中国ファーウェイが高性能チップを搭載したスマートフォンを発売し、米-中間半導体葛藤が加熱している。中国政府は「iPhone禁止令」で対応戦線を広げ、米国では対中国技術制裁をさらに強化しなければならないという声が大きくなっている。国内半導体産業が再び米中葛藤の激しい後遺症に直面するのではないかという憂慮が出ている。 (中略)
ファーウェイが先月末に発売したスマートフォンにSKハイニックスのメモリーチップが使われた経緯はまだ五里霧中だ。8日、半導体業界と外信などによると、ファーウェイスマートフォン「メイト60プロ」に搭載されたメモリーチップは低電力ダブルデータレート5(LPDDR5)ディーラムとユニバーサルフラッシュストレージ(UFS)NANDフラッシュだ。全世界の関心が集中した「7ナノメートル(nm·1nmは10億分の1m)プロセッサー」チップセットとは全く異なる性格の汎用メモリーだ。SKハイニックスは2020年5月、米国の輸出規制強化以後「ファーウェイと取引した事実はない」という立場だ。 (中略)
アメリカ議会を中心に「対中技術規制が無力化された」として制裁強化を要求する声が大きくなっている。ここに中国が米国の代表企業であるアップルのアイフォンに対する禁止令カードまで取り出したため、両国の葛藤水位はさらに高まる公算が大きい。カン研究員は「結果的に中国が米国の半導体規制の一部を無力化したという点で制裁強度が高くなりうる」と話した。
半導体業界では再び米中間技術覇権競争の後遺症に直面するのではないかという憂慮が出ている。(中略)米国政府は昨年10月、中国に半導体先端装備搬入を禁止する規制を発表したが、サムスン電子とSKハイニックスは1年間猶予措置を受けた。来月11日には猶予期限が終わり、米政府が延長するかどうかを再度決めなければならない。
韓国政府と業界は延長可能性が高いと展望してきたが、猶予可否決定を目前にして突出悪材料に会った状況になった。
(引用ここまで)
HUAWEI(HUAWEI)が中国の半導体受託企業であるSMICによって作られた7nmプロセスのチップをスマートフォンに搭載したことでアメリカの規制がさらにきつくなるのではないかとの話が出ています。
まあ、実はこの7nmプロセスで作った……っていうのも「旧式の製造装置でじんわりと作るとやってやれないことはない」みたいな製造方法で、これといって新しい話でもないのです。
イメージとしては最新プロセスが最新の輪転機で刷っている印刷物なら、SMICの7nmプロセスは活字をひとつひとつ置きながらプレス印刷しているってとこかな。
そこまで古くはないか。
でもまあ、イメージとしてはそんな感じ。
ただ、アメリカが「中国人民解放軍との関係性が高い」としてブラックリストに掲載しているHUAWEIが自社スマホに搭載することでいろいろと物議を醸しているわけです。
正直、7nmといえども大量生産には向いてない製造方法だし、そこまで目くじら立てることもないんじゃないかなーと思っていたのですが。
要は米中どちらからもメンツの問題なのですね。
中国は「アメリカが半導体関連をどうこうしたところでこんなもんよ」ってなっているし。
アメリカは「よし、だったらさらに制裁だ」ってなってしまう。
で、そのファーウェイ製のスマートフォン、Mate 60 ProにSKハイニックスのメモリが採用されていることも判明して韓国側が大騒ぎになっていると。
SKハイニックスは「ファーウェイとの(直接)取引はない」としています。
ま、実際にそうなのでしょう。
「大量生産品」でしかないメモリがどこからか紛れこんだってレベルではないかと思われます。
とはいえ、アメリカ側から見たら「あのファーウェイに韓国製のメモリが搭載された」って事実は重いものになるでしょう。
以前から「1年間の猶予が終わったら制限を課すべきだ」と主張しているアメリカの議員がいるという話をしていましたが。
より強固になるアメリカ政府の対中半導体規制、韓国企業への「1年間猶予」に反対する有力議員も出てきて詰みか(楽韓Web過去エントリ)
彼らにとっては福音とも呼べる代物ですよ、これ。
10月11日がCHIPS法による韓国、台湾企業に認められた1年猶予の期限。あと1ヶ月。
ここまでなんの公式反応もなし。
3週間前の日米韓首脳会談でもなにも触れられなかったものがいきなり「猶予延長」ってなるとは考えにくいんですけどね。
ちなみに記事タイトルの「海老の背」というのは、韓国のことわざ「クジラの喧嘩に海老の背中が割ける」(大国、大企業同士の戦いで小国、中小企業などがとばっちりを受ける様子)の海老に韓国を立場を置いたものです。
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