文在寅(ムン・ジェイン)政府で起きた統計改ざんと歪曲(わいきょく)実態が監査院の監査を通じて明らかになった。監査院は関連者に対する捜査も依頼した。これが事実なら国基紊乱犯罪が汎政府次元で組織的に行われていた衝撃的な事件だ。 (中略)
文政府はなぜこのように想像することさえ難しい犯罪を敢行したのだろうか。その出発線上に文政府の国政哲学が位置する。「所得主導成長」だ。所得は生産や革新、すなわち成長の対価だ。前後関係がはっきりしている。所得主導成長はこの順序をひっくり返した。 (中略)
その最初の実験対象は最低賃金だった。2017年文政府が発足してその翌年に適用する最低賃金を16.8%も急激に引き上げた。すぐに労働市場が動揺した。外食・宿泊業はもちろん、製造業就業者も後退するなど雇用が大きな衝撃を受けた。「雇用惨事」という用語が日常化した。
初めての実験の結果が失敗の兆しを見せると政府が切った次なるカードは「雇用安定資金」だった。国家が企業に雇用された労働者の賃金を代わりに支給するという、世界中どんな国でも見たことのない珍しい政策だ。 (中略)
解決のために選んだのが雇用統計という政策“問診票”をゆがめることだった。張夏成(チャン・ハソン)当時青瓦台政策室長は「最低賃金が上がった後、労働時間は減ったが、雇用は減らなかった」と話した。あきれる論理だ。雇用総量は雇用人員(n)に労働時間(h)をかけて算出する。したがって労働時間が減ったというのは雇用が減ったということだ。 (中略)
こうなると文政府はまた別の政策アリバイ探しに出た。2018年8月文前大統領は「雇用の量と質が改善された」と話した。「常用職が増えた」という解釈を付けながらだ。言葉だけ聞くと正規職のような良質な雇用が増えたような気がする。とんでもない話だ。 (中略)
常用職は臨時職や日雇いと区分する概念にすぎないため正規職とは何の関係もない。1年以上働けば全員常用職に分類される。労働期間が3カ月なら臨時職、一日ならば日雇いだ。アルバイトを1年以上やっても常用職で、飲食店で働く人、環境美化員、家事手伝い(メイド)も常用職であるのは同じだ。これが雇用の質と何の関連があるのか、理解できない。
(引用ここまで)
ムン・ジェイン政権のやってきた雇用統計、経済統計、不動産価格統計の改竄についてのコラム。
いや、詳細が分かるにつれて苦笑すら出なくなってきますね。
唖然としてしまうレベル。
引用外の(2)にある「非正規職が90万人を上回るほど急増したという統計が出てくると『回答した労働者が非正規職と勘違いした』としながら質問に誠実に応じた国民のせいにさえした」ってのは味があるわ。
「回答した労働者が(自分を)非正規職と勘違いした」……うん、ムン・ジェイン政権を象徴するような言葉ですね。
ただ、なぜそうした「統計改竄に手をつけたのか」との理由は語られていません。
前もちょっとだけ書きましたが、ムン・ジェイン政権は誤りがあってはいけない政権であったのです。
そうした設定上に成り立っていた政権だった、というべきですかね。そのほうがより実態を正確に描写できていると思われます。
すなわち、パク・クネ政権を弾劾で打倒し、絶対的な正義の政権としてムン・ジェイン政権は誕生したわけですね。
悪を倒し、正義が生まれた。ムン・ジェインが破邪顕正を果たしたのです。
さて、よく言われていることですが、韓国の政権交代は基本的に易姓革命としての側面を強く持ちます。前政権をすべて否定した上に成り立つのですね。
ましてやムン政権は「世界4大革命に含まれるべきろうそくデモ……いや、ろうそく革命を経て生まれた民主主義の粋」として生まれたわけです。
韓国人「ろうそくデモは名誉革命、米独立革命、フランス革命に次ぐ世界4大革命となった!」(楽韓Web過去エントリ)
韓国人「この平和なデモを『ろうそく革命』と呼ぶべきだ、『最高の国民』による真の市民社会の到来だ」(楽韓Web過去エントリ)
なので経済政策でも雇用政策でも間違いを犯すことはあってはならない事態だったのです。
(設定上は)一切誤謬のない政権、それがムン・ジェイン政権だったのです。
なにしろムン・ジェインは「我こそは雇用大統領なり」と名乗っていたほどで、大統領室に雇用状況をリアルタイムで示すパネルを持ちこんでいたほどですから。
ただ、所得主導成長政策などというシャツのボタンをひとつめからかけ違えた政策を掲げていたので、すべてが失敗に終わったのですけどね。
リアルタイムで自分の雇用政策が失敗だったって知る気分ってどんなもんだったんでしょうね。
失敗に終わったものの、彼らは「誤謬のない政権」なので間違っているのは数字や現実であるとの結論にたどり着き、統計を改竄したのです。
彼らの成功を彩ることができる数字だけが本当の数字ですからね。
これら以外にもさまざまな統計改竄を行っているでしょう。
統計庁長の首が差し替えられた後、どのようなことが起きたのかを知りたいですね。いや、楽しみですわ。
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