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2022年12月

ポーランドへの輸出が成功したK-2戦車、いまだにパワーパックの変速機はドイツ製のままだった……

カテゴリ:軍事 コメント:(93)
空が無防備だった軍、地上戦も難しい…老朽化した陸軍戦車(アジア経済・朝鮮語)
5日、軍によると、陸軍が運用中のM系列戦車はM48A3K戦車(200台余り)、M48A5K戦車(400台余り)だ。 しかし、M48系列電車は渡河能力がなく、機動中に射撃が不可能だ。 また、アクティブアーマー装置や爆発反応装甲などがない。7個師団で運用中のM系列戦車は老朽化が激しく、機動力が時速50kmだったものが20~30kmに落ちている。

これに陸軍はK2戦車の導入を急いだ。2014年から実戦配置が始まり、1次量産100輛、2次量産106輛を経て現在は3次量産物量54輛を生産中だ。3次量産物量は昨年10輛、今年18輛、2024年4輛などに分け、京畿道・江原などに配置する計画だった。しかし、ポーランドにK2戦車が輸出され、これらを陸軍に納入せずに海外に送ることにした。

問題はこのような状況でも今年の4次量産予算がないという点だ。軍は第4次量産を通じて約150台以上を戦力化しなければならないと見ている。しかし戦車は追加生産されず、むしろ生産物量が輸出物量に転換してみると戦力が弱くなるしかない。 (中略)

軍はパワーパックを国産化しようとしたが、開発に続いて失敗してきた。K2戦車国産パワーパックの変速機開発事業は2005年から2014年まで485億ウォンが投入され、SNT重工業が引き受けた。しかし、2016年からK2戦車の2次量産を始めたが、パワーパックに装着する国産変速機が耐久度テストに合格できなかった。以後、防事庁は2018年、国産エンジンとドイツ産変速機を組み合わせた「混合パワーパック」を搭載することに決めた。 (中略)

一部では技術料、国産化などの理由で4次量産では、国産パワーパックを装着しなければならないという主張も出ている。 国防部と防衛事業庁は国産パワーパックの開発の相次ぐ失敗で国防規格まで改正した。
(引用ここまで)


 韓国のK2戦車がポーランドに輸出され、去年の12月にはすでに納入されたそうです。
 で、そのポーランドに輸出するK-2戦車のエンジンが韓国の純国産になったもの、とされる記事が出ているのでどうも誤解があるっぽい。

現代斗山インフラコア、ポーランド輸出K2戦車用のエンジン供給(亜洲経済)

 この「国産エンジン」というのは、エンジン部分だけのこと。これまでいろいろと知財をライセンスしていたものだったのが純国産で作られるようになったと。
 んで、変速機はまだドイツ製のままです。
 少なくとも冒頭の記事を読むかぎりでは。

 ただ、このドイツ製の変速機にも問題がある、とのことで。
 実際に第1次生産のドイツ製パワーパック、第2次〜第3次生産の韓国製エンジン+ドイツ製パワーパックでもクラックが出るなどの支障が出ているとのこと。

K-2ドイツ産変速機でも異物(チャンネルA/YouTube・朝鮮語)

 というか、ドイツのパワーパック、韓独のハイブリッドパワーパック、韓国製のパワーパックのどれでもで変速機に異常が出ているんだったらサスペンションかなんかに不具合があるって考えたほうがいいのでは。知らんけど。


 最初の記事でのSNT重工業=S&T重工業なので、これまで失敗し続けてきてきたあそこ。
 なんだったら「こんなハードルを課した政府のほうがおかしい、訴えてやる!」まで言ってましたからね。
 なんでもドイツ製パワーパックを納入することでリベートを受けている官僚がいるのではないか、とも。

 その一方で「国産変速機には充分な競争力がある」ともされていまして。
 トルコのアルタイ向けに純国産パワーパックをテスト段階として供給しています。
 理由は「ドイツ製の変速機を使っているとトルコ国内に人権問題が出た時に供給されなくなるから」とのことで。
 この心配がなければ中東への供給もできるのではないか、とされています。

 でもまあ、「重要な問題が出なければ合格」にまで国産変速機のハードルが下がったらしいので、今度こそ行けるんじゃないですかね。
 とりあえずポーランドに輸出した分はまだドイツ製のままということを確認したかったので。
 というわけでK-2を扱う時にいつもやっているアレを更新しておきますか。

 陸軍「K2戦車は純国産の名品戦車(自分で言っちゃう)、600輛製造! 輸出もばんばんしていくぞ!」
   ↓
 韓国の技術力ではパワーパックの製造ができないことが判明。初期生産の半数はドイツ製に?
   ↓
 韓国メディア「パワーパックの製造に成功したのはドイツだけだから韓国で失敗してもしかたない」とか嘘をつく。
   ↓
 K-2の量産予定を600輛→200輛に減数。第1期生産分100輛はすべてドイツ製パワーパックを採用
   ↓
 追加生産分約100輛については国産パワーパック採用が決定
   ↓
 ついで3次生産分約100輛の追加生産が決定。全生産数は約300輛(予定)に。
   ↓
 ただし開発チームはすでに解散済
   ↓
 S&T重工業の生産する変速機が9600km走破の耐久テストに合格できないことが判明。
   ↓
 6回目のテストを行ってもどうしても合格できない
   ↓
 S&T重工業、業を煮やして封印してドイツに送って原因究明するべき部品の封印を勝手に破ってしまう
   ↓
 S&T重工業「耐久テストのハードルが高すぎる。訴えてやる!」と韓国政府を提訴
   ↓
 S&T重工業、軍から第7回耐久テストを依頼されても試作変速機を提出するつもりなし
   ↓
 ヒュンダイロテム、1日4500万円相当の天文学的遅延賠償金支払い義務(上限なし)に頭を抱える。
   ↓
 国産変速機の採用を断念
   ↓
 ドイツ製変速機の採用が決定。
   ↓
 ポーランドへの輸出を試みるものの失敗
   ↓
 ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、一転ポーランドで大量採用決定。ただし、変速機はドイツのまま。

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韓国メディア「サムスン電子の3nmプロセスの歩留まりは低くない! むしろTSMCの歩留まり80%なんて嘘だ!」と叫ぶ

「サムスン電子、90%は不良品」とする台湾メディアを知ってみると… (韓国経済新聞・朝鮮語)
サムスン電子3nmラインで生産された半導体100個のうち80個以上は「不良」なので捨てなければならないという意味だ。つまり20個未満のチップだけ使えるということだ。また、サムスンが今後も不良品を減らすことは容易ではないというのがこの報道の核心だ。

TSMCの評価はまったく異なる。TSMCは最近3nmプロセスの量産を開始した。この媒体は、「TSMC 3nm工程( N3 )収率(全生産品で良品が占める割合)が最小60〜70%、最大75〜80%に達する。一次物量打ちはかなり良いものだ」と書いた。TSMCが3nmプロセスでチップ100個を作れば80個は良品で20個だけ捨てるという意味だ。 (中略)

最近、サムスン電子ファウンドリ事業部の事情に精通した半導体業界関係者に3nm収率について尋ねた。 (中略)

同関係者は「現在、サムスン電子3nm第1世代プロセスの収率は完璧な水準」と話した。続いて「現在サムスン電子は3nm第2世代工程も開発中」とし「開発中の工程の歩留まりを言うのが意味がないため言及しないが、計画通りに進んでいる」と説明した。一言で言えば、サムスン電子3nmプロセスは何の問題もないということだ。 (中略)

一方、TSMCの3nm収率が最大80%に達するという報道については「とんでもない話」と評価した。
(引用ここまで)


 韓国経済新聞が「サムスンの3nmプロセスの歩留まりが悪い、TSMCの3nmプロセスの歩留まりが高い、などというのは嘘だ」と主張しています。

 TSMCは3nmの量産体制を整えたことを発表し、その歩留まりは80%に達するともされています。
 結果、いくつかのメディアは次期Snapdragon 8 Gen3は多くがTSMCで製造されるだろうとの記事を報じています。

Most Snapdragon 8 Gen 3 chips to be manufactured by TSMC(GSM Arena・英語)

 その一方でこの記事は先行していたサムスンのGAAによる3nmプロセスの歩留まりは現状で60〜70%ていどと指摘しています。
 まあ、本当の歩留まりなんて当該社以外にはどこにも分からないのが実際ですが。


 Snapdragon 888、および8 Gen1ではサムスンだけに製造を任せて失敗に終わった経験から、クアルコムはTSMCとサムスンの両方に製造を委託するのではないかといった形になりそうです。
 で、その中でもTSMCに多くの分量を任せるのではないか、とGSM Arenaは報じています。

 少なくとも「サムスン電子の3nmプロセスにnVidiaもクアルコムも殺到!」なんて事態にはなりそうにはないかな、という印象。
 ちなみに今回の「TSMCの歩留まりは高い、サムスンの歩留まりは低いなんて嘘!」って記事も「nVidiaもクアルコムもサムスンの3nmプロセスに殺到!」って記事も、書いているのは韓国経済新聞。
 ふむ。なんとなく構造が見えてきた感じですかね。

 半導体、特にメモリでは冬の時代を迎えていることもあり、サムスン電子は第4四半期の営業利益が前年同期比で69%減少したことを発表しています。

サムスン電子、昨年10-12月は69%減益-半導体価格下落が響く(ブルームバーグ)

 すでに市場は織り込み済みでアーニングショックはなかったようですが、それでも厳しい数字。
 半導体輸出自体が5ヶ月連続で前年割れ。
 ま、ユーザーにとっては買い時が訪れているのですけどね。
 円安基調なのにだいぶDRAMもNANDも下落しています。だぶつきがひどいようですね。
 ゲーミングPCのメモリを64GBにするかなぁ。

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今年にも「第2の延坪島砲撃、天安艦撃沈」が起きるかもしれないと予測……北朝鮮の挑発は保守政権時代に増していた

日本の専門家の警告「今年は第2の天安・延坪島砲撃の可能性」(中央日報)
北朝鮮が韓国を「明白な敵」と規定して核武力強化の正当性と必要性を浮き彫りにした中、今年は韓国哨戒艦「天安」襲撃事件や延坪島(ヨンピョンド)砲撃事件のような北朝鮮の武力挑発を警戒する必要があるという専門家の分析があった。

4日(現地時間)のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、朝鮮半島専門家の牧野愛博広島大客員教授兼朝日新聞外交専門記者はインタビューで、北朝鮮が放射砲(ロケット砲)を利用して挑発の程度を高めているとし、「今年は北朝鮮も韓国に敏感に対応するとみられ、天安爆沈事件や延坪島砲撃事件のように韓国に対する北朝鮮の武力挑発を警戒しなければいけない年になりそうだ」と述べた。

続いて「北朝鮮は2019年から600ミリ放射砲の試験を始め、いろいろと試してきた。(放射砲に)誘導装置を付けて正確性の向上、エンジン燃焼力の向上などを確認しただけに、今回、実戦配備したと考える」とし「北朝鮮が韓国を攻撃できる放射砲の性能を高めたのは、昨年5月に発足した韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の対北朝鮮政策が北朝鮮に大きな打撃になったことを表してる」と評価した。

牧野氏は「北朝鮮は2023年にも軍事的な挑発を続けるようだ」とし「2月8日の朝鮮人民軍創建75周年を迎えて閲兵式(軍事パレード)を進めるとみられる。その時、韓国を攻撃できるミサイルや無人機、すなわちドローンなどさまざまな武器を公開すると考える」と述べた。

7月27日の朝鮮戦争戦勝節70周年、9月9日の建国75周年にも閲兵式をし、4月15日の金日成(キム・イルソン)誕生記念日には衛星運搬ミサイル発射も試すという予想もした。北朝鮮が今年、新型潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射に成功するかどうかもカギになると指摘した。 (中略)

北朝鮮の核武力増強と挑発を阻止するための韓日米の対応案については「韓国政府が1月中に徴○権問題解決策を発表し、日本政府がこれを受け入れる見通しというが、その後、日韓協力に時間を浪費せず規制も撤廃しながら日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)が正常化すると聞いている」とし「今年春ごろ日米韓の交渉環境が形成されるとみている。その後、北朝鮮抑止力の強化に関する協力が進むだろう」と述べた。
(引用ここまで・伏せ字引用者)


 朝日新聞の牧野愛博氏がラジオフリーアジアのインタビューで今年にも北朝鮮からさらなる挑発行為があり、第2の延坪島砲撃、第2の天安艦撃沈事件のような武力挑発が起きるだろうと予想。
 ふむ。

 延坪島砲撃、天安艦撃沈のどちらも2010年の金正日からキム・ジョンウンへの権力移行時期に起きています。
 かつ、北朝鮮の挑発行為はムン・ジェイン、ノ・ムヒョンといった左派政権時よりも保守政権時期に多く起きるのはよく知られた事実。
 上記の2件もイ・ミョンバク政権時代に起きたものですね。
 2015年(パク・クネ政権時代)には北朝鮮による地雷敷設で韓国軍兵士が重傷を負っています。

 北朝鮮にとっては韓国の左派政権は「利用しやすい」のです。

 金大中は数億ドル単位で北朝鮮に献金を行っていました。
 ノ・ムヒョンは金大中の太陽政策を継承し、「核開発には一理ある」と北朝鮮に対して理解を示していました。
 ムン・ジェインは北朝鮮の狗であったのは語る必要がないほど。


 韓国政府は度重なるミサイル発射や無人機侵入に対して「もはや南北軍事合意は無効だ」として、対北朝鮮の宣伝政策再開を検討しています。

韓国政府、北が最も嫌うカード取り出す…金与正は「汚物」と表現(中央日報)

 具体的にはビラの散布と拡声器による宣伝。
 どちらもムン・ジェイン政権時代に、北朝鮮のキム・ヨジョンから「法律でもなんでも作って取り締まれ!」と命令されて、実際に法律を作ってしまったために「違法」とされています。

 記事では「今回の『韓国政府が対北朝鮮の宣伝行為再開を検討』だけでも効果はあるはず」と専門家は述べていますが……。
 「検討」が抑止力につながるかどうかは微妙なところかな。

 ただ、北朝鮮は韓国の文物が入ることに対して、神経を尖らせているのは間違いないところで。
 韓国ドラマを広めたとして高校生3人が処刑された、とのニュースもありました。

  「北朝鮮、韓国ドラマを見て摘発…10代生徒たちも公開処刑」(中央日報)

 北朝鮮では極刑に処されるべき「革命を揺るがす」行為であると認定されているわけです。
 ま、どちらにせよ北朝鮮の挑発行為は変わることはないでしょう。
 ムン・ジェイン政権によって爪も牙も失わされた韓国政府はどこまで対応できるのか、見ものとはいえますかね。

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