金融当局が競売猶予を要請した仁川チョンセ詐欺被害住宅の半分以上は、貸金業者である不良債権(NPL)買入業者が競売法廷に渡した物件であることが確認された。今後も競売手続きが進められる物件の相当数がNPL業者が売ろうとする住宅である可能性が高い。
23日イーデイリー取材の結果、金融監督院が20日と21日、仁川弥鄒忽区チョンセ詐欺被害者住宅の債権競売猶予を申請した59件の内、約60%はNPL業者が保有している債権だった。24日に予定された競売でも半分以上がNPL業者が渡した物件であることが把握された。25日以後に行われる競売でもNPL業者所有物件が相当数であると観測される。
これらの物件は信用協同組合やセマウル金庫など第2金融圏がチョンセ詐欺行為を行ったA氏一味に担保融資をしたが、3ヵ月以上延滞して不良債権になったのだ。先順位債権者である金融会社は不良債権になった担保物件を普通NPLを扱う貸金業者などに元金の50~70%価格で売却する。これを買い入れたNPL企業は債務者から金を返してもらえない場合、競売にかけてしまう。
問題は資金力が落ちる零細NPL業者の場合、当局の競売猶予要請を受け入れない可能性があるという点だ。該当業者が競売を強行したからといって当局がこれを防ぐ方法もない。先立って20日競売期日が到来した32件の内、28件が延期、4件は流札されたが流札された物件は全て零細業者が保有している債権だった。落札されたとすれば、チョンセ詐欺被害者が居住中の家から追い出される状況だったわけだ。流札はされたが、次の競売の時にまた渡されれば価格が削られる可能性が高く、被害者は落札されるのではないかと住居不安に震えている状況だ。
NPL業者競売猶予のために19日稼動した汎省庁タスクフォース(TF)に貸付金融協会が含まれたが、地域の零細NPL業者まで協力を求めるには限界があるという指摘が出ている理由だ。 (中略)
金融監督院の関係者はこれと関連して「今まで要請したNPL企業等は全て状況を理解し競売猶予協力をすることにした」として「今後NPL企業等が上げる追加物件に対しても最大限協力を求める計画」と話した。
ただ、根本的な解決策が必要だという意見が出ている。尚明大学のソ·ジヨン教授(金融監督院オンブズマン)は「競売を一定期間猶予するのは弥縫策に過ぎないが、このような『時間稼ぎ対策』だけでは救済できない被害者が生じかねないという点が問題」として「死角地帯を最小化するための方案を汎省庁が早期に出さなければならない」と話した。
(引用ここまで)
「チョンセ詐欺」、という名称の大規模な不動産、および保証金での信用不良案件続出問題ですが。
ユン・ソンニョル大統領はとりあえずの対策として「まず物件を競売にかけるのをやめてくれ」と要請しています。
ただ、なんの法的根拠も拘束力もないので、金融機関からそうした不良債権をかき集めている業者はほいほいと競売にかけてしまっている、とのこと。
一部業者は「要請」を聞き入れているそうですが。
現在、韓国の不動産価格は右肩下がりです。ピーク時比であれば5割、6割安は当たり前。
そんな中、ローンの支払いが行われずに不良債権化した物件は、こうした業者にさらなる安値で買い叩かれます。
今時のオフィステルやヴィラ(どちらもワンルームマンション)なんて金融機関としたらわざわざ手間をかけて回収するよりもとっとと縁を切りたいような物件でしかないですからね。
とっとと清算してしまいたいのでしょう。
で、そうした不良債権を二束三文で買いあさった業者は競売にかけて日銭を稼がないと干上がるだけ。
さて、「競売にかけるのをやめてくれ」と言っている大統領府にはなにができるのか、と。
まあ、現在の規模で「チョンセ詐欺」が収拾のつくものであればそうした要請も効くのでしょうが。 危険水域にある物件は23万件ともされている中、それらを支えきれるのか。
というか、明日にも住まいを失い、かつ数千万ウォン単位(数百万円)単位の保証金返還を受けられずに路頭に迷いかねない人々がいまも続出しているわけで。
そうした構造を止めることが法的根拠を伴わずにできないのであれば、さらに歪みがたまるだけなんですけどね……。
金融機関だって不良債権処理を止めるわけにもいかないんですから。
Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→Follow @rakukan_vortex