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2022年10月

「ひとりあたりGDPで日本を追い越した」はずの韓国経済、なんとも脆弱だったのはこんな理由があったからだった

カテゴリ:経済 コメント:(104)
「為替レートの恐怖」「借金の恐怖」の間で韓国銀行が困惑している(新東亜・朝鮮語)
ブルームバーグなどのメディアは、外為取引者らの発言を引用し、最近、ウォン-ドルレートが急騰するのは韓国経済の悲観論にその背景があると報道した。

悲観論は海外依存度が高い経済構造に由来する。 2020年GDP対比輸出と輸入は69%に達する。 同年主要国のうち、米国(23%)、日本(31%)、中国(35%)などは、そのほとんどが我々より低い。 連準の攻撃的な緊縮の通貨政策によるグローバル経済の低迷可能性がウォンの価値を落としているという意味だ。 さらに、輸出市場で競争する通貨の円と人民元の価値下落は、ウォンを引き降ろすもうひとつの要因だ。

一般的に経済が成熟するに従って貿易依存の割合は減少する。 しかし、韓国の場合は貿易の割合が依然として高いのは消費の割合が低くなる傾向と無縁ではない。 韓国のGDP比での家計や家計に奉仕する非営利団体消費支出は2002年の56%を頂点にして2014年50%未満に落ちた後、2021年には46%に下落した。 このような現象は、消費が安定的である米国(70%)、日本(55%)など他の先進国とは全く違う様子だ。 成長動力として消費の役割が日増しに萎縮していることを意味する。

消費の割合が低くなる傾向は増えている家計負債と密接な関連がある。 2002年LGカード事態をきっかけに、家計負債(GDP比60%)は韓国経済を論じる際には無視できない存在になった。 国際決済銀行によると2022年1月期の韓国の家計負債はGDP比105%を超過し、世界で最も高い水準を記録した。 日本(69%)、中国(61%)、米国(77%)よりはるかに高い。

金融が発展すれば消費者金融が活性化され、内需を促進して成長に寄与する。 家計負債と経済成長の関係を究明した国際通貨基金(IMF)の資料によると、家計負債が経済成長に寄与する臨界区間はGDP比35〜70%水準だ。 家計の借金が臨界区間を超えれば、負債償還圧力が高まっており、成長を促進する効果は半減され、最終的に成長を疎外するオーバーハングが起きる。

家計負債と住宅価格が経済活動に及ぼす波及効果を分析したIMFの別の研究は、所得比家計負債の割合が高い時に住宅価格の下落は、単に住宅価格だけ下落した場合よりも4倍消費が萎縮し、さらに成長と失業に及ぼす否定的な波及効果が少なくとも5年が持続されると報告した。
(引用ここまで)


 かなり長い韓国経済についてのコラムなんですが、内需と貿易依存率についてだけピックアップしてみました。
 なんとなーく「こういうイメージだよなぁ」と韓国の経済構造に関して感じていたものをびしっと指摘していますね。
 「内需が少なく、貿易依存率が高いので外からの衝撃に弱いし、内側からの衝撃にも弱い」と。
 で、その結果として現在のようなことになっている、と。

 韓国経済の持つ脆弱さというのは資源国でもないのに貿易依存率が高いことに起因していることが大きいのですね。
 自称G8なので他のG7各国の貿易依存率でも見てみましょうか。

アメリカ 19.97%
イギリス 34.41%
イタリア 52.89%
カナダ  50.84%
ドイツ  71.13%
日本   29.96%
フランス 44.80%

韓国      68.05%
メキシコ    78.31%
ギリシャ    58.04%
スペイン    55.21%
オーストラリア 35.16%


 オーストラリアが意外と低いのは輸出はしていても輸入には頼っていないからですかね。
 ドイツは本当にひどい……。
 あと金融国は大きくなりがち。


 ひとりあたりのGDPが日本を超えた云々言っていても、なんとも脆弱さが漂うのはこういう部分が大きいからなのですね。

 そしてIMFが指摘する「家計負債が国内経済の稼働エンジンとして通用するのは35〜70%」という指摘もひどい。いや、事実なんでしょうけど。
 じゃあ、世界で唯一GDP越えを果たしている韓国はどうなるんだっていう。
 いやまあ、単純に可処分所得が減少して国内消費がさらに小さくなるだけなんですけども。

 その次の「家計負債が高い場合に不動産価格が下落した場合の消費への影響は、単に不動産価格が下落しただけの場合に比べて4倍も消費へのダメージが大きい」「その影響は経済成長と雇用に少なくとも5年は持続する」っていうのもきつい。
 韓国の場合、すべてがあてはまっているんですよね。

 先日の「毎月、不動産ローンを返した後にはインスタントラーメンしか食べられない」って30代のインタビューを紹介しましたが。
 まあ、ここ10年以上というもの不動産開発とその周辺ばかりを伸ばすための政策しか打ち出してこなかったのだからそうなるよなぁ……。
 よくもまあ、ここまで延命できたというべきかもしれません。

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韓国で「梨泰院での事故に行政の責任はあるのか」とも問われる……なお、警察庁長はキャンプで連絡取れなかったことを糾弾される模様

日本で韓国・梨泰院と似た事故のリスクは? 危険を事前に察知する「術」を専門家が指南(アエラ)
 10月31日、東京・渋谷にはハロウィーンを楽しむ多くの人が集まっていた。梨泰院の事故後だけにメディアも注目し、スクランブル交差点やセンター街の「群衆」の様子などをテレビやネットなどで流したり、発信したりしていた。

 しかし、そうした不安はよそに、大きな事故が報じられることはなかった。

 毎年、人であふれかえる渋谷のハロウィーンだが、梨泰院と同じような事故が起こる可能性はあるのだろうか。

 群衆事故に詳しい大阪工業大の吉村英祐特任教授は「安全とは言わないが、群衆雪崩が起きるような状況ではない」と見る。 (中略)

「渋谷のハロウィーンでは、警察がかなり厳重に警備計画を立てており、事故を防げています。また、渋谷の映像を見る限り、人は多いですが、『群衆雪崩』が起きるほどの多さではない。まだ余裕があるように見えます。スペイン坂も、梨泰院と比べたら道幅が広く、横に逃げ道もある。スクランブル交差点もいざとなれば、車道に逃れることができます」
(引用ここまで)


 なんでも日本のテレビからは「日本でも同様の事故が起きかねない」「スペイン坂は似たような構造だ」とかいった報道があったそうですが。
 路上での群衆雪崩ってよほどの条件が重ならないと起きません。

 このアエラの記事でも同様なのですが。
 例に出ているのが戦後すぐのものだったりする。

 どちらかというと「大きなイベント」「ボトルネックによる逼迫」っていう意味だと明石の歩道橋事故のほうが近い気がするのですけどね。
 あの事故からこっち、ほとんどの場合でイベントでは歩道橋を一時通行止めにするようになっていたりします。

 イルミネーションとかでも多くの場所で歩道橋は通行止めになります。
 歩道橋というものが逃げ場のないボトルネックになりかねない、という印象を日本社会に植えつけたといえるのではないでしょうか。


 明石の事故でも同様なのですが、警察等の警備部門について問題があったとしても行政に責任を問うのは難しいのではないかと。
 韓国でも過去の三宝デパート崩壊、聖水大橋崩壊、大邱地下鉄火災、セウォル号沈没といった事故と照らし合わせて国家責任があるのか、といった記事が出ています。

「国家責任」どのように、どこまで?(KBS・朝鮮語)
皆、国家や自治体が責任を認めて賠償した事例です。

ソウル市は聖水大橋の事故の一ヶ月ぶりに被害者ㆍ遺族と補償合意に達し、大邱市も条例を作って地下鉄被害者たちに補償金や見舞金を支給しました。
セウォル号も、同じく被害救済の特別法が制定された事例です。 (中略)

1995年の500人の死亡者を出した三豊デパート崩壊事故の場合、公務員が賄賂を受け取って、無断増築を見過ごした事実が明らかになったが、国家の賠償責任は認められませんでした。
(引用ここまで)

 今回もなんらかの形で責任がある、というような判断がされる可能性はあるかもしれません。
 夜11時に通報が入って、キャンプに行ってた警察庁長に連絡がつかなかったって話になってるんですが……。

梨泰院雑踏事故:韓国警察庁長、事故当日はキャンプ場で23時就寝(朝鮮日報)

 これが彼個人の責任問題になるんだったらだいぶ憐れだし、韓国社会全体がどうかしていると思いますわ。
 まあ……どうかしていない時があるのか、と問われたら答えに窮します。

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韓国メディア「ソウルの不動産価格は最大で50%下落する。しかし、そこから立ち直るので日本のバブル崩壊とは事情が異なる」……そうかぁ?

マンションの売買・賃貸が歴代最大の下落...取引崖が深刻化(YTN・朝鮮語)
ソウル江南の再建築の象徴と呼ばれる銀馬マンション。
最近、ソウル市で整備計画案が審議を通過し、再建築に弾みがついているが、住宅価格はかえって落ちています。
占有面積76平方メートルが先月19億9000万ウォンで売られ、20億ウォン台が崩れました。
昨年最高に26億3500万ウォンに比べて6億5000万ウォン近く急落したものです。

江南区大峙洞の不動産仲介業者:「19億5000万にも(売りが)います。 探してる方はあるが、ほぼ動きはありません。もう少し落ちるのではないかと見ていたようです」

ソウル市内最大規模団地で有名な松坡区可楽洞(ヘリオシティ占有面積84平方メートルも最近、17億800万ウォンで売れました。
最高取引価格だった23億8000万ウォンから6億ウォン程度下落したものです。
実際、今週ソウルのマンション売買価格は23週連続下落し、10年4ヵ月ぶりに最も大きな下げ幅を記録しました。
全国と首都圏マンションの売買価格も韓国不動産員が時価調査を開始した2012年5月以後、一番大きく落ちました。

キム・ギュチョン/韓国投資証券資産継承研究所長「相次ぐ金利の引き上げと買収の萎縮により、売り急ぎの物件も取引が容易でなく、取引の崖が深刻化し、しばらくは価格の下落が持続する見通しです」

ソウルのマンション取引件数は激減傾向を見せているこの9月には614件で、昨年同期間の22.8%に減少しました。
金利引き上げで保証金融資の利子負担が重くなってチョンセのウォルセ(訳注:通常の家賃)化が早まり、保証金も調査開始以降歴代最大の下げ幅を記録しました。
9月、全国の売れ残りマンションは4万1604件と1年前と比較して3倍に増え、今年初めよりは2倍近く増加しました。

専門家らは不動産市場状況が深刻だと述べ、政府は手遅れになる前に特段の対策を立てなければならないと主張しました。

コ・ジョンワン/韓国資産管理研究院院長:LTV規制緩和とPF支援対策にもかかわらず、市場の反応は温かったうえ、資金難はさらに悪化しているためにDSRの上方修正や信用収縮の緩和など、より積極的な対策が必要です」

不動産市場のハードランディングへの懸念が高まる中、政府がどんな対策を出すのか注目が集まっています。
(引用ここまで)


 ソウルの不動産下落が止まらない、という最近は週イチくらいでレギュラー化しているニュース。
 江南地区の再開発対象マンションですら下落している、っていうのは解説が必要ですかね。

 再開発が許可されるとさらに大規模なマンションになり、新築になるので高価で取引されることが期待されるのです。
 というわけで再開発が決まった古いマンションは却って高騰するなんてことがパターンなのですね。特に江南では。

 ところがそうしたマンションなのに、価格が下落している。
 それも数億ウォン単位で。

 ちなみに記事中にある「ヘリオシティ」はそうした経緯を経て約1万世帯が入居しているソウルでも指折りの大規模マンション。84棟が一ヶ所に建設されています。駅近。
 韓国では「あのヘリオシティ」として知られているのですが、そのヘリオシティですら最高値から28%の下落。


 というわけで不動産価格下落に対して政府はなんとかしろ、という声が出ているものの。
 ムン・ジェイン政権下の最初の4年間でソウルの不動産価格は2倍になったので、下落して当然というか。
 これが本来の状態ともいえるかもしれませんね。

 なお、韓国の不動産界隈では「最大で50%落ちても不思議はない」とされています。

「最悪の場合、住宅価格50%暴落だが、日本式長期低迷の可能性は低い」(朝鮮日報)

 50%下落して、数年経てば上昇基調に転じるだろう。韓国は日本とは違う、とのことですが。
 まあ……「財産の9割が不動産」とされる韓国でそこまで下落して立ち直れるのか、という気がしなくもないです。

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