IMF「韓国不動産PFローンの脆弱性」債務不履行の再発の懸念」(東亞日報・朝鮮語)
IMFは特に非銀行金融会社のリスクを取り上げ、昨年10月に韓国が経験したレゴランド発社債市場危機を述べた。IMFは「韓国の場合、PFローンは資金構造が脆弱で満期不一致も相当だ」とし「韓国PFローンの延滞率が頂点からさらに上がる可能性は低いが、不動産価格下落など逆風が続いており、危険因子がある」と指摘した。IMFは引き続き「当局は不動産金融に関連する潜在的な債務不履行の懸念を管理するために積極的な措置を取らなければならない」と勧告した。
金融当局も国内第2金融圏PF関連リスクを注視している。高収益を狙って近年、大規模PFローンに乗り出してきた証券会社や貯蓄銀行、相互金融圏などで最近の延滞率が急激に高まっているためだ。金融委関係者は「不動産PFに対する懸念が集中的に提起され、汎政府的次元で金融支援に乗り出している」と話した。
(中略)
多大マリンシティのようなプロジェクトファイナンシング(PF)事業は最近、韓国金融圏の代表的な雷管に挙げられる。金利引き上げの中で不動産景気が急激に低迷し、「PF延滞率上昇→中小金融会社破産→債権市場梗塞→企業資金難深化」などの経路を経て、実態景気及び金融市場に連鎖的な打撃を与えることができるからだ。
不動産PFは、特に第2金融圏でリスクが高い。韓国銀行は最近金融安定状況報告書で昨年9月末基準保険証券貯蓄銀行相互金融など第2金融圏金融会社の不動産PFエクスポージャー(貸出保証などリスク露出額)規模を115兆5000億ウォンと集計した。2017年末比昨年9月末基準不動産・建設業貸付規模も与信専門金融会社が4.2倍、貯蓄銀行3.4倍、相互金融(セマウル金庫を除く)3.1倍、保険1.7倍でそれぞれ急増した。
PFローンの延滞率も高まっている。証券会社の場合、2021年末3.7%だった延滞率が昨年9月末8.2%と2倍以上に増えた。貯蓄銀行の延滞率も同じ期間1.2%から2.4%に高まった。ある証券会社PF担当役員は「不動産価格の下落と金利上昇による金融費用の増加、原材料および人件費の上昇による工事費の増加により、PFの売上高は減り、コストだけ増える状況」と話した。
専門家らは、不動産PFという特定領域の問題が全体金融圏のリスクとして浮上する状況が韓国金融の脆弱な危機管理水準を示すと指摘する。ハ・ジュンギョン漢陽大学経済学部教授は「不動産PFは不動産景気が低迷すれば危険度が急激に高まるにもかかわらず収益だけを追って大半の金融会社が飛び込んだのだ」とし「これらが管理できなかったリスクを結局国全体が分かれている」と話した。
(中略)
変動金利中心の融資構造の中で脆弱な自営業者・中小企業融資は代表的なリスク要因に挙げられる。韓国銀行によると、昨年9月末の国内自営業者の融資残高は1014兆2000億ウォンに上る。1年前より14.3%増加した数値だ。韓国銀行は今年0.5ポイントの基準金利引き上げを前提に、脆弱自営業貸付者の不良リスク率が16.8%まで上昇する可能性があると推定する。
中小企業ローンも弱い輪だ。新韓銀行を除く国内4大銀行の中小法人平均延滞率は昨年12月末0.29%から2月末0.45%に急激に高まった。信用上、韓国金融研究院金融リスク研究センター長は「金利と物価上昇、景気鈍化によって自営業者と中小企業貸出延滞率が高まるほかはない」とし「この部分が国内金融会社の主要リスク」と指摘した。
(引用ここまで)
韓国の不動産開発融資、いわゆるプロジェクトファイナンス(PF)に対して国際通貨基金(IMF)が「リスクがある」との指摘を行ったとのニュース。
韓国においてIMFは魔法の言葉です。
ネガティブな意味で。
1997年、IMF管理下に置かれた韓国には嵐が吹き荒れ、中間層は細り、韓国企業を強く守っていた規制は一気に緩和されたのですね。
まあ、経済規模に比べていろいろなものが脆弱だったことが原因とはいえ、失業率が一気に3倍以上に膨れ上がるなどしていました。
そんなわけでいまでも「IMFのお言葉」には過剰に反応することが多いのです。
とはいえ、今回の「プロジェクトファイナンスに危険性がある」との指摘は至極まっとうなもの。
プロジェクトファイナンス、PFは「不動産開発事業そのものを担保として扱い、資金を出す」というもの。
不動産開発が成功しなければ不良債権となることが確定している金融商品です。
そんなPFのうち、「リスクがある」と認定されているのが115兆ウォンあまり。
かつては都市銀行も扱っていたものの、韓国の不動産景気が一段落した後はいわゆる第2金融圏」が多くを担う市場となっています。
つまり、それだけPF、不動産市場そのものに危険性が多く伴っている状況となっており、当然のように金利も高くなっているのですね。
どうにかこうにかFRBの金融引き締めも収束方向に向かってはいるものの、まだ政策金利引き下げには遠い状況。
しばらくはいまのままの高金利体制が続くものと考えられています。
そんな中、釜山で進められていた多大洞マルチマリンシティ計画が頓挫しかけているというニュースがあります。冒頭記事にも引用外で書かれているものですね。
旧韓進重工のものだった18万平米の土地を確保し、釜山の海岸沿いにビジネスビル、マンション等を数棟建築するという超大型の不動産開発。「ミニ新都市建造」くらいに言われていたプロジェクトです。
ですが、「もはや完工は無理では?」とされるところにまで追い詰められています。
施行側は3580世帯の入るマンションを建設する予定が「3100世帯に縮小します」「400億ウォン集めてきた」「ブリッジローンも問題ありません」と言っているのですが。
建築材の高騰もあっていまだ着工すらできていない状況。
これだけの規模のPFがこけたら周辺に及ぼす負の影響はどれほどのものになるのか、ちょっと想像がつきませんね。
ソウルとその周辺地域以外の不動産開発がすべて凍結されるかもしれないくらいの余波がありますよ。
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