それから4年と2カ月を経た今、この豊山犬の存在が「政治問題」になっている。大統領退任後、一旦はつがい2匹と子犬1匹を引き取った文在寅が、国に返還したからだ。
これらの豊山犬は国有財産として登録され、管理経費を国が負担するのが当然にもかかわらず、国はそのための法的整備を行っていない。負担しないなら犬自身を返すしかない、とその論理はシンプルだ。
一国の政府と前大統領が犬の飼育費をめぐって争う。一見醜く世知辛い話であるが、もちろんそれは大統領退任後の文在寅が、飼育費を払う余裕もない生活をしているから、ではない。 (中略)
文在寅があえて犬の返還を申し出た背景には、現政権への不満がある。現政権は文政権のスキャンダルの捜査を進めており、既に前国防部長官などが逮捕されている。
容疑の中心は北朝鮮との関係であり、南北融和を急いだ前政権が、その妨げとなる情報の隠蔽を違法に行ったのではないか、とされている。
文在寅やその政権に関係する人々は、南北首脳会談や米朝首脳会談の実現を自らの在任時における歴史的偉業と見なしている。だからこそ彼らにとって、北朝鮮との関係をめぐる疑惑の捜査は、単なるスキャンダル追及以上の意味がある。
つまりそれは、文政権の最大の業績、その歴史的存在意義の否定だと考えられる。金正恩夫妻から贈られた豊山犬は融和外交の象徴的存在であり、文在寅はその返還の意思を明らかにすることで、自らの業績を否定する現政権への異議表明を試みたのだ。
(引用ここまで)
ムン・ジェイン前大統領が豊山犬を「返還」したのは犬のえさ代に窮したからではない、とする神戸大学大学院の木村幹教授談。
この2頭の豊山犬は2018年の「南北蜜月時代」とされていた際に北朝鮮のキム・ジョンウンから賜った宝物。
北朝鮮の狗であるムン・ジェインにとってはまさに自分の同僚とも呼べる存在です。
それを「政府に返還する」ということは、それ以外に大きな理由があるのだ……と。
ムン・ジェインには年金だけで月に1400万ウォンの収入があり、それ以外にも各種の収入があるとされています。
で、件の豊山犬を私邸に持ち帰るに際してムン・ジェインはえさ代や人件費等の管理費250万ウォンを政府からせしめる予算編成を行っていました。
ただ、現政権は「この支出が本当に必要か?」として支給を渋っていたのですね。
それを名分にしてムン・ジェインは「管理費が支払われないのであれば政府に豊山犬に返還するしかない」「6ヶ月間、無償で育てたことを感謝すべき」と政争の具としていたのです。
この感謝しろ宣言、人間としてかなりぶっ壊れた言いようではないかと感じます。
というか、ムン・ジェインってどこか人の感情を持ち得ていないのではないかと感じる部分があるのですよね。
ちょうどワールドカップで思い出したのですが、前回のワールドカップで韓国代表はスウェーデン、メキシコに連敗してグループリーグ勝ち抜けがほぼ絶望になったのですが。
そのメキシコ戦直後の控え室にムン・ジェイン一味が闖入してきて「ファイティンしよう!」「ソン・フンミンはどこだ?」とか言い出して泣いているソン・フンミンを連れ出して「大韓民国、ファイティン!」ってポーズを取らせたっていう。
いや、放っておいてやれよ。
人の心とかないんか。ないからできるんだろうけど、これ。
ひとつのことに向かうとそれ以外が見えなくなるという特性があるのは間違いないところ。
欧州歴訪でも「北朝鮮への制裁を解除してほしい」って言い出してヨーロッパの某国首脳から「ちょっとおかしい人ではないか」って評されたっていう。
今回も「政権批判してやる!」っていうことがすべてに優先して、「犬を政府に返還することが、一般大衆にどう受け止められることなのか」が理解できていない状態なのでしょう。
まあ、最大の問題はそんなのが5年にも渡って「皇帝ともいえるレベル」の権力を振るっていたってことだよな……。
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