外国為替危機ではないので通貨スワップは不要だ」との認識を国会で述べています。
ハン・ドクス「外国為替危機ではない……」韓米通貨スワップ「不要」(朝鮮ビズ・朝鮮語)
「ウォンだけでなく、他の通貨も対ドルで下落しているから問題ない」というここのところ使ってるロジックでなんとか切り抜けようとしている感じですかね。
バイデン大統領との米韓首脳会談、イエレン財務長官との米韓財務相会談の療法で空振り。
韓国メディアからは「もう決まったも同然だ」みたいな報道が相次ぎましたが、完全にスルーされています。
それでもなぜここまで米韓通貨スワップ協定が求められているかというと、韓国政府のいうところの「外貨準備高」に対して不安を抱いているからです。
1997年のアジア通貨危機において「国家には1ドルの外貨もありません!」ってなったアレを再現したくないという部分もあるでしょうし。
それよりなにより、「本当の真水分はどのくらいなのだ」ということに関して疑心暗鬼になっているのでしょうね。
楽韓Webでも何度か「真水はどのくらいなんだよ」と指摘しています。
ちなみにアメリカの国債について韓国の保有額は1141億ドル。
日本(1兆2128億ドル)の1/10以下、イギリス(6340億ドル)の1/5.5、台湾(2314億ドル)の半分強。国別では17位。(ソース:財務省)
経済規模に比べてアメリカ国債の保有額が小さすぎるんだよなぁ。
アメリカ国債は韓国の外貨準備高の1/4でしかない。
じゃあ、それ以外の3/4はどうなっているの……という部分が気になるところですが、韓国政府が準備高の内訳詳細を発表しなくなってだいぶ経つのです。
ファニーメイ、フレディマック公債あたりに手を出していたのではないか……ともされています。
まあ……前回、前々回の通貨スワップ協定で締結と同時に行使していたので実際のところはお察しください、って感じです。
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