12日午前、「ちらし」の一つが金融界を揺さぶりました。ウェルカム貯蓄銀行とOK貯蓄銀行の不動産プロジェクトファイナンス(PF)貸出で1兆ウォン台の欠損が発生し、これら銀行口座が支給停止される予定だという内容でした。「残高を引き出しすべき」という言葉も付け加えていました。
該当貯蓄銀行側は直ちに「全く事実ではない」として「警察側に捜査依頼した」と釈明しました。貯蓄銀行中央会は「該当貯蓄銀行の昨年末基準健全性比率は非常に良好な水準」とし「流動性比率も貯蓄銀行監督規定で定めた規制比率より十分に上回る水準で安定的に管理されている」と説明しました。金融監督院もやはり「現在貯蓄銀行の受信などには全く問題がない状態」と明らかにしました。
この日「ちらし騒動」を単純ハプニングとは見難いのは金融産業では誤った情報ひとつで「ないはずだった危機」を作り出す可能性が大きいためです。最近、不動産PF貸出不良憂慮が韓国の金融システムの「雷管」として注目される状況ではなおさらです。先月、シリコンバレー銀行(SVB)を破産に追い込んだバンクラン(大規模な引き出し事態)には2日もかかりませんでした。約55兆ウォンに達する預金がスマートフォンで36時間で流出しました。実際、ちらしに言及された貯蓄銀行の顧客がちらしを信じて預金を大規模に引き出したとすれば、想像するだけでもぞっとします。 (中略)
不動産景気が悪化し、PF貸出不良に対する警告音が鳴っているのは事実です。しかし相対的に貯蓄銀行は貸し出し専門金融・証券会社などと比較した時、管理監督が強い方です。例えば、貯蓄銀行はPF事業資金の20%以上を自己資本で調達できる借主に対してのみ融資が可能です。貸し出し専門金融・証券会社などはこのような規制を受けません。韓国信用評価によると、1件当たり平均取扱額も貸し出し専門金融・証券会社の場合は100~300億ウォンですが、貯蓄銀行は30億ウォンにとどまります。
危機に敏感でなければなりませんが、過度な危機感が危機を煽る悪循環は警戒しなければなりません。危機感を助長して利益を得ようとする勢力があることも覚えておくべきです。危機であるほど冷静かつ合理的な判断が必要です。
(引用ここまで)
韓国の第2金融圏でプロジェクトファイナンスの破綻が恐れられています。
え、なにを言っているか分からない?
そりゃま、そうか。
第2金融圏は都市銀行等を除いた「金利はやや高いものの、貸し出しのハードルが低い金融機関」です。
ここでいう貯蓄銀行は銀行業務もやるものの、メインはそうした「やや低い信用レベル」の人や企業への貸し出し。
プロジェクトファイナンス(PF)は「不動産開発そのものを担保として、開発資金の貸し出しを行う」というタイプの金融商品。
不動産価格が右肩下がりの現状では各方面から危険視されています。
すでにIMFが「プロジェクトファイナンスが危機にある」と指摘しています。
その際に釜山の新都心が着工すらできていないって話をちらとしました。
シンシアリーさんのところで詳しく語られているのでそちらもご覧ください。
広がる不動産リスク・・ブリッジローンだけで370億円規模の釜山の『ちょっとした都市規模』開発事業、公売行きか(シンシアリーのブログ)
ま、こんな状況なので「○○貯蓄銀行のPFが不良債権になった」みたいな、いわゆる「チラシ」(韓国語でも「ジラシ」と発音する。この場合はチラシ=怪文書の意)が出るようになったと。
どこまで「怪文書」で終えることができるか、ちょっと見物ではありますね。
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