2006年ワールドベースボールクラシック(WBC)や2008年北京オリンピックまでだけでも日本投手たちのボールが私たちより「すごく早い」という感じはなかった。もちろん、全体的な投手たちのレベルは当時も今でも日本が上だが球速で「レベルの違い」までではなかった。
日本プロ野球でプレーする選手たちは大多数が時速140キロ台の中、後半を投げ、韓国にもそんな選手たちはいた。だが、わずか10~15年の間、この差はとても広がった。
今回のWBCで日本の投手たちは自分たちのレベル向上を全世界に知らせた。(中略)単に大リーグの投手に依存したわけでもなかった。最強と評価された米国打線を決勝戦7回までたった1失点に抑えたのは、いずれも日本国内でプレーする投手だった。
「投手全員が最高150キロ以上を投げられる」という言葉も虚言ではなかった。 (中略)
日本は今大会で最も速いボールを投げた国のひとつだった。大リーグ公式ホームページ(MLB.com )のコラムニスト、マイク・ペトリエルロの集計によると、日本投手は100マイル(約161キロ)以上のボールを計58回も投げた。もちろん大谷と佐々木がすべての比重を占めてはいるが、他の国と比べても圧倒的だった。ベネズエラ投手が20球、ドミニカ共和国は13球に過ぎず、国を代表する特急投手が大挙参加しなかった米国には100マイル以上の投球はなかった。
日本が出ている間に韓国は歩き、今は後発走者の追撃に苦しむ状況だ。韓国よりずっと野球が下手だと思っていた他の国でも、韓国選手より速いボールを投げる選手がかなり多いことを確認した今回のWBCだ。
実はこの差はすぐには追いつけない。長い目で見て、連続性を持っていかなければならないという指摘が出ている。幸い、我々も150km以上の速いボールを投げる若い選手が以前より多く出ている。彼らの球威を維持すると同時に、どれほど良いコマンドとともに行けるかという選手や指導者たちの宿題になるだろう。
(引用ここまで)
今回の日韓戦で圧倒的だったのが球速の差。
楽韓Webでもそのような指摘をしていましたね。150km/hを超える投球すらちょぼちょぼで、大半が140km/h後半くらい。
この球速では日本代表の打線を抑えることはほぼ不可能です。
現状で代表クラスの一流打者を140km/h台で抑えるには──
・極端に球の出どころが分かりにくい。
・複数の球種で球筋が途中まで同じ。
・極端に球速の差がある変化球がある。
と、いった条件を揃える必要があります。
ボソックス時代の上原がそんな感じで無双してましたね。
現在ではストレートで150km/hを出すのは当たり前で、それ以外になにかフィニッシュにつながる球が必要になるのです。
ノウハウが拡散していて、それなりの体格のピッチャーなら140km/hくらい、すぐに出せるようになっているのが現在です。その中でもフィジカルモンスターがこぞってピッチャーになっているのですから、160km/hくらい出せても当然。
それをいかにコントロールするのかが課題になるレベル。アメリカでも3Aで160km/hを出すピッチャーは山ほどいるって話ですね。
でもコントロールできていなければメジャーに上がれない。
記事中にあるMike Petriello氏の「各国の100mphを超える投球数」についてはこちら。
Pitches thrown 100MPH+ in the tourney:
— Mike Petriello (@mike_petriello) March 22, 2023
Japan 58
Venezuela 20
Dominican Rep 13
Great Britain 5
Colombia 4
Puerto Rico 1
Japan's pitching was next-level.
Not shown: the USA.
韓国代表はもちろんゼロ。
KBOが極端に打高投低の環境にあることもひとつの原因なんでしょうけども。さすがに多少は矯正されましたが、一時期は3割打者が20人とか30人とかいるレベルでしたからね。
去年でも韓国では13人の3割打者がいました。10球団。
日本だとセパあわせて6人。12球団。
メジャーでも11人しかいない。30球団。
そんな中で速球派が少なくなる傾向にあるのかもしれませんね。
球速はすべてではないですが、現代野球では確実に必要な要素のひとつなのです。
まあ、現状の方向性が全然違うっぽいので次のWBCまでにどうこうとかは無理だろうなぁ……。
Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→Follow @rakukan_vortex