政府は、韓国を輸出管理で優遇する「ホワイト国(優遇対象国)」に再指定し、対韓輸出管理を緩和する方向で検討していることが分かった。日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が関係改善を模索していることを踏まえた。いわゆる徴用工訴訟問題を巡る韓国の解決策も見極めた上で、再指定の可否を慎重に判断する。 (中略)
しかし、昨年5月に発足した尹政権は、徴用工問題解決に向けた具体的な検討に着手するなど日本との関係改善に取り組んできた。韓国側がホワイト国への復帰を日本に求めてきた経緯もあり、政府は輸出管理緩和に向けた検討を始めた。
(引用ここまで)
日本政府が韓国のホワイト国、半導体材料輸出管理について解除の方向で検討しているとのニュース。
産経新聞のスクープです。
2019年の7月に発表されてから3年半。GSOMIAの破棄を宣言しても、WTOに提訴しても動かなかった日本が検討に入ったというのは大きな変化かもしれません。
実際問題として韓国企業はおそらく「韓国への輸出」しか認められていないものを、自社の中国工場に迂回輸出していたことがあり、それが経産省がいうところの「不適切な事案」なのだと思われます。
経産省から問題視されているのはこの部分なのですね。
なので、それが確実に是正できているのでなければ解除できるわけもない。
去年の8月の段階でも解除を求めてきた、との産経新聞のスクープがありました。
この際にも日本側は「見返りではない」として一蹴していました。
韓国メディアからは「韓国企業はこれらの素材を自国内で製造しているので影響はない。それでも象徴的なものとして解除を求めている」としている記事が出てたりもします。
まあ、国内で製造できているっていうのは嘘なのですけどね。
フッ化水素については韓国国内生産がはじまったとのことで、ディスプレイ製造に使うレベルの純度のものは確保できたようです。
ただ、日本からの輸入は減りこそしたものの、まだ半導体製造時の洗浄工程に使用する超高純度のものはフツーに輸入しています。
以前に楽韓Webでは「半導体製造企業にとって、素材・中間材等は秘伝のタレのようなものでおいそれとは変更できない」という話をしたことがあります。
ナノメートル単位で製造している中、振る舞いの異なるであろう素材を導入するわけにはいかないのです。
それ以前に純度の高いフッ化水素は製造のハードルが高いので、一朝一夕にできるわけもなく。
ムン・ジェイン大統領は「二度と日本に負けない」として、フォトレジストの「外国企業からの導入」を勝利宣言のように高らかに語っていましたが。
日本企業であるJSRのベルギー工場からわざわざ迂回導入したというオチでした。
実際、経産省側もどれだけ韓国側が懸命に「この件について協議しろ!」って言い続けても「説明以外にする必要はない」って突っぱねて、小部屋で「輸出管理に関する事務的説明会」を開いただけでした。
でも、それは「韓国側が輸入管理体制を整備した」と日本側が認めた時であって、「なにかの見返り」で行われるようなものではない、ということです。
当時から「韓国が対策を施しても、それが定着したかどうかを判断するのに数年はかかる」とはされていました。
ただ、現状の日本の立場は「韓国がWTOに提訴している以上、二国間協議はできない」としていました。
韓国がWTOへの提訴を取り下げずになにか日本側からアクションが取れるか、というと難しいかな……という感触もあります。
ま、どちらにせよ韓国側の動き次第ではあるのですが。
韓国政府が本当に動きを取れるのか、「解決策」を実行できるのかすら不明ですわな。
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