米国商務省は28日(現地時間)公開した半導体支援法( CHIPS Act )ガイドラインに、2030年末までに必ず達成すべき4つの目標を提示した。「高容量メモリ主導」「最先端パッケージング先導」「伝統工程強化」「大規模クラスター組成」など半導体製造技術に関する内容だ。 (中略)
三星電子、SKハイニックスなど韓国メモリー半導体企業の悩みは大きくなっている。現在、三星電子は京畿道華城と平沢、中国の西安でDRAMとNAND型フラッシュの最先端生産ラインを運営している。SKハイニックスのメモリ半導体工場も京畿道利川市、忠清北道清州市、中国無錫市と大連市で米国政府の圧迫が続けば、国内半導体メーカーが米国に工場を建てなければならない状況に直面するものとみられる。
米国が自国企業であるマイクロンに巨額の補助金を支給し、競争力強化を支援するだろうという懸念も出ている。マイクロンは最近、ニューヨーク州北部のクレイに1000億ドル(約132兆ウォン)を投資し、大規模なメモリー半導体生産施設を建設すると発表した。米国政府支援を念頭に置いた「太っ腹の賭け」という評価が出ている。
国内半導体業界関係者は「米国の自国メモリー半導体企業育成が本格化すれば韓国企業が難しい戦いをしなければならないこともありうる」として「半導体生産地戦略を精巧に整える必要性が大きくなっている」と話した。
(引用ここまで)
意外と好評な半導体ネタ。
ひとつ大きな前提を書くのを忘れていたこともあって、またまたピックアップ。
なんでアメリカ政府の支援を受ける前提になっていて、かつ中国への規制を受け容れなければならないのか、という話。
簡単にいうと、半導体への投資はどれだけお金を使えるかにかかっているのです。
なので、例えばサムスン電子が「アメリカに工場を建設せず、支援金をもらわない」という判断をした場合、それ以外の半導体製造企業に大きく差をつけられてしまう可能性が出てくる……というか、間違いなく出る。
アイディアでどうこうなるような状況ではなく、いかに効率的にお金を使うのかって話なのですね。
ラピダスも同じことです。本当に5兆円投資できるのならちょっとは勝ち目があるな。なにを「勝ち」とするかにもよるけど。
なので「アメリカの支援を受けず、中国におけるサムスン電子のNANDフラッシュ工場、SKハイニックスのNANDフラッシュ工場、DRAM工場に注力」したとしてもそれはほぼ負け戦でしかない。
マイクロン等が抜け出してしまいますからね。
かといって、そこそこ先端プロセスを導入している中国工場の生産クオリティを制限されるのも困る。
……というわけで韓国勢は追いこまれてしまっているわけです。
アメリカ政府の半導体への注力、中国への生産規制はもはや揺るがない。たとえ共和党政権になっても受け継がれるものでしょう。
韓国側は「これは中国の内需用だからセーフ!」って話に持ちこみたいそうですが。
韓国政府、「半導体法」関連で米国側に「中国工場への投資、現レベルを保障」「中国内需用だから問題ない」を主張か(シンシアリーのブログ)
「中国による技術の習得を阻止したい」のが主たる目的なのに、そんな言い訳が通るとも思えないのですけどね。
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