韓国で高まる不動産発金融危機…ノンバンクの不動産プロジェクト融資が初の100兆ウォン超え(朝鮮日報)
韓国で不動産景気が停滞する中、貯蓄銀行、証券会社などノンバンクによる不動産プロジェクト融資の規模が100兆ウォンの大台を超え、金融市場のリスク要因として指摘されている。
(中略)
韓国銀行によると、昨年第3四半期の金融機関による不動産プロジェクト融資の貸付残高は140兆6000億ウォン(約14兆5000億円)で、銀行が30兆8000億ウォン、保険会社、証券会社、貯蓄銀行などノンバンクが109兆8000億ウォンをそれぞれ占めた。ノンバンクによる貸出残高が100兆ウォンを超えたのは初めてだ。内訳は保険会社44兆6000億ウォン、ベンチャーキャピタル27兆2000億ウォン、証券会社27兆4000億ウォン、貯蓄銀行10兆6000億ウォンとなっている。
10年前の2012年、ノンバンクによる不動産プロジェクト融資は12兆7000億ウォンだったが、不動産景気が回復し始めた15年(約32兆ウォン)ごろから急増。17年(約48兆ウォン)、18年(約73兆ウォン)、21年(約99兆ウォン)と増え続け、昨年はついに100兆ウォンを超えた。コロナ前後に金利が過去最低水準に低下した影響が大きかった。
韓銀は「不動産プロジェクト融資の貸出規模が急激に膨らみ、不動産景気の冷え込みで売れ残りが続出すれば、融資回収が難しくなりかねない」と警告した。韓銀関係者は「銀行が比較的安全なマンション事業に融資を行うのと異なり、ノンバンクは住居兼商業施設や商業ビルへの融資が多い」と指摘する。不動産プロジェクト融資のうち、マンション事業の割合が銀行が66.6%に達するのに対し、証券会社は21.6%、貯蓄銀行は15.1%にとどまる。昨年以降、建設資材価格が急騰したことも融資を受けた開発業者を窮地に追い込んでいるもようだ。
既にノンバンクでは不動産プロジェクト融資の延滞が急増している。昨年第3四半期現在で不動産プロジェクト融資の不良債権比率(3カ月以上の延滞債権)は、証券会社で11.4%に達する。貯蓄銀行は2.4%、ベンチャーキャピタルは0.9%、保険会社は0.5%だ。銀行による不動産プロジェクト融資の不良債権比率が0.1%にすぎないのと比較すれば、既に警告ランプが点灯した。貯蓄銀行による不動産プロジェクト融資の不良債権比率は21年末に1.2%だったが、昨年は1.3%(第1四半期)、1.8%(第2四半期)、2.4%(第3四半期)と急速に高まっている。
(引用ここまで)
うっわ……。
見る人が見れば吐き気を催すほどのひどさ。
ここでいう「不動産プロジェクト融資」は、うちやシンシアリーさんのところでさかんに「やばいよやばいよ」って言い続けてるプロジェクトファイナンス、PFのこと。
不動産開発事業(プロジェクト)そのものを担保にする、つまり実質的には無担保で不動産開発資金を融資するものです。
そしてノンバンク、
いわゆる第2金融圏のプロジェクトファイナンス残高が100兆ウォンを突破したというニュース。
先日もお伝えしたように
都市銀行はプロジェクトファイナンスからほぼ撤退しています。
リスクの高さを許容する貯蓄銀行や証券会社などが主な融資元となっています。
ところが、もはや20%という上限金利ではやってられないということで第2金融圏からもプロジェクトファイナンスを忌避する動きが出ている……と。
で、そのプロジェクトファイナンスでいま注目されているのが遁村住公というマンションの再開発事業。
50年前に作られた遁村住公という分譲マンションが再開発され、5000戸が供給されることになったのです。
その分譲が先月から行われていて、これがもう低調も低調。
今年の住宅価格、20%以上下落したら「マイナス成長」危機…不動産PF不良「最大の雷管」(朝鮮BIZ・朝鮮語)
市場の視線は遁村住公、主管社のKB証券と韓国投資証券の借り換え満了日の1月19日に注がれている。 先立って、遁村住公PFの借り換えは、主管社を変えるなど、難航する満期直前の発行に成功した。 再建築事業の成功を確信し、短期債券で既存発行金利(3.55~4.47%)より大幅に高めた12%の金利で辛うじて進めた事業だった。
不動産業界では通常、請約競争率が10対1くらいになると、売れ残りが30%程度発生とみられている。 しかし、遁村住公の1順位の請約競争率は4.7対1にとどまった。 2順位まで合わせた平均競争率も9.3対1水準だった。
もし遁村住公の未契約物量が30%を越えると、満期が到来するABCP、電子短期社債(ABSTB)の借り換え危機につながりかねない。 PF関連ABCPの借り換えがきちんと行われなければ信用を供与した証券会社がこれを引き受けなければならない。
(引用ここまで)
5000戸中、分譲できない売れ残りが30%以上発生したらPFの借り換えがまずいことになるのではないか、ともされています。
1月満期のPFが17兆ウォン、2月にも10兆ウォン。
ソウルの好立地にある遁村住公でそこまで売れ残るのであれば、他の不動産開発プロジェクトも同様に、あるいはそれ以上に売れ残るのではないかと市場に不安が生じるのではないかと危惧されているわけです。
というわけでこうした事態を沈静させるために、韓国政府が市場安定プロジェクトなるものを早急に施行するとのこと。
1月満期不動産PF流動化手形17兆ウォン… 当局安定化対策の稼働(聯合ニュース・朝鮮語)
とはいえ、そもそもがこれまでの不動産好況でいけいけどんどんと開発してきてしまった業界の体質にこそ問題があるわけで。
対症療法ばっかりやってても根治はしない。
ま、そんなこた韓国政府も分かっているのでしょうけどね。
Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→