それでも韓米通貨スワップが必要だという意見も少なくない。ウォン価値がまだ大丈夫だとしても、その下落幅が急なためブレーキが必要だという理由からだ。心理的盾が必要なわけだ。実際に過去韓米通貨スワップが締結された後、外国為替市場は急速に落ち着いた。 (中略)
我々が通貨スワップを締結したいとして、必ずしも米国側で「オーケー」サインが出るわけではない。 いくつか前提条件が伴う。 ドル流動性が不足した際に締結することができるが、今はそうした状況ではない。 締結の鍵を握っている米連邦準備制度はドル流動性を通貨スワップを締結するかどうかの条件のひとつとみている。 現在、ドル流動性を示す指標は2008年や2020年と比較してかなり安定的だ。
さらに、韓国のように米国と臨時通貨スワップを締結しかねない国は韓国を含めて、オーストラリア、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、ニュージーランド、ブラジル、メキシコ、シンガポールなど9カ国だ。 これらの中で韓国だけが通貨スワップを締結するというのが容易ではない。
バラク・オバマ元大統領のメンターと呼ばれたモリス・オプスフェルトUCバークレー教授も去る9月21日、企画財政部と韓国開発研究院( KDI )が共同開催した「2022 G20グローバル金融安定会議」基調演説で「FRBがグローバル金融市場を安定させるためにはもっと多くの国と通貨スワップを締結しなければならないと思うが、すぐに韓国だけのために追加締結しないだろう」と診断した。
FRBの金融政策と韓米通貨スワップが二律背反的であることも締結が容易ではない理由だ。相次いで基準金利を0.75%ポイント引き上げ、緊縮を押しているFRBが発券力を誇らなければならない通貨スワップをあえてするはずがないという指摘が出ている。他の国にドルを供給するのは緊縮と逆の方向性だからだ。
(引用ここまで)
先日、韓銀総裁が「現状で通貨スワップ協定は必要ない」「痛くもない腹を探られることになるから」といった話をしていました。
「いまはそこまで状況が差し迫っていないから」という話だったのですが。
あとから考えるとありえない下手さですね、これ。
というのも、彼が言を翻して「通貨スワップ協定が必要だ」と言い出したら、もうのっぴきならないところまできているというサインを世界中に発することになるわけですから。
その状況下でもアメリカが動かなかったら「売り倒してやれや!」って投機筋が群がってきますよ。
泰然と「通貨スワップ協定はいつだってあったほうがいい」くらいに構えておくのが最良じゃないですかね。
まあ、そうも言ってられなくて口先介入だけでもしておきたいというのが実情なのでしょうけども。
そんな中、朝鮮日報発行の週刊誌である週刊朝鮮から「通貨スワップ協定をしないのか、それともできないのか」という記事が出ていまして。
「韓国にとっては不安感を払拭する盾になる」「実際にこれまでも何度か効いている」という話をしつつ。
「ただ、韓国がしてほしいといったところで、アメリカは首を縦に振らないだろう」ともしています。
通貨スワップ協定を締結することは言ってみれば「通貨供給を増やす」との宣言のようなもので。
現状、引き締めに必死になっているFRBの方向性とは真逆である、と指摘しています。
この指摘、韓国側からはなかなか出てこないものなのですが。
ばしっとファクトをついてきてしまいましたね。
ここ数ヶ月、韓国側からはアメリカとの接触の機会がある度に「今回こそ通貨スワップ協定が協議される」と色めき立ってきました。
5月のバイデン大統領による韓国訪問。
6月のNATO首脳会議へのユン大統領の出席。
7月のイエレン財務長官の訪韓。
そして今回の国連総会での米韓首脳会談。
いずれも空振り。スリーストライクどころじゃないっていう。
アメリカにそんなつもりはつゆほどもない、ということです。
じゃあ、イギリスや日本、欧州との常設、かつ無期限・無制限の通貨スワップ協定はどうなるんだ……となるのでしょうが。
それらの国々と韓国では重要度が違う、で終了ですね。
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