負債を抱える332万人の自営業者の12%に当たる最大40万人の債務者の債務を調整する新たな出発基金が、韓国で10月にスタートする。低信用者、長・短期延滞者などの脆弱な債務者に1人当たり15億ウォン(約1億5400万円)を限度として利子の引き下げ、長期分割返済、元金の減額などを行う。60~90%の元金の減額は、全体の3%(約11万人)の「信用不良者(借金が返せなくなった人)」にのみ5億ウォン(約5120万円)を限度として限定的に行われる。保守政権で借金の減免が行われるのは異例のことだ。それだけ新型コロナウイルス禍にともなう自営業の負債が韓国経済の大きな雷管になっているということだ。 (中略)
不良債務者は90日以上の長期にわたって延滞している信用不良者で、60~90%の元金減額が行われる。ただし財産を超過する過剰な純負債(負債-財産)のみ減額が可能で、無担保信用融資のみが対象になるため、限度は5億ウォン以内に制限される。そのため、不良債務者であるにもかかわらず元金減額基準に適合しなければ、利子引き下げと長期分割返済だけが実施される。
(引用ここまで)
はいはい、徳政令徳政令。
とか言えないレベルの減免ですね。
最大15億ウォン。ひとりあたり。
それを最大40万人。
不動産でやばげな動きがすでに出ていることを先日お知らせしましたが。
それと同じ文脈の話ですね、これ。
韓国政府がもっとも恐れているのは家計債務の崩壊、不良債権です。
それでなくとも韓国の家計債務は世界一のレベル。GDPを超える債務を持つ唯一の国です。
よく日本の国債に対して「国の借金がひとりあたり○○万円に!」みたいな話をしますが、あれは虚偽であることはよく知られています。
実際には国債は国民の持つ債権ですからね。
ですが、家計債務はガチの「国民の借金」でしかない。
もちろん、それで設備投資をする等であればよいですが。
コロナ禍で自営業が苦しいのはどこも同じ。
というわけで、自営業者保護に見えますがこれは実際には金融機関の保護なのです。
不良債権となるであろう自営業者の借金を棒引くことで、あらかじめ危険性を減じておく。
「韓国の金融機関は健全ですよ」「いざとなったら韓国政府がケツを持ちますよ」というアピールなのですね。
逆にいえばそこまでしないと危険だという水域に達しているということでもあります。
保守政権ではあまりこうした徳政令的な動きは出ないのがこれまでの韓国の伝統だったのです。まったくないというわけではないですが、任期中に1回とかそういうレベル。
逆にノ・ムヒョン政権、ムン・ジェイン政権ではスナック感覚で出ていたのですけどね。
さて、そうした環境に慣れた人々がどうなるかというと「どうせ減免されるから好き勝手に借金してやれや!」ってモラルハザード。
あと「あいつは減免対象になったのになんで俺はならないんだ」っていうクレーマー爆誕。
どっちもモラルハザードだけど。
まあ、韓国名物としてしまえばいいんじゃないでしょうかね。え、もうなってるんですか?
Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちら!→Follow @rakukan_vortex