米中対立の激化で両岸(中国と台湾)の緊張が高まる中、米国の元将軍と官僚がこの地域での武力衝突発生の場合は韓国に駐留する米軍を投入する可能性があると相次いで発言している。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と国防部は、在韓米軍の最優先任務は北朝鮮の侵略抑制だとして可能性を一蹴しているが、望まない紛争に巻き込まれないためには、韓米間で在韓米軍の活動範囲を論議する制度的枠組みを設けるべきだという指摘が出ている。
パトリック・ライダー米国防総省報道官は27日(現地時間)、定例ブリーフィングで、台湾有事の際の在韓米軍または韓国の介入に関する質問に対し「一般的に在韓米軍は依然として韓米同盟と韓国の主権を守り、域内の米国の国益を支援するための高レベルの準備態勢と強力な連合防衛態勢を維持することに専念している」とし、原則的な回答をした。
しかし、元官僚の展望は、米政府の公式な立場とは異なる。昨年7月まで在韓米軍司令官を務めたロバート・エイブラムス氏は26日(現地時間)、米「ラジオ・フリー・アジア」(RFA)で、中国が台湾に侵攻した場合、在韓米軍の投入が「可能だ」と述べた。同氏は「在韓米軍所属兵力を含め、どのような兵力を活用するかを決めるのは米国だ」と説明した。韓米連合軍司令部作戦参謀出身のデビッド・マクスウェル氏(米民主主義守護財団シニア研究員)も今月1日、「ボイス・オブ・アメリカ」(VOA)で、台湾海峡で武力衝突が起きれば「米軍再配置の権限は米国にある」と強調し、イラク戦争、アフガニスタンのテロとの戦争などで一部の在韓米軍兵力が再配置された事例があったと述べた。
米国の専門家らは、具体的に京畿道平沢(ピョンテク)と全羅北道群山(クンサン)にある米空軍が台湾に投入される可能性を予想している。この場合、在韓米軍基地は中国を牽制・攻撃する発進基地の役割を果たすことになる。中国が在韓米軍基地を報復攻撃すれば、韓米連合軍司令部に属する韓国軍が中国軍と戦う状況になりかねない。
(引用ここまで)
いわゆる「台湾有事」の際に韓国がどのように振る舞うのか、というのはけっこうホットな話題のひとつ。
韓国政府がペロシ議長を冷遇した後、特に語られるようになっていますね。
アメリカの公営放送であるVoAでも「韓国がアメリカの手助けをするとは思えない」とする専門家の意見を放送しています。
VoA Koreaのワシントントークが現在のアメリカからの日本、韓国への視線を如実に現していて興味深かったので以下のツリーで翻訳します。1/https://t.co/HCvytO0AEn
— 楽韓Web (@rakukan_vortex) August 9, 2022
Twitterでそのあたりの放送内容を楽韓さんが翻訳していますので、興味があればごらんください。
たまにこんなことをしていたり、韓国に関係ない時事問題を語っていたりしますのでよろしければフォローしておいてください。
さて、実際問題として在韓米軍が台湾有事に使用されるかどうか。
というよりも、それ以前におそらく中国がミサイルを撃ちこんでくるんじゃないかと思われますけどね。
中国は当然のように「使われる前提」に立って行動するわけで。
というか、中国が台湾有事に至っても在韓米軍に手を出してこないのだったら、韓国との間でなんらかの密約が疑われて然るべきです。
まあ、実際には第7空軍の装備はF-16とA-10なのでどう使うんだって問題はあります。
これがF-35あたりに交換されればまただいぶ別の話になるのですけどね。
ただ、アメリカの専門家の視線はかなり冷ややかです。
前述したVoAの放送でも同様でしたが。
長年、韓国を扱ってきた専門家も「台湾有事では韓国はあてにならない」としているほどです。
ただ、在韓米軍の使用について韓国が反対したところで、実効力を伴うのかというとまたそれは別の話。
アメリカとしては韓国と同意の上で使用するのが理想でしょうけども。
最終的には韓国が台湾有事に際してアメリカに協力する、しないを問わずに在韓米軍を使うことになる、というのが結論かな。
協力しないのであればなんのための同盟国なのか、という議論が巻き起こることは間違いないでしょうが。
まあ、そこまで遠くはない未来なのかな、とも感じています。
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