THAAD葛藤、さらに深まる? 中国、既存の「三不」に「一限」まで追加(中央日報)
中国が10日、韓国のTHAAD(高高度ミサイル防衛体系)配備に関連し、「韓国政府の『三不一限』の約束」を主張した。中国外交部の汪文斌報道官は10日の定例記者会見で、THAAD関連の質問を受けて「韓国政府が正式に対外に『三不一限』という政策を表明した」とし「米国が韓国にTHAADを配備したことは明らかに中国の戦略的安保利益を害し、中国は韓国側に何度も懸念を表明したという点を指摘したい」と述べた。
これに先立ち韓国の朴振(パク・ジン)外交部長官と中国の王毅外交担当国務委員兼外交部長は今月9日の会談で、THAAD「三不」の有効性を巡り立場の違いを鮮明にした。それでも両長官は「THAAD問題が相互協力の障害物にならないようにしよう」という方向で共感を形成したと両国外交部は明らかにした。
汪報道官が言及した「三不一限」は2017年10月31日、韓国の南官杓(ナム・グァンピョ)国家安保室第2次長と中国の孔鉉佑外交部部長補佐(次官補)の協議内容に関連した主張だ。2017年10月、韓国の康京和(カン・ギョンファ)外交長官が国会国政監査で説明した内容によると、三不は▼韓国はTHAADを追加配備をしない ▼米国のミサイル防衛システムに参加しない ▼韓日米軍事同盟をしない--という内容だ。当時、文在寅(ムン・ジェイン)政府はこのような立場を中国側に説明した。しかし約束や合意ではない立場という趣旨だった。
(中略)
特に汪報道官がこの日、従来のTHAAD三不に加えてすでに駐韓米軍基地に配備されたTHAADの運用制限を意味する「一限」を公式化して新たな葛藤の火種になる見通しだ。中国政府が「一限」を韓国の対外との約束だと規定する主張を公開表明したのは初めてだ。
(中略)
檀国(タングク)大学政治外交学科のキム・ジノ教授は「会談翌日、中国外交部が『三不一限』にあえて言及したのは、THAAD問題を安保主権として見ている尹錫悦政府に『我々はTHAAD問題で譲歩するつもりはない』という公開的な圧迫メッセージを送ったもの」と述べた。
(引用ここまで)
中国が韓国に向けて「三不一限を守れ」と厳命。
中国の立場にしてみれば「前政権が約束したことなんだから、政権交代したからって横紙破りできると思うなよ」ってなるでしょう。
っていうか、本当にムン・ジェインの外交センスのなさが集約されたような話なんですよね、三不。
ちょっと三不を誓うまでの経緯を追ってみましょうか。
THAADミサイルを配備したいというのは在韓米軍の長年の願いだったのだけれど、中国の機嫌を損ねたくないという思想がベースにある韓国政府は配備を拒否し続けていたのです。
しかし、2016年前後には北朝鮮が核実験とミサイル発射を繰り返しており、朝鮮半島有事があり得るとの判断がいくつも出始めていた頃でした。
THAADミサイル配備から逃げ続けてきたパク・クネ政権も追いつめられ、2016年の7月に配備を発表。
当時から中国、ロシアの反対はすごいものがありました。
翌年3月にはランチャー2基での暫定配備が行われまして、同時に中国から「韓国への旅行、K-POPのライブ、韓国ドラマの放映等の禁止」となる禁韓令(限韓令とも)を申し渡されたのでしたね。
そして、2017年5月には弾劾されたパク・クネに代わり、ムン・ジェイン政権が発足。
しかし、ICBMである火星12、火星14を含む北朝鮮のミサイル連発に耐えきれずに7月末にランチャー2基の暫定配備からランチャーが6基となるフル配備への変更を決定。
中国による禁韓令もピークに達してロッテマートの営業中断を強行し、中国市場からの撤退を強制してました。
んで、その中国からの圧力に負けて、
10月31日にいわゆる「三不」を発表──「THAADミサイルの増設をしない」「日米韓の三国同盟は結ばない」「アメリカのミサイル防衛システムには荷担しない」という3つのNOを丸飲みさせられたわけです。
その後、「THAADミサイルを中国に向けては決して使いません」という制限が中国メディアからリークされて、実際には三不一限であることが判明した……と。
いやもうね。バカかと。
圧迫に負けて主権を投げ出す様子は李氏朝鮮末期~大韓帝国を思い起こさせましたわ。
こんな屈辱的な条件を呑んでから国賓訪問させてもらったのですが、
そりゃ扱いはあんな風になるよねっていうレベルで冷遇されてましたっけ。
わざわざ釣り上げた狗を歓待する謂われはないですからね。しつけとして自分のヒエラルキーを覚えさせるためにも徹底して冷遇しますわな。
ちなみに今回のペロシ議長に対して「空港に誰も出迎えない」「閣僚は誰も面会しない」「ユン大統領も会わない」といった冷遇をしたのは、直後に控えている中韓外相会談で中国からの覚えをよくしようと画策されたとの説もあるのですが(そしておそらく正解)。
それでもこのように「三不を守れ」と圧迫されて終わり。
そりゃアメリカの専門家も匙を投げますよ。「あ、やっぱダメだこいつら」って。
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