韓国企業による過去最大のM&A(合併・買収)は、事業取得から1年足らずで暗転した。SKハイニックスによる米インテルの中国・大連の半導体工場の買収だ。米政府の規制で中国の半導体工場への投資が許可制となり、SKによる増産投資に黄信号がともる。インテルは歴史的に米政府と近く、SKが「貧乏くじ」を引かされたと見る業界関係者もいる。
10月下旬にSKハイニックスが開いた決算発表後の電話会見。盧鐘元(ノ・ジョンウォン)最高財務責任者(CFO)は率直な思いを口にした。
「仮に中国工場に投資できず、工場運営が困難になれば、工場売却や製造装置の韓国移転などさまざまな検討が必要になる。そうした最悪の状況にならないように望んでいる」
SKがインテルから大連工場を買収する契約を結んだのは2020年10月。大連工場は主要な半導体メモリーの「NAND型フラッシュメモリー」を生産する。同事業で劣勢だったSKが2位キオクシアホールディングスを上回り、首位サムスン電子を追うための大胆な一手だった。買収額は90億ドル(約1兆3000億円)と、韓国企業のM&Aとして過去最大案件だ。 (中略)
買収手続き中に半導体を巡る米中対立は一層先鋭化した。SKは21年に中国江蘇省無錫市のDRAM工場で、半導体性能を飛躍的に高められる「EUV(極端紫外線)露光」製造技術の導入を進めたものの、米政府の先端技術の流出防止規制によって断念した。
ただ米政府による中国半導体産業への締め付けはエスカレート。22年10月には米商務省が輸出管理の法律に基づいて米国の半導体技術の中国への導入について許可制とすると発表した。現行技術を超える半導体技術が対象で、SKにとっては中国に持つ2カ所の工場への追加投資が事実上難しくなる。
(引用ここまで)
日経曰く、あと韓国メディアもけっこう多めに「SKハイニックスがインテルの中国企業買収で貧乏くじを引かされた」っていう論調があるのですが。
正直、2020年時点で「中国にある半導体工場」を買収しようとしたこと自体が経営判断ミスなんだよなぁ。
トランプ政権時代はおろか、オバマ政権後期からすでにアメリカの対中姿勢は確実に強硬的になっていました。
というか、議会自体が強硬派に転じてて民主党と共和党で「どちらがより中国に対して強硬に出ることができるか」みたいな競争になってましたからね。
そんな中でNANDフラッシュのシェアを増やしたいからって、インテルから工場を買収してしまうっていう。
アメリカの動向が「中国への投資OK」ってなってくれたら、一気に2位のキオクシアを引き離してサムスンに迫れるってくらいの目論見だったのでしょうけども。
半導体は基本、最新の製造施設を入れ続けないと死にます。
特にNANDフラッシュは3D積層を最新にできないと詰み。
メモリ半導体じゃなければ(ロジック半導体であれば)、旧式プロセスでもいろいろ使い道があるんですけどね……。
ま、半導体投資って賭けの部分が少なからずありますから。
それに負けたって話でしかないかな。
Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→Follow @rakukan_vortex