貨物連帯によるストの余波でガソリンスタンドの在庫が底をついている。首都圏では「ガソリン品切れ」を掲げたガソリンスタンドが相次いで登場している。石油業界では「第2の尿素水事態」に広がらないか神経を尖らせている。
韓国政府と関連業界によると、29日で貨物連帯のストから6日目となり石油精製所の在庫不足が可視化している。石油精製業界関係者は「首都圏だけでガソリンが品切れになったガソリンスタンドが20カ所以上」と伝えた。これを受け各企業は在庫が不足するガソリンスタンドに優先的に製品を供給している。この日在庫切れとなったガソリンスタンドは首都圏に集中した。 (中略)
今回のガソリン不足は、石油精製工場からガソリンスタンドにガソリンを運ぶタンクローリーのドライバーがストに大挙参加しており当初から懸念されていた。貨物連帯は石油精製4社の運送事業者を対象に集中的に組合員を募集した。6月に石油精製4社のタンクローリーの貨物連帯組合員は全体の10%にとどまったが最近では70%水準に増えた。貨物連帯は安全運賃制適用対象をコンテナとセメントから危険物と鉄鋼など5品目に拡大することを政府に要求している。危険物に分類されるタンクローリーは安全運賃制適用対象ではなかった。石油精製に加えてセメントの出荷が中断し、首都圏のレミコン工場もほとんどがストップした。セメント工場の出荷が止まりレミコン工場も連鎖的に稼動が中断している。ソウルと首都圏の建設現場ではコンクリート打設が中断された。
(引用ここまで)
韓国の物流ストライキで経済の動脈がぶった切られてから今日で5日目。
首都圏でガソリンスタンドのタンクが空になるところが出てきたそうです。
それ以外にもセメントの流通がなくなって建築現場が作業停止。
現代自動車やキア自動車でもトレーラーが調達できずに「港まで完成自動車を運転してくれる人募集してます」って求人広告を出して一般人に日給支払う形でドライバーをやらせているとのこと。
どこも過大な在庫を積まず、物流の太さに依存する方式になっているのでこれはきつい。 まあ、そういう状況であるからこそ民主労総も物流ストが狙い目だと思ってやっているんでしょうけども。
で、韓国政府はそれに対して業務開始命令を発動しました。
ストライキ等が国家経済に対して深刻な危機を招いた際に発動できるとする法律。
ノ・ムヒョン政権時代に作られた法律ですが20年近く発動されることはありませんでした。今回が初の発動となるはず。
韓国政府、貨物連帯ストに「業務開始命令」…連帯側「戒厳令宣布」だとして拒否を表明(ハンギョレ)
ただし、民主労総傘下の貨物連帯は拒否。
命令に反する場合、3年以下の懲役ともなりますが。さて。
なお、韓国国内の産業生産はここ30ヶ月で最大の減少幅を記録したそうです。
韓国10月の国内産業生産、30か月で最も大幅に減少(韓国経済新聞)
新型コロナが流行しはじめた2020年初頭以来の減少幅、ということでどれだけひどいかが理解できるのではないでしょうか。
ちなみに続く11月は梨泰院の事故があって国内消費が萎縮していたりします。
で、さらにこのストライキで踏んだり蹴ったり。
加えて交通公社(ソウルメトロ)の労組もストライキを開始していて運行状況が低くなっている模様。
帰宅ラッシュに駅構内に人があふれてどうにもならなくなっていたりします。
混沌が広がるなぁ……。
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